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きょう心にしみた言葉・2024年6月5日
人間はあらゆることにかかわらずーー困窮と死にもかかわらず、身体的心理的な病気の苦悩にもかかわらず、また強制収容所の運命の下にあったとしてもーー人生にイエスと言うことができるのです。
アウシュヴィッツなどナチスの収容所で、死と隣り合わせの日々を生き抜いたオーストリアの精神科医、ヴィクトール・エミール・フランクル。著書「夜と霧」(みすず書房)は、戦後70余年たった今も世界で読み継がれ、多くの人に生きる力を与え続けている世界的・歴史的名著です。
「それでも人生にイエスと言う」は、フランクルがナチスの強制収容所から解放された翌年の1946年にウィーンの市民大学で行った三つの連続講演を収めたものです。
どんな人生にも意味がある。死ぬまでの一瞬一瞬すべてに意味がある。人生の意味は何なのかと探す必要などない。人生の方から意味を問いかけてくる。私たちはその問いかけに答えていくのだ・・・。フランクルは繰り返し訴えています。
著書の題名「それでも人生にイエスと言う」は、ブーヘンヴァルト強制収容所に送り込まれた人たちが自らつくった歌の歌詞「それでも人生にイエスと言おう」からとったものです。フランクル自身はブーヘンヴァルト強制収容所に収容されていませんでしたが、仲間が次から次へと死んでいき、いつ自分の順番がきてもおかしくない状況の中で歌い継がれた「それでも人生にイエスと言おう」に生きる意味の深さを見出したのです。
この歌は、収容されていたフリッツ・レーナー=ベーダさんが作詞し、ヘルマン・レオポルディさんが作曲しました。二人ともプロの音楽家でした。作詞したフリッツ・レーナー=ベーダさんはその後、アウシュビッツに移送されて亡くなります。作曲したヘルマン・レオポルディさんはドイツの敗戦で釈放され、アメリカとウィーンで音楽活動を続けました。
心揺さぶられる歌詞をみていきます。
おお、ブーヘンヴァルトよ
私はおまえを忘れることはできない
なぜなら おまえは
私の運命そのものだから
おまえを心の支えにする者は
自由がいかに素晴らしいか知っている
おお、ブーヘンヴァルトよ
嘆き悲しむことはない
我々の行き着く先が何であろうとも
それでも人生に イエスと言おうではないか
いつの日か やってくる
我々が自由になるその日のために
「きょう心にしみた言葉」では、2022年10月24日号でもフランクルの著書「人間とは何か」を紹介しています。
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