【読書記録】坂本龍一・福岡伸一『音楽と生命』

これは、読書した中から残しておきたい文章を書き残しておく、個人的な記録をまとめたものです。

・著書名 坂本龍一・福岡伸一『音楽と生命』(集英社、2023年)
・記入日 2023年4月24日 

坂本:以前の僕はピアノをとても厳密に調律していたんですが、あるときから、人工的に作られたピアノを元の自然に戻してあげたい、ピアノに自然の「もの」としての音を出させてあげたいと思うようになって、調律することをやめたんですね。もちろん音程は狂いますが、そもそも音程というのは人間が勝手に決めたというだけで、自然の音としては別に狂ってないわけですから。(26頁)

坂本:江戸時代に三浦梅園という思想家がいたんですけれども「枯れ木に花咲くより、生木に花咲くに驚け」、つまり、木に花が咲くという自然の摂理に驚くべきだと言っていて、これはつまり、当たり前のように見えることがいかに奇跡的かということで、福岡さんもまったく同じことをその実験から感じられたわけですね。(124頁)

坂本:人類は相互作用する二体の問題を正確に解き明かすことで、あらゆるものおをロゴス化してきましたが、二体が三体になるだけで、これまでロゴス化してきたものが、まったくわからないものになってしまう。(179頁)

福岡:この世界や生態系は三体またはN体により成り立っていて、たくさんのものが相互作用しながら生きているわけです。これを生態系の真実だとすれば、生物たちは本来利他的なものであると言えます。(180頁)

福岡:もしポストコロナ時代の生命哲学があるとすれば、利己的な遺伝子論という二十世紀のパラダイムが、利他的な共生という、本来のピュシスのあり方を再認識するという方向に進むのではないかと思います。余剰を他者に渡すという利他的な行いこそ、本来の生態系のあり方だったはずです。(181-182頁)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?