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きょう心にしみた言葉・2024年1月23日

私は当初、患者さんのその人らしさを支えるのが『ホスピスのこころ』だと表現していました。でも、寄り添うことこそが大切だと思い始めたのです。

2024年1月14日毎日新聞コラム「滝野隆浩の掃苔記」から

日本のホスピスの先駆者である淀川キリスト教病院の柏木哲夫・名誉ホスピス長の言葉です。柏木先生は1970年前後に3年間、米国に留学し、病院で亡くなっていく人に対する手厚いチーム医療の実践をみて衝撃を受けました。帰国して73年、淀川キリスト教病院に医師、看護師、心理職、牧師らで末期がん患者をみるチームをつくりました。ここから日本のホスピス・緩和ケアが始まりました。

半世紀にわたり、約2500人をみとってきた柏木先生ですが、長い実践の中で「支える」「寄り添う」の違いに気づいたといいます。「支える」はタテの関係。下から持ち上げていないと患者は落ちてしまうと心配します。「寄り添う」はヨコ関係。そばを歩けば患者は自分で進んでいけると信じることができます。
「私は当初、患者さんのその人らしさを支えるのが『ホスピスのこころ』だと表現していました。でも、寄り添うことこそが大切だと思い始めたのです」

柏木先生は、著書の中で、世界のホスピスの母と言われたシシリー・ソンダース博士の言葉を紹介しています。
「終末期ケアの真髄は、何かをすることではなく、患者とともにそこにいること、患者と家族のそばに何も答えられなくてもただ留まっていること
寄り添うことで、寄り添われた人も、寄り添った人も、ともに救われていく。そんな光景が見えてきます。

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