初夏へ
散り際は美しくだなんて
花を誇る時間も少ないのに終わりにも
そんなことを謳われるのは
その愛の尽きた瞳を前にして
ちっとも美しくあろうとなんて
思いやしない
汚く、足掻いて、手を掴んで
そうして君を離したくない
何故かと問うては困らせて
そうして僕を植え付けたい
なのに真っ直ぐな瞳を前にして
ちっとも醜くあろうとなんて
思いやしない
そんな覚悟をはらんだ目をするから
強く、暖かさをもって
きっと僕の瞳の輪郭が溶ける前に
笑ってごまかした
僕の去り際もきっと美しい
初めて君とすれ違った日に追いかけた
一際美しかった君にとって
そうであることが
もう好きとは口に出せない
僕の精一杯だった
2020.05.23
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