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きょう心にしみた言葉・2024年8月21日

思い切り甘やかしてください。
子育てに「しつけ」は必要ありません。
夢のような環境の中でほおっておけば、
自然に学ぶ力が備わっている子どもは、自らの力で学びます。

「校則をなくした中学校 たったひとつの校長ルール」(西郷孝彦・著 小学館)

2010年から2020年まで東京都世田谷区立桜丘中学校で校長を務めた西郷孝彦さんの著書「校則をなくした中学校 たったひとつの校長ルール」から紹介しました。桜丘中学校は、まさに「奇跡」のような学校です。著書の冒頭から引用します。「桜丘中学校には、校則がありません定期テストもなければ、宿題もありません。チャイムも鳴らなければ、教員が生徒に強い口調で叱ることもありません」「服装も自由、髪型も自由、おまけに授業中の昼寝も、廊下での勉強も自由。みんな自由に意見を言い合い、その議論で学校は変わり続けています
西郷さんは「これは“奇跡”などではありません。どんな学校でも、どんな家庭でも、まだ間に合います。子どもたちは必ず、本当の自分を取り戻すことができます」と言います。しかし、これまでの常識から学校を考える時、「奇跡」という言葉しか浮かんでこない教育実践が行われてきました。

西郷さんは1954年生まれ。1979年から都立の養護学校(現・特別支援学校)をはじめ、大田区や品川区、世田谷区で数学と理科の教員、教頭を歴任し、2010年に世田谷区立桜丘中学校の校長を10年間務めました。 

桜丘中学校の取り組みは、朝日新聞が2020年に4回にわたって連載しています。

記事から引用します。
「校則はなくした。チャイムも朝1回だけ。制服は着ても着なくてもいい。定期試験は廃止し、日々の積み重ねテストに。携帯電話やタブレット端末も持ち込み可。プログラミングや英語翻訳アプリなど、子どもたちの教育に役立つと思うことは、まずやってみる」
「評判を聞いて学区外から入学してくる生徒が、半数を占めるほどになった。私立を辞めてきた子、外国籍や不登校、発達障害の子……。3学年で12~13だったクラス数は、昨年度は14、今年4月からは17に増えた。教室は満杯だ。一方で、今年も卒業生約180人の1割以上が日比谷高校や西高校など都立の進学指導重点校へ。早稲田大や慶応大の系列高校への進学も少なくない」

著書にも、信じられないほど自由な学校の姿が描かれています。麻雀牌を持ってきた生徒がいました。「麻雀がしたいんだ」。そう感じた先生たちは教室の廊下に半円テーブルを二つ合わせて麻雀ができるスペースをつくりました。すると、養護の先生が「保健室に毛布がありますよ」と廊下まで運び、立派な麻雀卓が出来上がったそうです。

桜丘中学校の取り組みが映画でも紹介されました。学校を根本から見直す6人の校長先生を描いた「夢みる校長先生~子どもファーストな公立学校の作り方」(オオタヴィン監督)です。西郷さんは6人の校長先生中の一人として登場します。教室に入れない生徒の居場所が校内に作られ、不登校になって他校から転入した生徒が「中学が楽しくて仕方なかった」と振り返る様子も映し出されます。

「私はたったひとりの子どもを大切にしたい。この子にとって幸せな学校とは? この問いの向こうに、『どんな子でも3年間楽しく過ごせる学校』があると考えています」
 西郷さんは著書の中でそう語っています。


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