龍戦記ドラグーンソール 第11話

第11話:迫る時、未来へのプレリュード 時空を超えて2

 犬飼豪は、絶句する。

「どうして? どうして、どちらかの存在が消えることになるんだ?!」

「俺から説明しよう」

 風の龍戦士。ドラグーンシルフが浴衣の袖を両腕に入れたまま腕を組んで答える。

「過去から未来への出来事はある一定の流れに沿っている。そこはいいな?」

 豪は頷いて答える。

「今回の試練は、ある意味においては「正しい流れといえる」だろう。

何故ならば、お前たちがこの時代に流れてこないと、ドラグーンシルフなどの龍戦士は、カード化されていないということになる。

つまり、ここでおまえたちが来なかったら、ドラグーンシルフはカード化されず。

未来でのおまえたちが変身して戦うことができないとなる。だが――」

 ドラグーンシルフがいったん言葉を切って、残酷なことを告げる。

「ここで、もし。ルティアを助けたとしたら、未来での桂優香は転生することはなく。文字通り生まれてきていないとなる。さらに、シュティールンクも存在しないとなる」

「その通りだ。私は元々、過去の私を助ける為に行動していることを思い出し。

 クラウスの野望である破滅の龍のへの生体兵器の儀式を阻止する。仕組みは、こうだ」

 シュティールンクは、指をパチンと鳴らし、ARヴィジョンのように図面を見せた。

「ルティアの肉体ごと、機械でできた竜の核とさせる。それと同時に、精神の浸食もさせ「ルティアの意思を塗り替える」という手法だ。そうしたことの手法は種が割れていればどうにでもなる」

「そうか、俺達というイレギュラーを利用すれば、お前の目的は可能となる。だけど、そうなったとしても既に手は打ってあるということなんだろう?」

 豪は、頷いて事態を受け止めて聞き返す。

「その通りだ。では、シルフ。犬飼豪に、「暴風神龍の欠片」を与えてくれ」

「!? おい、それって俺自身が太陽龍と同等に強くなれということになるぞ!?」

「当然だろう? おまえ自身がここで強くなってもらわないと、ジョグレスヴォルドのさらに先の進化ができないからな。あれはアクア達の知恵あっての仮組だ。恐らく、お兄ちゃんは、試練なくても変身しそうな勢いだし。テンペスタになってもらおう」

 試練を与えるはずのドラグーンシルフがシュティールンクに試練を与えられ強化させられるという展開を誰が予想しただろうか。

「えーと、とにかく。それがあれば俺は強くなれる上に、この世界でも戦えるということでOK?」

 龍同士の試練を理解の外に置いた豪がわかる範囲で聞いてきた。

「そ、その通りだ。そのな、豪。最初に謝っておく。すまん」

「はい?」

「そして、一緒に修行地獄に落ちてくれ」

 風の龍戦士と豪は、シュティールンク直々のパワーアップイベントをこなすことになった。

「では、特訓のメニューとしては。一つ。地雷を埋め込んた下り坂2kmを「死ぬ気全開で、全速力で5秒以内に完走すること」これは序の口だな。二つ。「変身した状態で相手の攻撃を全て己の肉体の身で叩き落せ」これは、私の攻撃を全てだ。ブーメランにして当てるから、連続でな。三つ「手刀で大地を切り裂け」以上の三つをやることにする。簡単であろう?な?」

 シュティールンクはさらりとどこからか持ってきたホワイトボードで修行の流れを説明する。その内容を見た二人は、ダラダラと嫌な汗を滝のように流れだす。

「すんません。帰っていいですか? さすがにこのメニューは人間にはきついと思うんで」

「豪。この修行地獄からは抜け出せん。というよりも終わるまで帰れん! 本音を言うと俺も帰りたい。この内容そのもの俺でも死ぬ。いや、龍戦士の試練の方がまだ優しい!」

「この特訓の内容を具体的に例えるなら?」

「子供がハイキングに行くはずが、世界で一番高い山に登るレベル」

 しばし沈黙した2人は顔を見合わせ。数秒で会話を交わし、脱兎した。

「しかし! 破壊龍から逃げられん!」

「いやだーー?!」

「鬼! 悪魔! 龍戦士を殲滅させる内容を課すな!」

 風の龍戦士シルフが猛抗議する。

「黙れ! お前たちが強くならんと! 誰が元の世界に戻ったときに守れるというのだ!! 力という武器に溺れてしまえば、心に隙ができる。最後に頼れるのは、己の肉体だけだ。おまえ自身の心と体が最後の武器だ。泣けば、誰かを救えるというのか? その顔は、なんだ! その涙は! 泣いていれば、何かが解決するのか!」

 シュティールンクは、厳しい言葉を投げかける。

「豪、お前たちの世界を助ける手段はお前たちにしかできない。これが、今の私の最後にできる抵抗だ。今の世界の私を助ければ、破壊龍となったドラグーンシュティールンクという私はこの世界から誕生しない。だが、人が大切なものを護るのは、大切な人が安心して、遊べるようにするためではないか? その変身する力は、そのためにあるんじゃないのか?」

 シュティールンクは、彼の眼を見て言葉を投げかける。その力の意味を。

生きることの態度と戦う理由を。

「誰かがやらねば、ならぬ。誰かが行かねば、ならぬ時。豪よ。おまえは、私と対峙した時、友の為に。信じる友の幸せを願い、無謀ともいえる戦いをした。そのことを私は誇りに思っている。そして、お前たちに出会えたことが何よりも代えがたい宝であり。その世界を護りたいという浅はかな私の身勝手な願いだ」

 シュティールンクの言葉を、一つ一つ噛みしめて豪は握り拳を小指から一本ずつ丁寧に指を折る。

「そうだ。俺の戦う理由は、友の。あいつらの幸せを護るための力が欲しかったからだ。

だから、無茶でも無謀でも、バカにされようとしても。その意地だけで戦ったんだ」

 初めから、誰もが完成されたヒーローではない。違う形の小さな光なんだ。

だからこそ、もがき、あがいて、その輝きを放とうとしている。

「シルフ。俺をこの世界でも―――いや。元の世界に戻ったとしても「龍介の親友として、背中を護れる男でありたい」だから、俺の我儘に相乗りしてくれないか?」

 シルフは、「ふう」とため息をついて答えた。

「いいだろう。そこまでのバカになら、俺もその地獄に相乗りしよう。太陽龍だけにすべてを背負わせてしまったら、俺もソールの友というの名が廃る。いいだろう」

 風の龍戦士ドラグーンシルフは、進化する。穏やかな風から、凶暴な荒れ狂う暴風の龍神に。その名は、「ドラグーンディオテンペスタ」

「龍神帝:ドラグーンディオテンペスタ。行くぞ! 犬飼豪! 友の為に!」

「ああ! 行くぜ! スピリットエヴォルド!」

 暴風の龍が豪を喰らい。龍神の力を受け入れる。深緑の風が、全身に伸び暴風の様に鎧を纏っていく。両手の甲に、暴風龍神の紋章が浮かび上がり、紅のマフラーをなびかせる。

「荒れ狂うは、暴風の友情! 友を護るため力を行使する!」

 パンッと右手の拳を左手の掌に打ち付けて、右こぶしを天へと突きあげる。

「龍神帝! ドラグーンディオテンペスタ! 嵐の如く! ここに参上!」

 戦士から龍神に進化したドラグーンが、その試練に挑む。

「その地獄の試練、俺達が、嵐を巻き起こす!」

 一方その頃、龍介はルティアに抱き枕にされて、寝付けないでいた。

「ねむ、れない。体は疲れているのに、ねむれない」

 心の中で羊を千数えてからはカウントしていない。というよりもルティアという少女の無垢な白い肌が布越しに伝わり、艶やかな黒い髪が鼻孔をくすぐり、全力で龍介16さいの精神にダイレクトアタックしており、サイレンダーしたくてもできないという状況である。

「おにいちゃー・・・ん・・・・」

 寝言で甘えてさらに、逃がさないとばかりに体を密着させてくる。

 傍から見れば、天国でありご褒美でもある。だが、だがしかし!

「・・・・・・・・・・・!!!」

 声にならない悲鳴が、彼のSAN値を削る! ガリガリと削り、悪魔の声が囁く。

『一発だけなら誤射ではない。光源氏物語を実行のチャンスよ?』

 全身がカーッと熱くなり、火照る。

(悪霊退散! 悪霊退散! 悪霊退散! 陰陽師!)

 持てる精神力で、邪な囁きを撃退させる。

 しかし、巽川龍介も健全な男の子である。恋人になった桂優香の心を裏切りたくない。そして、その転生前のルティアの純粋さに付け込んで心を弄んではいけないと自戒する。

ふと、ドラグーンソールのカードが輝き。龍介の意識だけが、太陽の紋章が刻まれた扉の前に連れてこられた。

「あれ? ここはどこ?」

 意識体だけが、この特殊な空間に連れて込まれてしまい。他には進む道はない。

「とにかく行くか」

 その扉を押し開けると、巨大な深紅の鎧を纏った龍が龍介を見下ろしていた。

 青い瞳に、咢を覆う兜。そして、あらゆる物質を切り裂く巨大な太刀の様な爪。

 何かもが巨大な怪獣を想像させるような姿に、数歩下がってしまう。

「……すみません。どうも来る場所を間違えたみたいでリテイクしていいですか?」

「いや、あっているぞ? というよりも私が呼んだのだ。未来の太陽の龍戦士よ」

 見かけとは違う言葉遣いに目が点になってしまうが、声を聴き彼の正体を知る。

「そうすると、あなたがこの時代の太陽の龍戦士。ドラグーンソール?」

 龍は頷いて答えた。

「そうだ。君にとって馴染みのある姿になった方がいいだろう」

 巨大な深紅の鎧を纏った龍は、人間サイズになり紅い鎧を纏った戦士。ドラグーンソールになった。

「こうして会うのは、初めてだな?」

 憧れたヒーローが、時を超えて邂逅する。

「はい。初めてです! ですが、何の用で?」

「君に、これから起こることの知らせだ。クラウスという男が、ルティアを生体兵器のコアにさせて、この世界を破壊させた出来事。端的に言えば、君の世界との境界線を破壊し、私たちの存在を君たちのいる世界に流れ込ませ、こちらの生態系を丸ごと移住させ。侵食し、世界の支配だ。その現象を「ボーダーブレイク」―――境界線の破壊だ。」

 ボーダーブレイク――世界の境界線を破壊させるというものだ。例えるなら、自宅と隣近所との敷地を区別するためにブロック塀がある。そのブロック塀を強引に破壊させ、近所との境目を失くさせ、そのまま区別を曖昧にさせるというものだ。つまり、その敷地の範囲を好き勝手に自分のものだと主張するようなものだ。

「! そんな!? それじゃ、今生きている人達やその日に生まれてきた子供たちはどうなるの!?」

「奴らの先兵に情報を塗り替えられ、人からこちらの住民へと変貌していく。カードを持った人間がモンスターになり、君たちがそのたびに戦い。倒してきた。だが、その映像は、人の脳に直接入り、情報の書き換えのプログラムを埋め込まれる。ルティアとフェリスは君たちの戦闘の見直しの為に、動画配信をさせた。だが、クラウスはその技術を利用し、他の人間の深層意識まで入り、情報の書き換えを無意識化に行おうとしている。そのための組織が

「ユニオン」だ。奴は、そのための手段と行動を実行した。だが、唯一の誤算があったと

すれば、君たちの存在だ。礼を言わせてくれ。本当にありがとう」

 ドラグーンソールが頭を下げて、龍介にお礼を述べた。

「いえ! そんな! 俺達はそんな大げさな事は!?」

 大慌てで、頭をあげるように促す。

「充分にしている。君たちの存在が、少しずつ世界を変え。戦いを知らない人間でありながら、恐怖心と戦い、傷つきながらも、愛するものを護るために戦う勇気が私たちの力になり、君たちに力を与えている」

 ドラグーンソールは、微笑んで答えた。

「この世界では、君は、変身をすることはできない。何故なら、この世界では私が既に存在しているから、変身することはできない。そして、君はドラグーンソールのコアを持っていないからね。それは君の仲間たちにも言えることだ。そして、そのためにソールバードのカードが君の力になる。太陽の鳥は、太陽の翼となり、君の想いを形にする」

 ドラグーンソールは、ソールバードの効果を説明する。

「そうなんですか。ですが、いいでのしょうか? 俺は、ルティアの魂とあなたの魂が恋人の優香の転生に関係していることを知りました。だけど、コアがなくても、あなたの本当の力を俺は引き出したい! 我儘かもしれません! 愚かなことかもしれません! ですが」

 龍介は強く握り拳を作って両手を震わせる。顔を少し下に隠して、全身を震わせた。

「俺は、好きな人を! 大切な人を守り切る力を自分で持ちたいんです! 足りないことは承知の上です! 自分自身が弱いことも! どんなにおかしなことを言っていることもわかっています! たとえ、生まれ変わる前の優香さんの魂を持っているルティアも、助けたいんです!!」

 涙に濡れた目で、この世界における強き龍戦士に龍介は思いの丈をぶつけた。

 孤独の中で、生きてきたルティアを助けたい。その心で十分だった。

「……理由は?」

「だって、好きになった人を助けるのが男の子でしょうが!」

 その返答に、フッとドラグーンソールが笑って答えた。

「いいだろう。それで充分だ。君は選択を迫られる。ルティアを助けることにより、桂優香の存在の消滅か君が戦った破壊龍シュティールンクの存在が消えるかだ。彼女は、この時代のルティアを生体兵器にさせないために行動している。これが二度目だ。だが、クラウスはその情報を知っており、手を講じる。それが、ロベルガーだ」

 それは、最初に戦った相手であり、ドラグーンソールとしての最初の戦いであった。

「巽川龍介。君なら、こうして立ち向かうだろう?」

 グッと握り拳を作り、ドラグーンソールの決め台詞を言った。

「地球の平和を乱す化け物め!」

「このドラグーンソールが許さない!」

 過去の龍戦士と今の龍戦士の想いが交差し、一つになる。

 互いに、太陽の龍戦士ドラグーンソールの決めポーズを取り、笑いあう。

「それでいい。1つ教えておこう。ルティアは、バーニングバーストシステムは組んであるが、君の負担をかけると思って、実装していない。だが、君という太陽は、新しい時代を生き抜く。俺という名の旧時代の太陽は沈みゆくだけだ。この時代での変身することができるかどうかは、君の魂にかかっている」

 ドラグーンソールが龍介の胸に手を当てて問いかける。

「未来での出来事は、俺達は知っている。だからこそ、君という名の切り札がいる。がんばれ。新しい太陽」

 太陽の龍戦士の力が龍介の体に流れ込んでくる。そして、これから起こる出来事の情報を彼は知る。

 それは、太陽の龍戦士の最期の物語。破滅の竜になった哀しき少女を救うための小さなゆうき。小さな愛の物語。自分の魂を賭けて、ルティアの魂を護るためにソールは自身の命を投げ出した。だが、この世界の崩壊を止めることができず。クラウスの野望を完全には打ち砕けなかった。そして、その物語の新しい太陽は、巽川龍介に受け継がれる。

小さくも、最も熱く。最も儚く、脆弱な男の子が、愛する者を護りぬくための物語。

「龍介よ。おまえが神龍帝になるには、ソールバードを二つ使いこなさないとならない。

1つは、お前の時代のもの。もう1つは破壊龍がお前の身を護るために体内に入れたものだ。前者は和魂。後者は荒魂。2つの力が一つになることにより、神龍帝ドラグーンソールカイゼルになる。そのための使い方はルティアが知っている。今のあの子に必要なのは、「心と体ごと休める場所」お前という名のぬくもりなのだ」

 沈みゆく夕日のドラグーンソールと天に昇る朝日の龍介の2人が一つの想いを共有する。

それは、護りぬく為の想いと勇気という名の天昇するための双翼。

「頼むぞ。俺の意志を継ぐもの。巽川龍介!」

「はい!」

 特殊な空間から、龍介は元の世界に戻っていく。少年は、戦士に変わる。

 愛する人を護るための。一刀となる。

 ここから先の物語は、「龍介」が戦い。そして護る。勇気ある戦いである。

 エイクス帝国―その国の運命を占う巫女エッダ―ミレディがクラウスに告げる。

「世界を統一させるには、破壊龍のルティアを捕獲し。破滅の竜ルインへと生体兵器にすれば、確約される」

 クラウスはその話を聞いた時に、興奮した。自分がこの世界における支配者になることを。

そして、忌々しき龍戦士達を滅ぼし、無力化し。人間が築く楽園を。

 幻獣に怯えることなく、過ごすこと。それが人のなすべきことである。だが、

その幻獣を殺し。人が統治すれば、争いが起こる。ならば、恐怖で支配し。誰も止められないものを使えばいい。

「幼き破壊龍を生体兵器にすれば、俺の野望が達せられるだろう。そして、不老不死になれば、俺の王国は永遠に続く。そう。永遠にだ」

 既に龍戦士達を殺すための「機械怪人ロベルガー」を1000体は開発した。それに加え、森を焼き払う為の戦略兵器―「アークヴィクス」を投入する。この兵器は距離300kmから、火炎弾を1秒間に500発放つというアウトロングレンジからの攻撃だ。

故に、龍戦士達をまともにやりあうのなら、卑怯なまでの戦略と生存を計らないとならない。

「クラウス様! 既に兵団の準備はできております」

 兵士が、クラウスに報告する。

「わかった。これより、破壊龍ルティアを捕獲し。龍戦士達を殲滅させる! いくぞ!」

 帝国の進撃が、始まりを告げる。

 

運命の時間まで、あと7日。

 ルティアは、夢を見ていた。ドラグーンソールに変身した龍介と戦い。一時的とはいえ、「命を奪ってしまう」出来事を追体験していた。それは、悲しくも避けたい出来事であった。

次に視点が変わり、桂優香としての生活を送っており。龍介との日々の日記を書き。

そして、その幸せを愛おしくも守ろうとしていた。

その日記の内容は、ありきたりで、それでいて、憧れでもあった。

だからこそ、思う。「護られるだけじゃなく。好きな人の背中を護れる力を持ちたい」と。

 夢現なのか、漆黒の鎧を纏った龍戦士シュティールンクが彼女の前に現れる。

「あなた、は?」

「私は、未来のあなた。ルティア。あなたを助ける為に、時を超えてきました」

「……私を助けたら、あなたの存在は?」

「別の並行世界の物語として、なくなるでしょう」

 シュティールンクは、彼女の目線に合わせて腰を低くした。

「ルティア。あなたは、まだ目覚めていない破壊龍の幼少。ですが、その思いは大きな力になります。ドラグーンソールが太陽龍なら、まだ存在していない「月光龍」ドラグーンノルンを誕生させるのです」

「ドラグーンノルン? でも、ドラグナーシリーズは、4つの龍。……まさか」

 ルティアは、彼女の目を見るとシュティールンクは頷いた。

「そう。第5の龍戦士。その核となるのがあなたです。そして、ドラグーンソールのバーニングバーストの問題は、ドラグーンソールが龍介に直接力を渡しました。あとは、私たちの問題です。運命の出来事まであと7日です。彼に、お兄ちゃんに話してしまいなさい」

「そんなのできない! だって、今まで戦ってきて! 私の都合に巻き込んで!」

 ルティアは涙を流す。わかるのだ。ドラグーンソールのカードを手にした時から、悩み。苦しみ。何の力もない少年が、強大な力に戸惑いながらも。好きな人から嫌われる覚悟で、

「異形なる存在へと変身する」というのが、あの世界においてどれだけの重い意味をもつのかも。助けてほしいと思う。だけど、龍介は、桂優香のたった一人の想い人なのだ。

「だけど……私達より、弱いんだよ? 小さい手なんだよ? 本当なら、私たちが守らないといけないのに、なのに……まだ大人になっていない自分がこんなにも悔しい……!」

 ルティアは、自分を抱きしめて、涙をぽろぽろとこぼす。

 沈黙が2人を包む。

「幼き私。ルティア。あなたは、少女から女性へと羽化する時期が来るでしょう。その瞳の先にあるのは、誰かの未来を護るためにある。その決断が正しいか。間違っているかは誰も下せないでしょう。ですが、この孤独の先にある傷跡を。龍戦士の天命が、あなたを1人の女にするでしょう。転生先の桂優香も、ただ待っているだけの女の子ではありません」

 心の夜明け前が、最も暗く。そしての十字架の意味を問いかける。

――愛する人を護りぬく力を。愛する人と一緒に歩む勇気と覚悟が自分にあるのかを――

――その意味を見失わずに歩き続けることができるのかを―――

「……どうしたら、いいの? あなたの存在も助けたい!」

 ルティアは、違う世界の自分を助けたいと心から望んだ。破壊龍も、優香も。そして自分を救う道を決断した。涙に濡れた顏をゆっくりとあげた。シュティールンクに、残りの時間でできる。最後の戦いを仰ぐ。

「龍奏剣儀を加工し。あなたの血と魔力を注ぎ。満月の夜に月光を浴びせることです。

 それが、ドラグーンノルンの変身アイテムになります」

「龍奏剣儀……ううん。「ノルン・セヴィス」これが…え?」

 ルティアが名前を決めた時に、更なる情報が流れてきた。それは、龍介達にとっての近い未来の出来事。「十二月ノ戦乙女」と変身できない龍介達が、苦戦している映像だった。

『もう一度。俺と一緒に戦ってくれ……! ドラグーンソールッ』

 それは、世界の終末から、ささやかな幸せを生きている生命を護ろうとする戦士達の新章である。血だらけになりながらも、牙のない人たちの為に彼らは立ち上がる。

 その光景を見た時に、ルティアは悟った。だから、「ドラグーンソールが自身の魂を賭けて、目の前のシュティールンクを助けた」と。

「……そっか。だから、月光龍の存在がいるんだね」

 ここで、自分を助けたら「未来は変わる」そして、それだけでなく。ドラグーンソール、シルフ、アクア、ジュピターの4人の力を行使することができなくなる。その先にある危機に立ち向かうためにも、第5の龍戦士が必要なのだ。

「シュティールンク! あなたの力と桂優香の力が必要なの。そして、お兄ちゃん達と合流して、最後の工程に入る!」

「そう。わかった。そして、1つあなたにしかできないことを頼むわ」

「何?」

「私が持っていたソールバード。あれをドラグーンソールのコアにして。あれは、ドラグーンソールカイゼルになるための1つ。もう1つのソールバードはお兄ちゃんが持っているから、光と闇。陰と陽。和と荒の魂。2つの力を持って、1つとなる」

「それは…!」

 その言葉を聞いて、ルティアは察する。ドラグーンソールカイゼルの更なる進化の先を。

「頑張ってね。この時代の私」

「うん! 絶対に、あなたも助けるから! 私達で!」

 異なる世界のルティアが互いに手を叩いて、激励する。

 

 ドラグーンソール第11話 終了

あとがき

 久しぶりに、久しぶりに書きました( ;∀;) ニチアサ対抗シリーズのはずが不定期に。

そして、どうしてこうなった!?(‘Д’) 第二期シリーズの予告も入っております。

イメージ主題歌は聖闘士星矢の「ソルジャードリーム」

 車田泣きは入りませんが、恐らく、クラスタの多くは今後の進化形態の予想はつくと思います。(そらねぇ。。趣味全開)

シリアスさん、1行も持たなかったん。(時空を超えての没の最初は、豪だから、独りで落ちていいという展開だった。うん。ネタキャラだし。ハブられてもツヨシ。(豪さん、いじられキャラ説)

 るーちゃんの泉で身を清めるシーン(見た目小学生卒業まじかの子が泉で身を清める。皆さん、非言語で見ましょう(待て、だからマテ!)を書きますので、ほしい方は「ワッフルワッフル」と唱えてください。(心の身内から白い目で見られるのは、責任とりません。をい)

 さて、あと2.3話で第一シーズンを終わらせる予定です。そろそろ亜衣ちゃんとかの出番も確保せねば。

あくちゃま:いっそうの事。我らも参戦させよ。

アイラ:ソーダ、ソーダ! 炭酸ソーダ!

るーちゃん:それだと私の存在が被るので、やめておきましょう。失礼しました。

アイラ:嘘だドンドコドーン!? 皇帝竜の・・・。

るーちゃん:何か言いましたか? ガルムのアイラ? (皇帝竜のスタンドオーラ全開)

アイラ:すみません! マジですみません! 地球産地の私と銀河の方からやってきたあなたでは、ガチデマケマスから(ガクガクブルブル)

あくちゃま:(怒らせると怖いのは、こやつかもしれん・・・。@地球生産地のあくちゃま)

るーちゃん:それに私達が参戦したら、バランスが崩れてシリアスさんが死んでしまいます。

      では、次回のお話でお会いしましょう。

 るーちゃんに連行される2人。

おまけ:予告

予告

 ドラグーンソール 第二期シリーズ

「十二ノ月 黄昏の戦乙女編」

 あらすじ、エンゲルフェスを助け。元の日常に戻った龍介達。

だが、新たな戦いが始まりを告げる。

「古き神話が、現世の世界を喰らう刻(とき)。逢魔が黄昏を誘う」

 ラグナーズと名乗る。怪人集団その目的は、

「北欧神話のラグナレクを起こし。

世界の終末を訪れ浄化させる」

 滅びゆく神話の終焉を食い止める為に、再び立ち上がる。

 しかし! 過去の世界での出来事を改変したために、ドラグーンソールに変身できなくなってしまっていた!

「それでも、俺達は、立ち上がる。もう一度、もう一度。俺達と一緒に戦ってくれ!

 ドラグーンソール! この世界に、多くの悪があるからと言って、ささやかに生きている人の善命まで奪っていいとはいえない! ささやかな幸せを護るために!」

「変身―――!」

 果たして、龍戦士達は再び立ち上がれるのか。

 12の戦乙女とどう戦うのか!?

 ドラグーンソール第二期シリーズ「十二ノ月 黄昏の戦乙女編」

 数年飛んで大人編にするか大学生編にするかお悩み中。健全なエロも書けるね(おい五―――ニチアサ対抗シリーズ!????)

投げ銭していただけると、喜びます(´っ・ω・)っ「創作関係に投資」(´っ・ω・)っ今さら編集できることを知る人・・・(天然すぎぃ)