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近未来の話をしよう-26

人が地面から離れるようになって久しい。
それでも本当は地球上の人類のほとんどはまだ大地と関わり合って生活している。

土壁がレンガに、レンガが鉄骨やコンクリートに変わり、強固な巣を作り上げ、地面をアスファルトで覆い、人間は人間にとっての住みやすさと繁殖し増殖を続けるシステムを生み出した。さらに役割を分担し、相互に取引をするため経済が生まれ資本主義が生まれた。
現在の若手事業者は「投資」を受けながら一気に規模を拡大しようとする。
大きな投資額を得ることには幾つかの利点がある。
一つは人材の確保が容易になるということ。優秀な人材にはコストがかかる。優秀な人材を確保することができればそれだけで事業は動き始める。
二つめは知名度を上げることのできる大規模な広報宣伝活動が可能だということ。
通常は売上の5〜8%しか投下できない広報宣伝費を30%近くに設定できる。事業そのものの優秀性はともかく、企業体や事業内容の知名度が上がれば売上そのものは拡大が望める。

しかし勘違いしてはならないのは「投資」は可能性に対しての期待値であって企業そのものの優秀性が投資額に正比例しているとは限らないということだ。
事業を始めた創業者が何でもできるスーパーマンであることはない。
だから最初の投資を人材確保に使うのであれば、事業の将来性を担保できる創業者が持ち得ない創業者よりも優秀な人材を確保するべきだろう。
期待値は創業して数年の成長性に対して大きくなる。成長性が低いと投資家の期待値は上がらず投資が期待できなくなる。そのために効率の良い広報宣伝活動を実施することは成長途中の企業には必要不可欠になる。全ては更なる投資を呼び込む手法となっている。

「資本主義の亡霊」と呼んでいるのは、ただ単に虚構の経済を拡大することで、産業生産性があたかも物質経済を超えてメタバースなどの実態を持たない経済は無限に拡大出来るような錯覚に陥ることだ。経済を動かしているのが実体のある人間である限り、人間の活動を超えた経済活動をしたとしても物質の限界を超えてしまう。これまでの資本主義のように物質やエネルギー資源に頼った経済は限界に来ていて、虚構の経済での活動を拡大したとしても実態としての生物としての人間や、環境に影響を与えないというのは思考が生み出した亡霊に過ぎないと考える。

ただし、この亡霊となった経済をもっと大きな括りで考え、虚構のメタバースと宇宙経済のような考え方ができるようになるのなら、案外この経済は実態を持つことができるのかもしれない。

そうなれば「投資」を行う先は「事業体」のような個別の組織ではなく、全体管理と開発を行う中央組織ということになるのだろう。その頃には「国」という単位よりももっと大きな組織ができているのかもしれない。そしてその組織の中で最も大きく中心となる組織は「税」の考え方に近い金融の集積と配分を行うことになるのだと考える。

それは案外思ったよりも早く始まるのかもしれない。

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