原因は自分にある。Mania【げんじぶ考察】
こんにちは、タスカットルです。
先程、日本テレビ「バズリズム02」にて原因は自分にある。が「Mania」をスタジオライブで披露しましたね。
本日は、そんな「Mania」の世界観考察を行います。MVを主軸にメンバーの役割や物語の結末までを考察しました。(以後、である調で記載する。)
役割
このMVにおいてメンバーはそれぞれ愛情の対象である「蝶」に何らかの愛情を表現する役を演じている(言及あり)。
ここからは、物語に関連する場面から導き出される愛情表現の役と人物像について解説していく。
【長野凌大】
愛情表現:収集したい
溺愛する様々な蝶を収集し綺麗に標本し飾る。
この物語は凌大を中心に展開されていく。凌大のみ起承転結で描かれていることから彼をこの物語の主人公と仮定した際にMVの事実から以下のような人物像と物語を導き出すことができた。
1)冒頭のシーンは当初、リュックを背負って登校のようにする予定だったが衣装に合わず断念した(言及あり)こと、凌大に自室がある(言及あり)ことから舞台は彼らの生活拠点の学生寮ではないかと推測した。
〈2024.07.23追記〉
この物語において注目すべきは白い蝶から青い蝶へと心変わりする凌大自身の変化である。①は青い蝶との出会いの場面であり、この場面では白い蝶に気持ちがあったと思われる。しかし、②が囁きによって心が揺れる。凌大にとって青い蝶との出会いは衝撃的なものであったことがわかる。③④で自室の白い蝶、⑤で再び外にいる青い蝶、それぞれに会い自問自答する。⑥で再び囁かれ決断、⑦⑧で白い蝶に別れを告げ⑨以降は青い蝶を一途に思うこととなる。
⑦で「無理っぽいのが説明できないときも そっか」と白い蝶、⑧⑨で「出逢ったのは奇跡だからしょうがないよおっけー!」と青い蝶へ別れと出会いを歌っているようにも捉えられる。
導き出される物語で割愛したが、この過程で気になるのは要人から凌大へ囁きかける場面の意味である。これについては〈疑問点 要人が凌大に囁く意味〉にて要人の解説を終えたあと詳しく追求することとする。
【杢代和人】
愛情表現:蝶と同じ蜜を吸いたい
溺愛する蝶が食べているもの、花の蜜を同じように吸う。
〈MVから導き出される人物像〉
人々が恋焦がれる青い蝶が近くで舞っても手にとまり見つめ合っても和人の表情に変わりはなく、喜びの笑みは見られない。彼にとってそれは見慣れた光景のようである。和人のみ手に蝶のアクセサリーを身につけていないのは、既に人々が羨望する蝶を手にしていたからであろう。青い蝶は元々和人のものであった。(1~3枚目参照)
【武藤潤】
愛情表現:描きたい
辺り一面が埋まるほど、溺愛する蝶を様々な角度から描く。
〈MVから導き出される人物像〉
潤は、壁や床が一面埋まるほど溺愛する蝶を様々な面から描き記録する狂気な愛情表現をする人物である。記録するという意味ではビデオカメラを持つことに違和感は無いがこれには別の意味が内包している。
笑顔の少ない物語でありながら潤の余裕あるニヒルの表情は群を抜いて起用されている。加えて潤のみ目に青い蝶が映る場面とリンゴをかじる場面どちらも登場する。「頂上何%?ズルいよ」ではリップシンクせず何か訴えがある様子でこちらを振り向き見ている。サビとリップシンク以外でこちらを見るのも潤だけである。後ほど〈疑問点 潤が誘導役〉にてまとめて追求するが、潤は他のメンバーとは異なる重要な役割を担っている。
【大倉空人】
愛情表現:蝶と同じように飛びたい
溺愛する蝶がどのように飛んでいるのか、自身にも羽をつけ飛び方を研究する。
〈MVから導き出される人物像〉
蝶の生体を研究し自身も溺愛する蝶のように飛びたいと熱心に歪んだ愛情表現をする人物である。常に蝶の幻覚・幻想を見ているように空人の周囲は不明瞭な蝶が舞い、ぼけて歪んでいる。「君を守るよ」とこちらを向いて歌う場面では周囲に歪みはないが、鏡越しであることから直接見られない・触れられないといった意味が内包しているようにも思える。現実と幻想の区別がつかなくなっている様子だ。
【桜木雅哉】
愛情表現:観察したい
遠くにいる蝶を望遠鏡で覗き観察する。
〈MVから導き出される人物像〉
雅哉は溺愛する蝶を遠くから観察している。追跡、盗み見るという意味ではストーキングともいえる歪んだ愛情表現をする人物である。
MVでリンゴをかじる場面はなかったものの、ビハインド映像では映っていたことから編集上の都合であり深い意味はないものと考える。単独でソファーに座って歌う場面やセンターにいる場面もあるが、人物像が特定できるような決定的場面は少なく、読み取りが最も難しい人物であるため、上記以外の個性を見つけることはできなかった。
【小泉光咲】
愛情表現:夢で会いたい
夢の中では溺愛する蝶と会えている(思い込み)ため終始ベッドの上にいる。
〈MVから導き出される人物像〉
自身の作りだした夢の世界で溺愛する蝶へ狂気的な愛を表現する人物である。終始ベッドの上におり、「夢で会おうね」と歌っている。光咲は夢の中で蝶と会うことができる(思い込み)ようだ。サビの蝶を表す振り付けでは光咲のみ重ねる手が反対であることから他と見ている世界が異なることがわかる。光咲にとっては蝶に会える夢の中が真であり、その逆の世界、つまり現実世界の振り付けでは光咲が反対に見えるのだろう。
時計の針が指す9時20分であること、及び隣の写真立ての絵「Oryctolagus cuniculus, Lepus timidus」の関係は不明である。数字で取り上げるとショパン ノクターン op.9-2と関連しているようにも思えるがほぼこじつけのためわかり次第更新する予定である。
【吉澤要人】
愛情表現:奪いたい
人の真似をし、人のもの奪い、誰か、何かを経由することで満たされる愛情の表現者である。
〈MVから導き出される人物像〉
何かを見つけて目で追う(凌大)、ベッドの上で歌う(光咲)、蜜を吸う(和人)、と要人が登場する場面は全て誰かの真似ごとである。加えて要人のみ目に青い蝶が映る場面もリンゴをかじる場面もどちらもない。最後は、凌大の部屋に侵入し、青い蝶を奪い、物語は終幕する。誰かを真似し、人のものを奪うことで心が満たされる歪んだ愛情表現をする人物である。
オマージュ作品との関連性
このMVは以下、2作品がオマージュされたげんじぶオリジナルストーリーである。
・『少年の日の思い出』 ヘルマン・ヘッセ
・『アントニーとクレオパトラ』 ウィリアム・シェイクスピア
ここからは2作品との関連性について解説していく。
「少年の日の思い出」
僕:要人
エーミール:凌大
クジャクヤママユ:青い蝶
物語の内容は割愛する。
「アントニーとクレオパトラ」
原因は自分にある。の楽曲作品はこれまでシェイクスピア戯曲を多用してきたが、このように戯曲を明らかにして登場させたのは今回が初である。特にこの戯曲はシェイクスピアのなかでも珍しい大人の情熱的な恋愛物語だ。史実をもとに描かれているためここでは内容を割愛し、人物の関係性を主に記載する。
アントニー(アントニウス):凌大
カエサル:和人
クレオパトラ:青い蝶
アントニーの元妻フルビア:白い蝶
これが『アントニーとクレオパトラ』の情熱的な恋愛物語の始まりである。カエサルは『ジュリアス・シーザー』で描かれるためこの戯曲には登場しない。しかし戯曲から「Mania」の和人に繋がる人物はカエサルのみである。他の関連性についても検討したが見つけることはできなかった。このことから戯曲の内容よりクレオパトラに青い蝶を重ねることが目的であり、優先された事項である可能性が高い。つまり、ローマ帝国の英雄2人を魅了したクレオパトラの美しさを青い蝶に例え描いたMVである。
和人が自身の声色が高くなるパートを男女の掛け合い(言及あり)に例えていたことからも戯曲との関連性が見える。
以上の2作品の役を凌大、和人、要人に当てはめ、「Mania」の役に再構築し、関係性を整理した。
青い蝶は物語が展開されていく中で和人から凌大、そして要人に強奪される。①②の和人から凌大へ移る描写は『アントニーとクレオパトラ』のカエサルからアントニーへ移るクレオパトラ(実際には戯曲前の様子)と重なり、②③の凌大から要人が奪う描写は『少年の日の思い出』のエーミールから僕がクジャクヤママユを奪う姿と重なる。
疑問点
・要人が凌大に囁く意味
ふたりの掛け合いは以下の場面で登場する。
まず要人が凌大に囁く場面①は1:30までに4度登場する。
「それしか知らないだけだよ」から①と②が交差し、それ以降は②③場面が使用されている。このことから②③以降、要人は凌大に囁く必要が無くなった=要人の囁きに影響された凌大と考えて良いだろう。③で要人と同様に口を動かす凌大からも洗脳に近い影響を受けていることがわかる。
要人の愛情表現は「奪う」である。要人が凌大に囁く理由はつまり、白い蝶という存在がいながら和人の青い蝶を愛してしまった凌大の葛藤、揺れ動く心に「奪ってしまえ(DDGDD)」と悪魔のように囁く誘いの意味というわけだ。
・潤が誘導役
潤の持つビデオカメラは1997年に販売されたSONY miniDV DCR-TRV107である。このビデオカメラのドット数は640×480もしくは1360×1020でMV同様4:3のピクセルだ。(ビハインドで持っていた赤黒のカメラはフィルムカメラのため除外されたと思われる。)また上からの画角で青い蝶を見ることができた者は潤だけである。誰もが羨望し愛した青い蝶を見下ろすようにMVと同じピクセルのビデオカメラで撮影し、余裕のあるニヒルな笑みで口角をあげる潤の姿はまさにこの物語の全貌を知っている者のようだ。
シェイクスピア戯曲には導く役が存在する。『夏の夜の夢』のパックや『テンペスト』のプロスペローがその例だ。彼らは総じてどの場面にも登場する。プロットを動かす中心的な働きをする役であり観客に最も近い存在である。MVだけでは潤の中心的な動きに確信をもつことはできなかったが、潤のみ目に青い蝶が映る場面とリンゴをかじる場面のどちらにも登場することやこちら側(観客・観測者)に訴えかけるような表情をする場面があることから潤はこの物語において権力者であり誘導役であったと推測した。
・目に青い蝶が映る人物
目に青い蝶が映る人物は、現持ち主の凌大、元持ち主の和人、誘導役の潤でありこの人物は全員青い蝶と親しい関係にある。
加えて先で述べたように、現恋仲のアントニーは凌大、前恋仲のカエサルは和人、青い蝶はクレオパトラのように『アントニーとクレオパトラ』の人物と重なる。つまり、目に蝶が映る人物にとって青い蝶は近しい存在である。(潤は誘導役のためどちらともとれる)
空人と雅哉がビハインド映像で目のアップを撮影していたがMVでは起用されなかった。物語においてこの2名は愛情表現の役のみでシンプルな人物である。このことから、2名は誘導役の第2、第3候補だったのではないかと推測する。
・リンゴをかじる人物
リンゴをかじる人物は、空人、光咲、雅哉、潤(重複)である。雅哉は望遠鏡を通して青い蝶を目視しているが双方には距離がある。空人は幻想、光咲は夢、潤はフィルム越し、と直接青い蝶を見る描写はない。空人と光咲は自身の蝶の指輪を愛おしそうに見る様子からも分かるように、この4名にとって青い蝶は遠い存在だ。幻想や妄想を見たり、夢と現実の区別がつかなくなったりする人物像との辻褄も合う(潤は誘導役のためどちらともとれる)。
この場面は『アントニーとクレオパトラ』のクレオパトラ最期の場面のオマージュではないかと考えられる。
クレオパトラはイチジクの入った籠に猛毒の蛇を隠し道化に運ばせた。
クレオパトラは自身の唇に毒を塗り侍女であるチャーミアンとアイアラスにキスをし殺害する。その後自身の胸を蛇に噛ませ自殺する。
「Mania」の物語では毒蛇をイチジクと関連付けて相性の良いリンゴで代用し表現したのではないだろうか。
この空人の発言が気になった。ここからは飛躍した考察になるが、旧約聖書の「禁断の果実」を彷彿とさせたため深堀する。アダムとイブが食べたことで楽園追放になったあの話である。「禁断の果実」は「失楽園」でリンゴと明記があったため、リンゴと認識されることが多いが、創世記には「木の実」としか書かれておらず、実際のところ不明である。ブドウ、イチジク、ザクロ、バナナ、シトロンと言う者もいる。げんじぶが「禁断の果実」の要素を取り入れているとするならば、「柘榴」でザクロ、「無限シニシズム」でリンゴ、「Foxy Grape」でブドウ、今作「Mania」でリンゴを用いたのも繋がるかもしれない。正直偶然のように思えるが、可能性があるなら今後そのようなげんじぶも見てみたい。
・MVサビ3:4の振り付け
当初、サビは7日でテーブルを囲い踊る予定であったが急遽3人(潤、凌大、和人)と4人(雅哉、光咲、空人、要人)に分かれて撮影することとなった。
この振り分けは青い蝶が近い存在の人物3人(青い蝶が目に映る人物)と遠い存在の人物4人で分けられたと考えられる。要人はMVからも分かるように強奪するまで青い蝶と対面する描写はない、つまり遠い存在として振り分けられたのである。
楽曲「無限シニシズム」との関連性
〈2024.07.16追記〉
双方の楽曲のMVは、リンゴが登場する以外にも割れる・弾けるといったエフェクトの入る作品である。「Mania」の監督はMONA氏、「無限シニシズム」の監督は松永侑氏と異なるが構図が似ている点からは何か意図を感じる。5周年ライブでM15「無限シニシズム」、M16「Mania」と連なっていたことも意味があるのではないだろうか。今後「無限シニシズム」についても考察していきたい。
・ダンスの振り付け
先日7日の「GNJB 5th Anniversary LIVE『夢現の続き』」と12日、「バズリズム02」のスタジオライブにて「Mania」のダンスが公開された。
冒頭
始まりは7人が蝶のような立ち位置で始まる。「噂話」で雅哉、凌大、潤、「嘘ばかり」で光咲、空人、和人が立ち上がる。
サビの絡み
1サビでは光咲が雅哉、空人が潤に絡みつき首元を噛んだあと自身の指を噛む振り付けがある。この4名はMVでリンゴをかじったメンバーでもある。
先程『アントニーとクレオパトラ』より、クレオパトラは最期の場面で毒蛇に胸を噛まれた、と述べたが史実では胸か腕か不明である。
「どうして?噛み そんな痛み」と歌いながら首元を噛むサビの振り付けも毒蛇をイメージして作られたものではないだろうか。
指を噛む振り付けで現地点確認が取れたのは空人、和人、光咲が小指、雅哉が人差し指と小指である。また光咲のみリングが付いていない指を噛んでいたことからこれに関連性はないものと思われる。この件は情報が集まり次第更新していきたい。
2サビでは要人と凌大、潤と和人、光咲と雅哉がそれぞれ絡み合う振り付けになっている。メンバー同士の絡み関連だとCメロでは要人と凌大、潤と光咲、空人と雅哉、和人と雅哉が順にペアで絡み合う振り付けが見られる。またこのメンバーの共通項も不明である。
凌大、和人、要人の掛け合い
要人と和人の言葉からみて溺愛する相手、つまり蝶(ここでは凌大)を誘う場面だろう。しかし、青い蝶は高嶺の花であり高貴な存在では?といった先入観があるため個人的に受け身の姿勢は正直腑に落ちない点である。
要人の口パク
恐らく「俺のものになったらいいのに」である。
誰かのもの(人)を奪いたいという思いから生まれた言葉であると考えられる。
凌大と要人の舞い
優雅にターンして舞う要人は煌びやかな蝶の様である。また、ワンテンポずつ遅れて連なり踊るメンバーの間を舞い踊りながらすり抜けていく凌大もまさに蝶のようである。ここではふたりとも蝶をイメージして踊っているのだろう。
最後の場面
最後に要人の前で凌大が膝から崩れ落ちる描写はMVにも重なるように、要人の手中に蝶(ここでは凌大)が落ちたという意味がありそうだ。
【不明点】
潤の手
「頂上何%?ズルいよ」で3人に向かって歌う潤からはやはり誘導役の要素が見えるが、このあと右手で何かを抱き寄せる振り付けは何を示しているのか不明である。
終わり
今回は原因は自分にある。「Mania」を8,000字ほど考察しました。個人活動で培った力をげんじぶで発揮し作り上げる作品を観測できることが喜びであり幸せです。まだ不明確な箇所もいくつかありますので、今後も随時追記していければと思います。ご覧いただきありがとうございました♡
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?