♬.*゚大好きなアルバム(「ピート・ケリーズ・ブルース」)
以前の記事に、往年の名歌手 ペギー・リーのアルバムのことを少しだけ書きました。
手元に物が溢れ、いずれ断捨離が必須になったとしても手放したくないアルバム・・・というのがあります。その一つがペギー・リーの作品の中でも最も愛着のある、
『Songs from Pete Kelly's Blues』(「ピート・ケリーズ・ブルース」) と題された1955年のアルバムです。
アルバムの元ネタは同年のワーナー映画『ピート・ケリーズ・ブルース』(邦題「皆殺しのトランペット」) で、ペギー・リーもこれに出演していて、劇中で4曲ほど歌を歌っています。
同作品は1920年代のアメリカ、禁酒法時代のカンザスシティを舞台にした映画で、ジャズバンドやギャングが出てきます。この映画の中に使われている当時のヒットチューンを、ペギー・リーと、同じく映画に出演したエラ・フィッツジェラルドの歌で再構成したのがこのアルバムです。
アルバムの編成はペギーの歌が9曲、エラの歌が3曲の合計12曲で、全体の比率から言うと “ペギー・リーのアルバム” と言っても良いのかな…という感じです。このアルバム、映画の人気と相俟ってかなり売れたらしく、ペギーのアルバムの中でチャートインしたものの中では最上位に位置するようです (日本では “裏名盤” 的扱い) 。
しかし、このジャケットデザイン、なんだかあんまり魅力的じゃないですね……手抜きされたデザインのようで、中身に見合っていないように感じられます。
その為か、同アルバムはイギリスでは違うデザインで発売され、のちに「ジャスミン」という会社から再発売された際も、そのままそのデザインが踏襲されています。
このアルバムがなぜ自分の心を捉えるのかなぁ…と考えてみるのですが、多分、昔の時代を懐古するノスタルジック趣味に溢れている為なのかなぁ…と思います。アルバムの制作時点から見て凡そ30年前の音楽を扱っている…ということになる訳ですが、自分などはこのアルバムの音楽世界にノックアウトです。
アルバムの大部分は1920年代に流行った歌で占められていますが、収録曲中の3曲は、この映画の為に作られたオリジナルということになります (ペギーの「He Needs Me」「Sing a Rainbow」、エラの「Pete Kelly's Blues」) 。エラの「Pete Kelly's Blues」は映画製作の途中で差し替えられたもので、元々は「Cry Me a River」が予定されていました。しかし、同映画の監督 (俳優でもあり、この映画の主演を務める) のジャック・ウェッブが同曲の歌詩に出てくる「plebian」という単語に違和感を感じ、手直しを提案した所、作者のアーサー・ハミルトンはそれを拒否した為、別の作者による「Pete Kelly's Blues」が新たに生まれたのだそうです (違和感の中身を具体的に言えば、1920年代のカンザスシティに住む黒人女性が「プレビアン」という言葉を使うことへの疑問だったようです。この辺、自分は全くニュアンスを掴むことなどできません) 。
※[参考ページ]
映画から外された「Cry Me a River」は、ジャック・ウェッブの元妻であるジュリー・ロンドンの手に渡り、彼女の最大のヒット曲となりました。
映画公開の数年後にエラ・フィッツジェラルドがカヴァーした「Cry Me a River」を聴いてみると、“なるほどこの映画の中に置いても違和感のない楽曲だなぁ…” と思いました。
最近は往年の歌手の公式アカウントが正式に動画をアップしていて、ここにも堂々とその動画のリンクを貼ることができます。興味を持たれた方がもしいらっしゃいましたら、以下⬇の動画に耳を傾けてみてください。
📎実際の映画の様子
(ここからはオリジナルのアルバムを離れて 同映画に関連した別録音を・・・)
📎ペギー・リーのラジオ放送用音源
📎エラ・フィッツジェラルドの「Cry Me a River」
📎最後はこの映画とは関係ないが、「He Needs Me」「Sing a Rainbow」「Cry Me a River」と同じアーサー・ハミルトンの作品で、この映画にも合いそうな雰囲気の・・・「Bouquet of Blues」で締めます。
『Songs from Pete Kelly's Blues』
1、Oh Didn't He Ramble
2、Sugar
3、Somebody Loves Me
4、I'm Gonna Meet My Sweetie Now
5、I Never Knew
6、Bye Bye Blackbird
7、What Can I Say After I Say I'm Sorry
8、Hard Hearted Hannah
9、Ella Hums the Blues
10、He Needs Me
11、Sing a Rainbow
12、Pete Kelly's Blues
※8、9、12 のみ エラ・フィッツジェラルド
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