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ライフリンク・メディア報道・世界自殺予防デー・自殺予防週間①

9月10日は世界自殺予防デーです。そして、日本では、これ以降の1週間を自殺予防週間と定めています。この期間は、厚生労働省、全国の自治体やNPO法人をはじめとする各団体、研究機関など官・民・学が一体となって啓もうイベントや生きづらい人たちへの支援を行っています。メディアも報道を工夫しながら自殺対策への理解が広がるよう努めています。

世界自殺予防デーに合わせて、自殺対策条例を施行した自治体があります。福島県郡山市です。2017年6月29日毎日新聞福島版が伝えています。

郡山市議会は28日、6月定例会最終日の本会議で、県内初の「自殺対策基本条例」を全会一致で可決した。市は条例に基づき、自殺防止や遺族支援に取り組むための行動計画を策定する。世界保健機関(WHO)が定める世界自殺予防デーの9月10日に施行される。
条例は全22条で構成し、自殺対策の行動計画を市がつくることを定めている。対策の進捗(しんちょく)状況を市議会がチェックすることも明記。当事者や遺族の尊厳に配慮するとともに、市が遺族の支援に取り組むことも盛り込んでいる。
市議会は「安全・安心なまちづくり特別委員会」を2015年12月に発足。計32回の審議を重ね、今回、条例案を提出した。

2019年09月11日朝日新聞秋田版は、秋田県の街頭での啓発活動を伝えています。

 「世界自殺予防デー」の10日、相談窓口の連絡先が書かれたチラシなどを配る街頭キャンペーンが、JR秋田駅前「ぽぽろーど」であった。16日までの自殺予防週間に合わせ、各地で相談会や啓発活動が実施される。
 キャンペーンには佐竹敬久知事ら県や秋田市、NPO法人の関係者など計67人が参加。通勤・通学者に2千部のチラシを手渡した。
 主催した「秋田ふきのとう県民運動実行委員会」の佐藤久男会長(75)は、行政や民間の連携による自殺対策が実を結びつつあると指摘。自殺予防には「『顔色が悪い』など、周りの人が早い段階で異変に気づくことが必要」と話した。
 厚生労働省の統計によると、県内の自殺者数は2003年の519人をピークに減少傾向にあり、18年は199人に。10万人あたりの自殺者数を示す自殺率も18年は20.3で、4年ぶりに全国ワーストを脱却した。

大分市は、自殺対策のアプリをつくり、公開しました。2019年9月2日朝日新聞大分版が伝えています。

昨年、県内の自殺者数は214人で、人口10万人あたりの自殺死亡者数を示す自殺死亡率は18・6だった。全国平均の16・5を上回り、九州では佐賀県の19・5に次いで高い。自殺者数は過去20年で最多だった2002年の356人からは大きく減ったが、この期間中に200人を下回ったことはない。減少傾向にはあるものの、決して少なくはない状況だ。
 大分市は対策の一つとして、メンタルヘルスの状態を確認するアプリ「こころの体温計」を公開。スマートフォンを利用して心の状態を知ってもらい、相談にもつなげる狙いがある。
 アプリには五つのモードがあり、「本人モード」では健康状態や人間関係、住環境などの質問に答える。回答者のストレス度合いを金魚や金魚鉢、水の透明度で表示。対人関係でストレスがあれば回答者を表す赤い金魚に対し黒い金魚が攻撃的になったり、住宅環境であれば鉢にひびが入ったりする。
 「家族モード」では、家族など身近な人の状態が当てはまる項目をチェックしていくと、4段階で結果が示される。相談窓口の電話番号の案内もある。
 市の担当者は「身近な人のうつ状態に気がついたときは専門家に相談するよう勧め、温かく見守ってほしい」と話している。
 「こころの体温計」は市ホームページ(http://fishbowlindex.jp/oita/)でも利用できる。
 

自死遺族へのケアの取り組みを伝える読売新聞の記事(2010年9月7日、同9月30日)

2007年9月11日毎日新聞は、全国の自治体を対象に自殺対策の進捗度を調査しました。

 官民が連携して自殺対策に取り組む連絡協議会が、都道府県・政令指定都市の約8割で設置される一方、自殺対策の「行動計画」をまとめている自治体は岩手県のみで、具体的に計画を作る予定の自治体は4割に満たないことが、毎日新聞の調べで分かった。政府は6月、16年までに自殺死亡率を2割以上減らす「自殺総合対策大綱」を閣議決定しているが、自治体の具体的な取り組みにまで広がっていない。
 毎日新聞は10日の世界自殺予防デー(10~16日は初の自殺予防週間)に合わせて、都道府県と政令市の64自治体を対象に、10日現在の状況についてアンケートした。内閣府は6月の政府の大綱を踏まえ、都道府県と政令市に対し、連絡協議会を設置し、行動計画を策定するよう求めている。
 アンケートによると、官民の連絡協議会は、14自治体で未設置だが、そのうち12自治体は08年までに設置する予定。大阪、千葉市は府県の協議会に一員として参加しているため、設置予定はない。札幌、さいたま、横浜、川崎の4市は道県と共同で協議会を設置しており、道県とともに事務局を持っている。
 行動計画は、岩手県が今年3月に策定し、23自治体が時期を明示して「策定を予定している」と回答。一方、昨年10月施行された自殺対策基本法は、国と自治体に自殺対策を行う責務を課し、民間団体を支援するように明記しているが、13自治体が実施していなかった。「自殺に特化した民間団体がないため」が主な理由。
 自殺対策に詳しい本橋豊・秋田大教授(公衆衛生学)は「支援は行政がやりにくい分野を中心に実施すべき。民間団体任せにせず、どのような対策が必要かを考え、取り組んでほしい」と話している。

メディアも知恵を絞りながら、報道を続けています。

写真は、宮城・松島の藤田喬平ガラス美術館にて。

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