見出し画像

2022.1月(10冊ログ)

毎月、読んだ本から「10冊」紹介しています。

#逆のものさし思考 #集中力はいらない #タイム・スリップ芥川賞 #教室に並んだ背表紙 #妻は他人 #しあわせは食べて寝て待て #倒産続きの彼女 #自分の意見で生きていこう #ちきりん

1.ダラダラやればいいのさ。 

集中力は、問題を解くスピードと正解率を上げ、全員が同じゴールに効率良く突っ走るのに役立つ技と定義されています。

そしてその集中力を必要とされる日々の連続だと、情報や視野が狭く、偏り、時には意見の違いや方向転換に我慢できずヒステリックな感情も引き起こしやすい。

集中力はいらない

仕事は集中力との戦いじゃなくて、計画に対して「明日やろうかな」という怠け心との戦い。そして必要なのは集中力ではなく健康管理。集中力を上げて作業効率を良くするルーティンワークから逃れて次のステージに行きたいと思うなら、分散思考が必要。

集中力からは発想が生まれないから、いつもあれこれと考えを巡らす分散思考を持ち合わせると「クリアする課題」への発想が生まれ、ブレイクスルーを起こせる。計画したことに早く次々と手をつけて、完結させるまですべてを並走させダラダラとこなせばいい。

その余裕のある仕事の仕方が、人との議論でも敵対せずどちらにも良し悪しがあると理解を深め、争いが起きない世界になる。私はこの考えがすごく好きでした。


2.ありがとう、文学の歴史を続けてくれて!

「すべての読書好きは、本を読むことで夜を乗り越える」と書かれた一文に、「私は救われた人間です、ありがとう文学!」と叫びました。
誰かの体験や脳内の妄想が、現実の人間を救ってきたんです。

1冊も小説を読んだことのない少年が、文学好きな科学者と一緒にタイム・マシンに乗って、歴代芥川賞受賞作家に会いに行くストーリー。歴史を知ればもっと文学を好きになる。

タイム・スリップ芥川賞

文学作品とは「この作家さんが書いてくれなかったら自分の中にある気持ちが昇華されなかった」という人間を救ってくれるもの。自分の目の前に起こる現実じゃないからこそ、その現象を楽しめたり、自分の気持ちをおさめたりすることができる手段だと思う。

音楽でも同じく「受賞」とは売上が大幅に変わる、成功者というイメージがあるけど、受賞を審査している人々の本質をこの本で知ることで、続けていく意義を痛感した。この文学の歴史を残していく事に賛同できる人が多くなりますように。


3.イマドキの中学生の感情を添えて

中学校の「図書室」を舞台に、クラスへの違和感や未来の不安、同級生に対する劣等感に対して自分がどう選択をすべきかと悩みながら司書の先生と対話を通じて本に出会い、生きるヒントを得ていく6つの短編集です。

教室に並んだ背表紙

今もし自分の環境、入ってくる情報に違和感が多いとしたら一度本を手に取ってみるといいかもしれない。自分の価値観に近く、次の1歩を踏み出す方法は、必ず何かの本に書いてある。

この本の中では、10代の本に興味がない学生たちが本を読み、何となく流されたり違和感がある価値観を否定することができないことに勇気をもって行動したりする。

10代の学生たちの言葉がとてもイマドキでリアルだった。聞いたことのない単語があるほど。でも、悩みの本質は私が10代の時と変わってなかった。中学生が読めば勇気がでるかもしれない。中学生の親も読むと、「子どもが考えていることのリアル」がわかるかもしれない。


4.トレンドになりつつある「夫婦」のカタチ

円満夫婦の“夫”が描くコミックエッセイ。同じ屋根の下に暮らすが、それぞれが家計もライフスタイルも独立、食事も別の時間に別のものを食べる。

無理なシェアはナシ。お互いにとって興味が重なることがあったら共に過ごしましょう。という生活スタイルを覗き見できます。

妻は他人 だから夫婦は面白い 

結婚した瞬間から各役割が決まって、その役割の人間に成長しない事には結婚生活が成り立たないよね、という風潮はそろそろ終わりを迎えている気がする。

この本の中で語られるリアルを見ると、すごく温かい時間が流れていて、健やかであり、冷えた印象は全くない。結婚する目的が「自分にとって心地よい、健やかな時間を過ごすことである」というライフスタイルは確かに存在している。


5.ちょっとひと休みしませんか

免疫系の病気になり、頑張らないことで生活することと向き合う日々のお話し。何もかもが折れてしまったときに、一番最初に回復するきっかけは「食事をしたくなる」じゃないかと思う。そのきっかけをくれる本です。

しあわせは食べて寝て待て

病気を認めた瞬間から失ったものを受け入れないといけなくなる。だからやっぱり受け入れづらいけど、受け入れた後の生活は案外穏やかで楽になれるかもしれない。

薬膳と出会い、身体の小さな不調を野菜料理で解消したり、勇気をもって断る選択をしたり。

人生の中では休みの期間があってよくて。自分が思い描いていた幸せはもう手に入らないと思っていても、必ず幸せな日は来るからその時までに元気になっておこう。


6.会社存続に命を懸ける社会

『このミステリーがすごい! 』大賞 『元彼の遺言状』の続編。彼女が転職するたび、その企業は必ず倒産する謎の連続殺「法人」事件のハナシです。

脳内で映像化しやすいストーリー展開。婚活や就活など、女性のリアルと、残酷な社会構造を知ることができます。

倒産続きの彼女

フィクションですけど、遠からずこの事件は実際に起こっている気がする。

会社の存続には、命を懸ける人間がいてこそ乗り切れる分岐も少なからず訪れる。そして会社は存続のために「雇用は守らない」ことが普通にある。そこに正規雇用、非正規雇用とあればそこにいる人間同士の差が生まれ軋轢を生む。

倒産を選ぶことで守ったと思われることが、搾取であることもある。主人公がふわふわしていないと、事象としての残酷さに押しつぶされてしまうミステリー。

7.優しい社会は、人間の思考が作る

「自分だったらどう考えるか」に向き合う本を読んでみませんんか?考えずに感情を爆発してしまうエゴは、教養で変えることができるのです。

簡単わかりやすい情報で思考を奪われ、思考回路を支配されていませんか?思考を巡らせるとシンプルなことに気づきます。

逆のものさし思考

もし今、あなたが簡単で読みやすく自分の考えに近い本を読んでしまっているとしたら、その本心は「効率的だから」では?

手っ取り早く正解を知って、成功したい。時間がかかる・非効率なことは全部めんどくさい。できるだけ自分の時間や労力をかけたくない、なぜなら自分が損したくない。そしてギスギスした世の中になるのって考えてみれば当たり前。

大した金額も払ってないのに、常に自分が提供を受けるサービスに対して競合と比較し、自分が損をしない状態で1番いいサービスを受けるために横柄な態度をとることになる。

そのエゴが関わる人間の多大なるストレスを引き起こしていることに目を向けない大人は怖い。


8.人生に自信が持てないのは、問題解決能力のなさ?

人生は「正解のない問題」でできています。そしてその正解のない問題を解いていく事が生きるという事です。問題がない人生は存在しないということは早めに腹をくくった方が良さそうです。

だけど、悩みは「正解のない問題」であって、「解決しない問題」ではありません。大切なのは「自分の意見」で目の前の選択をすること。「自分の人生」を生きたい人は必読です。

自分の意見で生きていこう

人間は1人残らず全員が、オリジナルの人生を生きていきます。

それが当たり前であっていいのに、誰かになぜか答えを求めてしまい、他人から何かを言われて不安になる。このスパイラルを抜け出すには、この本を通じて自分のアタマで考えよう。

ちきりんさんの本は過去出版の3冊と合わせてこれが4部作となり完結。今後書籍は出さないとのこと。ちきりんさんには当然お会いしたことはないけど、ちきりんさんが独自の思考を世に出してくださったことで、私の社会人人生は本当に助けられた。

生き方を選ぶ時に、「自分がどう生きるかを他人に決められるなんてありえないでしょ」という大前提をずっと唱え続け、それを世の中がそうだよね、と認めざるを得ないロジックでの解説。

女性が総合職を選ぶなんてありえなかった時期から道を切り開いてくれて、本当にありがとうという気持ちでいっぱいです。

最後に、私が社会に出てから長きにわたり、今もなお、時々読み返して勇気をもらっているブログエントリがありますので貼っておきます。私より若い世代の働きたい女性たちも、これからまだまだぶつかっていく壁だと思いますので。

Chikirinの日記

2012年 一番大事なこと

2014年 普通の門 と ピンクの門

2017年 ちゃんと自己決定してきたか?

大丈夫。
あなたの人生は、あなたの意見で生きていこう。

おわり。
読んでくださってありがとうございました。
嬉しい気持ちでぐっすり眠れます。

喜びます、ありがとうございます。