見出し画像

ライフリンク・メディア報道・秋田の取り組み①・2014年10月

2014年11月、秋田県では8年目となる民・学・官の連携事業「いのちを守り、いのちを支える」が行われました。秋田魁新報社が主催し、秋田県、秋田県医師会、自殺予防「秋田・こころのネットワーク」が共催する、まさに「民・学・官」の連携による取り組みです。これに先立ち、清水康之代表へのインタビュー記事が掲載されました(秋田魁新報、2023年10月31日)。
清水康之代表の発言を紹介します。

2014年10月31日 秋田魁新報

(秋田県に)注目しているのは、自殺率の高さではなく、自殺対策の先進県であることだ。秋田では、民間が主導しながら大学と行政が一体となり、しかも全県レベルで展開している。『学』では、秋田大の公衆衛生の立場で研究し、連携する人材がいることが大きい。他県ではこうした体制を取りたくても実現することが難しい地域があるだろう。民・学・官それぞれが、知見や経験を生かしながら総力戦で臨んでいくことが重要だ。またマスコミが連動してイベントにとどまらず常に自殺予防に取り組み、自殺に対する誤解と偏見を取り除こうと啓発に努めていることも効果的。自殺対策の両輪である『実務』と『啓発』の一方を担っており、他の都道府県には見られない秋田モデルの特長になっている

課題は、民間が運動をけん引している中で、行政や政治がもっと積極的にかかわるべきということだ。都内のさまざまな区で実施しているような行政トップの指導の下、全庁挙げての取り組みが必要。例えば、足立区では3500人の全職員に初級の自殺対策研修を受講させている。庁内の足並みがそろえば問題とその対策ビジョンが共有できる。人材育成にもつながり、対策のネットワークの構築とともに運動展開の両輪を構築できる。民・学・官連携の取り組みにより秋田は先進県と言われるが、行政の対策に限って言えば先進県とはいえない。全職員、少なくとも全幹部職員への研修を県レベルで行うことで初めて、行政の取り組みでも先進県となる

教育の分野では、困難やストレスに直面したときに自ら身を守るライフスキル教育が重要になる。実社会に出たときに抱え込みかねないリスクにどう対処すべきか、簡単に言えば『SOSの上げ方』を知ることだ。学校とのつながりがあるうちに『助けて』を誰に、どうやって伝えればいいのかを知らなければならない。東北では特に『我慢しなければいけない』という思考が強いだけに小さいころから『SOSの上げ方』を教えたい。私たちはこのライフスキル教育を『自殺の0次予防』と呼んでいる

自殺未遂者は最も自殺リスクが高い存在であるのに、対策が遅れていた。これこそ民・学・官のうち官の役割だが、継続実施するためには財源の問題もあった。内閣府の概算要求により来年度の当初予算に地域自殺対策費が盛り込まれる可能性が高い。未遂者支援対策が推進されることを期待したい

写真は。東京・六本木の森美術館にて。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?