境界線
平和だ
多くの灯火とともに消えた戦火は
生まれ落ちるより前に終わった
名残さえ薄れたような今
私には馳せる8月も来ない
不安だ
読んだことのない本に記された
恒久のそれに甘えたまま生きた
かけた命を思えども
誰かの明日と私の明日は繋がらない
でもそれでも生きろと言う
終わらせたいとは言わせない目で
私に幸せかと問う
あなた考えたことはないだろうか
何故生きたかと 何故生きるのかと
残せるはずもない
消えるような足跡なら
踏み出さなくてもいい
そうは言ってくれない唇から
薄い慰めの橋を渡して
渡れよ、と
全て私の心を掴んだような自信で伸ばされる手
傲慢だ
分かるはずもない
だって言ったことがない
私はこの息を止めたいと
振り払うことのできない心臓が
いまたしかに死んだよ
触れたくもない命の温度が
歩みたくない一歩を踏み出させた
疲れた、と音にすらならない心を殺した
2019.08.11
というか、心そのものである
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