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お説教

母から弱々しい声で電話があった
病院で疑われている病気があるのでそれがどういうものなのかネットで見てほしいという
なんとなくピンときた通り、ストレスが原因で起こる症状の病気だった
母に伝えると声が明るくなった
どうしようもない末路をたどる病気だと思っていたらしい
それならまだマシといった感じだろうけど、お母さんそれが深刻なんだよ

基本的に楽観的ではない
自分のことも家族のことも最悪以上に膨らませてそこに自分の思考と未来を落とし込んでいく
かといって単純なところもあって、少し楽しいことがあれば一転、天にも昇る喜びようになる
是非ずっと楽しいことをしていてほしい

そんな話を一時間ほどした
ああでもないこうでもない
だからダメなんだこうした方がいいはずだ
時々孫の話も織り交ぜて笑いも盛り込みながらお説教した
いつものように、じゃあねと切り際に
ありがとうございましたと母が言った
何かざらっとした

夕食は昨日のおでん
弱火にかけながら母のありがとうございましたを思い返した
たまらなく泣けてきた
結局なんだ、説教してるつもりで自分の日常の愚痴を聞いてもらい、誰かと共有したいことをそうだそうだと言ってもらい、わたしが受け止めてもらってるだけじゃないか
心がスッキリと整っているじゃないか
ありがとうございましたなんてかしこまってお礼なんかいらない
お母さんが小さくなった気がするじゃないか
ありがとうはこっち

しばらく泣いてさらにスッキリした
母には敵わない
次はもっと多めに作っておでん送ろう


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