水平線の先

永遠がここにあるとしたら
ぼくはなにを手にとるだろう
選ばなかった方の後悔
この鍵に合う鍵穴はどこだろう
息苦しさに何かを問う

どうすればよかったのだろう
寄せて返すのが波と愛ならば
離さないと誓った唇がやけに乾いた
朝に落ちたはずの月
ただそこにあるだけの月
綺麗と紡いだ声は海に沈んだ


永遠がここにないとしたら
きみはなにを手にとるだろう
選んだ方の虚構
この指輪が合わなくなったのが証拠
息苦しさで何を問おう

揺れた水面を撫でる春の唄
私だったらいい、と
季節の変わり目の香りを追って
温度を分け合う先にいるのが
私だったらよかった、と
朝日に照らされて消えた月
耳に溶けた言葉が消える朝

死にたくなることでしか
生きられないはずの僕らは
また朝に眠る


2019.5.17

#詩

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?