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アメリカの医療関連の法律・規制

アメリカの医療・医薬品等に関連する法律・規制について、まとめます。

●Food and Drug Administration Modernization Act (FDAMA)
FDA近代化法(FDAMA)は、食品、医薬品、医療機器、生物学的製剤に関する規制を改善するための法律改正で、1997年に施行された。FDAMAでは、医薬品および生物学的製剤の製造承認を合理化するため、処方薬ユーザー・フィー法(PDUFA)が再承認された。
※2011年に施行された食品安全近代化法(Food Safety Modernization Act ; FSMA)と区別すること

●Food and Drug Administration Amendments Act of 2007 (FDAAA)
本FDA改正法は、医薬品・医療機器の安全性強化を目的として、2007年9月27日に成立
した。特記すべき点として、第8章(Title VIII)において、臨床試験の公開が義務付けられた。新たな臨床試験結果データベースの構築や、対象となる臨床試験の拡大、金銭的罰則などについて定められている。

●Prescription Drug User Fee Act (PDUFA)
処方薬ユーザー・フィー法(PDUFA)は、FDAが新薬承認プロセスの資金調達のために製薬メーカーから手数料を徴収することを認める法律である。この法律により、FDAは新薬申請(NDA)が提出された時点で、製薬メーカーから申請料を徴収する権利があることが規定された。FDAにおける、新薬の承認審査期間の短縮を目的としている。

●Sunshine Act
サンシャイン条項は、米国オバマ政権のもと医療保険改革法に組み込まれた法律条項で、医師への支払い情報の公開を目的とする。医師は、身元、事業所の住所、専門性、 National Provider Identifier、および収入や資産の詳細を、保健福祉省長官に毎年報告することが求められている。本条項には法的な強制力があり、報告しなかった場合、罰金の対象となる。

●Corporate integrity agreement (CIA)
製薬企業による重大な不正行為が発覚した場合、保健福祉省の監察総監室(OIG)が企業と結ぶ協定。締結後、通常 5 年間にわたり、包括的なコンプライアンス・プログラムの導入を企業に強制する。CIAには、トレーニング、コンプライアンス・オフィサーの指名、詳細なプロセスの開発、通信ホットラインの導入などのコンプライアンス対策が組み込まれており、不正行為が二度と起こらないように設計されている。これまで、販売促進を目的とした医師への利益提供などの問題が明らかとなり、CIAを課された例がある。
上記のサンシャイン条項により、全米の製薬企業による医師や病院への支払いについての情報公開が義務づけられた。これにより、10ドル以上の支払いについて、企業は情報公開しなければならない。

●Risk evaluation and mitigation strategy (REMS)
リスク軽減戦略(REMS;レムズと読む)はFDA改正法に基づき、新たに導入されたシステムで、医薬品の安全性に関連する重大リスクを管理するためのプログラムである。FDAは企業に対し、医薬品関連リスクについて、患者や医療提供者への情報提供および教育等に関する目標を含めたREMSを提出させることができる。

●Washington Legal Foundation vs. Henney (1999)
非営利法律団体のワシントン・リーガル・ファウンデーション対Jane E. HENNEY(Commissioner, Food and Drug Administration)の訴訟。製薬企業や医療機器メーカーが製品の適応外使用を記載した論文を医師に配布するなどの行為をFDAが禁止・制裁することは、権限の範中を超えていると判断された。
連邦規則(Code of Federal Regulations)第21 条99(21 CFR 99)で定められたDDMAC (Division of Drug Marketing, Advertising, and Communications) のプロセスを経て、審査された場合、適応外情報の配布は議論が認められる範囲(Safe harbor:安全領域)であるが、企業はその利益とリスクを秤にかけるべきである。

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