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きょう心にしみた言葉・2023年10月11日

病気を治して問題を解決しようとするのが《精神科医》で、話を聞いて本人の《こころ》を成長させて問題を解決させようとするのが《こころ医者》です。                                                         
《精神科医》には、医者しかなれませんが、《こころ医者》には、だれでもなれるということです。医者である必要はありません。
《こころ医者》として、身近な家族や、友人や、自分自身のこころの治療者になってくれるだけでいいのです。

「こころ医者入門」(なだいなだ・著 NHK出版)

「こころ医者入門」は、作家で精神科医のなだいなださん(故人)が、2006年10月~12月にNHKラジオ番組「こころをよむ」で語った内容をまとめた冊子です。
なだいなださんは、アルコール依存症の治療にあたるようになったことをきっかけに「こころ医者」を名乗るようになります。
精神医療は、画期的な薬がいくつも開発されて大きく進歩しました。
しかし、アルコール依存症は薬が効かない病だといいます。精神の機能の一部の病気というよりは、人格という精神の全体、《こころ》に関した問題だと気づいたというのです。
なだいなださんは、患者の話の聞き手になり、病気がその人の人生でどんな意味を持っているのか、こころと病気はどんな関係にあるのか、治るということはどういうことなのかを考えます。そして、その人のこころの成長を見つけ出し、伴走していきます。
「こころ医者入門」は、一人でも多くの人に「こころ医者」になってほしいと語られたものです。「こころ医者」には、専門知識や特異技能など特別な力は必要ありません。ただひとつ必要な力があるとすれば、それは「忍耐力」だといいます。じっと聞く力、ひらすら聞く力。最初はその力がなくても続けるうちに徐々に身についてくるともいいます。
「命の門番」と言われる「ゲートキーパー」の活動にも通じる指摘ではないでしょうか。


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