見出し画像

De-sign語り-15

装飾と非装飾。カラーとモノトーン。

非装飾型のブランドで有名なものに「無印良品」があるけれど、非装飾やモノトーンをデザインで多様する国では日本が最も頻度が多いように思う。

日本人は「主張」するのを嫌うし、言葉も少なめで「あ・うん」の呼吸とか「暗黙」の了解とか、「以心伝心」とか「侘び寂び」とか「空」とか、表現しないことの美学はきっと宗教観なんかも影響を与えているんだろうな。

それでも時代の中で「装飾とカラー」と「非装飾とモノトーン」は交互にやってくる。

かつて一世を風靡したヨージ・ヤマモトや川久保玲のファッション、安藤忠雄の建築も装飾を剥ぎ取ったモノトーンだったけれど、その後ブームを引き起こしたユニクロはカラフルな色彩だったし、北欧のマリメッコが日本に上陸したときにこんな色彩が豊富なファブリックが日本で流行るのだろうかと危惧したけれど、今では町中に溢れている。

面白いのはモノトーンの時代はバブルで経済が活性化し、裕福な時代で、ユニクロは経済が低迷していた時代に流行した。時代が暗いからってデザインが暗くなるわけじゃない。

でも日本独特のモノトーンデザインは「精神性」を表現している部分も多いし、必ずしも「地味」というわけではない。このシンプルでモノトーンのデザインをカッコ良いと感じる日本人の感性は好きだ。

シンプルでモノトーンだからと言って全てが同じデザインではない。そこにはテクスチャーがあって、肌触りやシズル感といった細やかな感性が反映されているよね。

「装飾することがデザインである」という概念が随分長い間適用されてきたけれど、「デザインが装飾であるとは限らない」という概念を「無印良品」ブランドは作り上げてきたし、日本のデザインそのものが「機能性」を突き詰めて「装飾」を省くことで美しさを生み出すことを実践しているよな。

格子状の木材に和紙を貼っただけの建具は最低限の機能性をシンプルに表現した結果だし、資材の加工を極端に簡略化して壊れても短時間で再生できる優れた再現性を持っていると思う。とてもエコなデザインだよね。

反面茶湯で使われる萩や織部、楽焼などの様式に囚われず自然と一体化する「景色」を大切にしたデザインもまた「デザインされないデザイン」だよね。

西洋での「バロック」も同じように自然の歪みそのものをデザインや装飾として捉える考え方だと思う。

西洋のデザインは「装飾」することをこれまで目的とされることが多かったけれど、日本的なデザインはいかに装飾を省くかという考え方も多く存在する。西洋的な文化が新しい要素に枯渇している今、東洋の精神面に到達しようとする文化は見直されてきていると思う。

「装飾」そのものを否定する必要はないけど、装飾だけがデザインじゃなくて、もっと深い精神面にまで踏み込んだものも、やっぱりデザインだと思うな。

そういう時代は実は前からあって、今、必要なのはそういう考え方なのかもしれないね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?