ノケドリすごい
ノケドリというパスタに、はまっている。きっかけは、ウィークエンド世界食堂だ。先日のゲルゲイさんのハンガリー料理編で、プルクルトというシチューの付け合わせとして提供した。
ノケドリは、小麦粉と卵に塩と水を混ぜてぼってりした種をつくり、穴の空いた板(現地には専用のものがあるが、我が家ではおろし器)にのせ、ヘラでポタポタと沸いた湯に落とし茹でる、卵パスタだ。小粒のニョッキと言ってもいい。衝撃的に簡単だ。しかも、2人分でつくると、種に対する卵の割合が高くなるせいもあってか、とても美味しい。
パスタと言えばもちろんイタリアだ。私も10年前はマンマたちに手打ちパスタを教えてもらいに、イタリアの家庭の台所に通っていた。手打ちパスタのワークショップだってやっていた。イタリアのパスタは、ソースに合わせて、形状がさまざまで、それが粘土遊びのようで楽しい。だから、子どものワークショップもよくやった。しかし、体力が落ちてくると、それこそが段々と億劫になってくる。特に大好きなシチリアは、アラブ文化も色濃く、乾麺がパスタ文化の中心だったこともあって、ここ数年はほとんど手打ちパスタをつくることもなかった。
ただ、やっぱり手打ちパスタというのは、乾燥パスタとは全く違う食べ物だ。それぞれにそれぞれのおいしさがあるが、特に濃厚なソースとあわせるとき、その本領が発揮される。今回、思いもよらず、ハンガリーという国を通して、生パスタと再会してしまった。しかも、ものすごく手軽につくる方法に。
このノケドリは、ハンガリーで羊飼いたちが、野外でシチューを煮込んでいる間に、となりでつくっていたようなもの、とゲルゲイさんは話していた。つまり、アウトドアパスタなのだ。そう考えると、台の上でこねない、このつくり方も納得がいく。逆にイタリアでは、パスタを成形することに、なぜこだわっていったのか、改めて調べたくなった。とはいえ、我が家の生パスタは、しばらくノケドリで行くことになりそうだ。
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