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チリメンキャベツのシンプル料理

5年くらい前に、東京の自宅で「水曜日の食卓」という、残業で外食が続いている人のための食卓/食堂をやっていたのだが、一番最初の日につくったのが、チリメンキャベツ(サボイキャベツ)でつくる、イタリアのロールキャベツだった。結局、その日はノーゲストで、近所に住んでいた妹とふたりで完食した。ゲストがこなくて残念だった気持ちが、あまりの美味しさでふっとんだ。

このキャベツの特徴はしっかりと煮ないと、全然美味しくないこと。一度、急いでいて、しっかりと煮込まなかったときには、別の野菜かと思うくらい、食べにくかった。これは、間違いなく時間が美味しくしてくれる野菜だ。

先日、いつものJA直売所で、チリメンキャベツが出ていて、迷わず買った。いつものように、ロールキャベツにしようかなと思っていたけど、なんだか気が進まない。やっぱり、基本的には手間のかかる料理は好きではないのだ。ならば煮込みかと思ったけれど、冷凍庫に塊の肉がない。

いいレシピはないかと探していて、「サボイキャベツのヴァルペッリーネ・スープ」なるものを見つけた。野菜はキャベツのみ。あとはチーズ、パン、ブイヨン、バター。完全に北イタリアの料理だ。キャベツをしっかり塩茹でして切る。そして、バターを塗った耐熱皿に、パン、キャベツ、チーズ、パン、キャベツ、チーズと重ね、ブイヨンを満たす。最後にかける溶かしバターは、オリーブオイルに変えて、180度のオーブンに入れて40分待つ。

さて、この料理の美味しさは、表面と中のチリメンキャベツが違った味になるところにある。表面のキャベツは、水分も飛んで、パリッとして、味もかなり凝縮している。ちょっと海苔みたいな風味も出る。中のキャベツは、ブイヨンを吸い込んだパンとチーズに挟まれて、くったりと煮込まれている。上のカリッ、下のトロッ、上のカリッ、下のトロッとやっていると、あっという間に食べすすんでしまう。

関西でもチリメンキャベツが手に入ることがわかったし、またひとつ、簡単で手数の少ない冬の料理が見つかった。




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