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【前口上】あなたは、蝶になれますか?

バタフライエフェクトという言葉を聞いたことがありますか?

「とある場所での蝶の羽ばたきが、地球の反対側の竜巻を引き起こす」ように、とても小さな出来事が、予想もしていなかったような大きな変化を生み出すような現象を指す言葉です。目や耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか? 複雑系やカオス理論に詳しい人なら、予測困難性や初期値鋭敏性という言葉を思い浮かべるかもしれません。

では、蝶は、何を思って羽ばたいていたのでしょうか。竜巻を起こしたかったのでしょうか。蝶の想いは知る由もないですが、もちろんそうではないでしょう。では、どうして?

こう思うのです。蝶は、蝶になるために羽ばたいたのではないか、と。卵から孵り、好きな葉っぱを食べて大きくなり、蛹になって、そして完全変態を遂げて蝶になる。しかし、蛹から羽化しただけでは、生きていけません。蝶として生きていくためには、羽ばたいて、花を求め大空を舞うことが必要なのです。羽ばたいてこそ蝶になれる。だから、蝶は羽ばたいた。

それは、蝶があるがままに振る舞っている、ということでもあります。蝶として生きる、というのは、蛹から蝶へと変態し、大空を舞い続けること。蝶は、自分のあるがままに、自分らしくあるために、羽ばたいている。そして、そんなあるがままの羽ばたきは、世界を変えていく可能性を秘めている。

それは、蝶に限ったことではないのでしょう。どんな昆虫にも、いや、どんな生き物にも、そういうことを引き起こす可能性が秘められている。自分のあるがままに、自分らしくあることが、世界を変えていくスイッチになり得る。もちろん私たち人間一人ひとりにも、です。

あるひとりの人がいます。kさんと呼んでおきましょう。

kさんは、毎日会社に通い、指示されたことをこなしています。会社では、あるがまま、わがままな自分を隠し、自分らしくあることを諦めています。

職場にはたくさんの人がいますが、誰のこともよく知りません。みんな能面みたいな顔で、同じ会社にいる人はみんな同じような人だなあ、と思っています。

仕事でよく話をする以外のつながりなんてありません。お昼ご飯をみんなで食べに行ったりはしますが、つながりと呼べるような関係ではありません。

そんなkさんですから、こんなことをしたい、といった想いは何もありません。自分がどうなりたいか、とか、会社がどうなってほしいか、といったことは考えたこともありません。

だから、kさんは変わりません。変えたい、とも。変えなくては、とも思いません。そして、会社で働くって、こういうことだ、と思っています。雇い続けてもらえるんだから、それで十分だ、と。

そんなkさんに、ふとした出会いが訪れます。その出会いを通して、心の中の変化が起きます。自分らしくありたいと思い、ちょっとした何かをはじめます。それが、まわりの人たちを変えていき、気づいたら会社を変えていく。蝶が蛹から蝶になって羽ばたいたのと同じように、自分らしくありたいと思ってトランスフォーメ―ション=変態をとげたkさんの小さな一歩が、思いもかけない大きな変態=カイシャ・トランスフォーメーションをもたらしていく。これが、これから始まるこのマガジンのあらすじです。

このマガジンのテーマは、KX=カイシャ・トランスフォーメーション。「会社を変える」が題材です。でも、会社という実体はありません。そこにあるのは、人と人のつながりだけです。会社=Kとは、さまざまな個人一人ひとり=kが集まって、つながっているだけのもの。だから、kが変われば、Kは変わる。だれしもが、蝶になって羽ばたいて、世界を変える可能性を持っているのです。あなたも、蝶になって、大空に舞い上がり、心地よく羽を広げて飛び回ることで、地球のどこかにとてつもない変化を起こすことができるかもしれない。そんな可能性を秘めているのです。

前口上はこれぐらいにしましょう。次回から、さっそく物語を始めることとします。舞台は、kさんの会社の近くにある、kさんの行きつけの店で幕を開けます。


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