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医薬品と医療機器の承認と特許について(米国)

アメリカにおける医薬品、医療機器、生物学的製剤の承認に関する用語をまとめます。

●Investigational New Drug Application (IND)
未承認薬をヒトで評価するための臨床試験の届け出。前臨床試験終了後、企業はFDAにINDを申請し、ヒトでの試験を開始する。INDは、30日以内にFDAが不承認しなければ有効となる。

●New Drug Application (NDA)
新薬を市販するための承認申請書。新薬の安全性と有効性に関する十分な証拠が得られ、FDAの承認要件を満たしていると判断した場合、企業はFDAに新薬申請書(NDA)を提出する。EUでは、販売承認申請(MAA)がこれに相当する。

●Supplemental New Drug Application (sNDA)
医薬品の承認後、用法用量や適応症等を変更する際に提出する追加申請書。追加申請の対象には、製造方法、対象患者、製剤の変更などが含まれる。

●Abbreviated New Drug Application (ANDA)
後発品(ジェネリック医薬品)の承認申請書。簡略化新薬申請書(ANDA)では、一般的に前臨床試験(動物)と臨床試験(ヒト)のデータを含める必要はなく、先行医薬品と生物学的に同等であることを証明することのみ必要とされる。

●Premarket approval (PMA)
PMA(市販前承認)とは、クラスIIIに属する医療機器を市販するためのFDAの承認プロセス。クラスIII医療機器とは、人の生命を維持する機器、健康障害を防止する上で重要な機器、または疾病や怪我のリスクを生じる可能性のある機器とされる。PMAは、FDAが要求する医療機器の承認申請の中で最も厳しいタイプのものである。

●Premarket notification (PMNまたは510k)
上記PMAの対象ではない医療機器で、ヒトへの使用を目的とする機器(510k要求事項を免除されている場合等を除く)を米国で販売する企業は、FDAに市販前通知申請(PMN)を提出する必要がある。510kでは、申請する医療機器が、すでに承認販売されている医療機器と安全性と有効性が少なくとも同等であるということを示す必要がある。

●Biologic License Application (BLA)
生物学的製剤は、連邦公衆衛生サービス局(PHS)法の規定に基づいて販売が承認されている。生物学的製剤承認申請書(BLA)は、生物製剤の製造工程、化学、薬理学、臨床薬理学、および効果に関する具体的な情報を記載した申請書である。提供された情報がFDAの要件を満たしていれば、申請書が承認され、企業は製品を販売することができる。

●Patent life
製薬メーカーが特定の医薬品製品を独占的に販売する権利を保持している期間。特許期間は、特許出願日から20年とされるが、製品が市場に出る前に特許を取得しているため、独占的に販売できる期間は20年より短いことが多い。医療機器は、製品により期間が異なる。
医薬品の特許が切れると、製薬会社はその医薬品の独占販売権を失い、ジェネリック版が市場に参入できるようになる。特許権を延長するための戦略として、剤形の変更、独自の製造方法、適応症の変更などの新しい特許を申請することが考えられる。認められた場合、特許権の延長は、最長で5年間だが、トータルの市場独占期間は14年を超えることはできない。

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