見出し画像

ヒストリー㉖その先へー・2013年10月・2014年9月

WHOがライフリンクを評価


2013年10月超党派の議員連盟「自殺対策を推進する議員の会」が設立され、ライフリンクの清水康之代表がアドバイザーに就任しました。

2006年1月に結成されていた「自殺防止対策を考える議員有志の会」を発展させたものです。
「有志の会」には、自殺対策基本法成立に大きな役割を果たした生前の民主党の山本孝史さん、厚生労働大臣として尽力した尾辻秀久さん、山本さんのパートナーとして厚生労働委員会をとりまとめた自民党の武見敬三さん、後に内閣府特命担当大臣として自殺対策を担当することになる社民党の福島みずほさんが名を連ねていました。「有志」は「連盟」へと基盤を広げたのでした。

「議員の会」は、2013年11月、「自殺総合対策の推進に不可欠な財源確保に関する要望書」を安倍晋三首相に提出します。
また、「議員の会」の下には「若者自殺対策ワーキングチーム」が設置され清水代表がアドバイザーを務めました。
民間団体や自治体にヒアリングを進め、若者の自殺対策に関する緊急要望を菅義偉内閣官房長官に提出しました。国会に議員連盟という「核」ができたことで、自殺対策はさらに範囲を広げ、密度を高めていきました。

2014年9月、世界保健機関(WHO)のリポート「自殺を予防する 世界の優先課題」が公開されました。
その中で、WHOは日本の取り組みを成功事例として評価しました。

「日本国において、自殺は依然として社会的タブーであった。自殺は個人的な問題と考えられ、広く公に議論されることはなかった」
こう分析した後、そうした状況を変えたけん引役としてライフリンクの活動を紹介したのです。   

WHOは、自殺対策基本法ができる前年の2005年の段階でも、ライフリンクの活動に注目していました。「世界自殺予防デー(9月10日)」で、ライフリンクが日本で初めて大きなイベントを開催した際、後援団体としてそれを支えたのです。当時まだ設立1年足らずだったライフリンクを、また、政府からの後援もないイベントを、国際機関のWHOが後援するというのは極めて異例のことでした。自殺対策が遅れていた日本のけん引役としてライフリンクに期待したものと関係者の多くは受け止めました。その後もライフリンクはWHOの後援を受けて毎年、大規模な啓発イベントを開催していきます。こうして「世界自殺予防デー」は、日本に根付いていきました。

               
=続く 次回は、㉗2015年5月編「自殺対策基本法10年」です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?