夜にだけ生きさせて

人生が無限に広がってるフリをしている
永遠に続く命なんてないのに
若さは生まれてから20年と続かない
刹那を知った大人 あどけなさは淘汰された

未来は無限に選び取れるフリをしている
迷う勇気も時間も与えないのに
選んだ先の幸せの保証さえありもしない
限界を知った大人 無邪気さは霧散する

思い描いたはずの大人になんてなれもしない
生きてる意味も見つけられないのに
目を閉じて夜を逃すだけの繰り返し
そうして僕はまた昔憧れたはずの
大人になっていく

幼子が見た世界の狭さを知ったあと
大人が見る世界の窮屈さに嘆いた

飛び立つ勇気も若さもない
ままならないリズムで刻むのは
代わり映えのない呼吸だけだ

瞼を透かした太陽が
朝とともに現実を連れてきた
逃げたはずの世界が追いかける

僕は1人分の重さをベッドに託したまま
遮光カーテンが守る僕だけの世界で泣いた

偽りの夜に匿われてまた、朝を恨んだ

2019.05.28


#詩

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