龍戦記ドラグーンソール 第五話 風の龍戦士

龍戦記ドラグーンソール 

第5話:「エルフ/風の龍戦士 シルフ」

 夜の公園で、鍛錬を積んでいる犬飼豪。

「ハッ、タッ!」

 空手の型と古武術の型を練り合わせて、クンフーを重ねる。

「んー、ちょっとイマイチだな。ドラグーンソールみたいに、高く飛んだり、威力のあるパンチやキックを繰り出したいんだけど…それは無理か」

 ごく普通の学生がスーパー戦隊並みのアクションをこなすこと事態が無理である。

しかし、小さい頃はヒーローごっごでスーパー戦隊やアニメのヒーローヒロインと変身して遊んで真似をしていた頃が誰でもあった。だが、大人になるにつれてそういったものへの憧れた記憶すら薄れてしまっていくのが現実なのだ。

スーパー戦隊の中でアクションが高いと評価されるのが「五星戦隊ダイレンジャー」だ。変身の名乗り、子どもが真似できないカッコよすぎるポーズ。戦闘シーンが華麗、物語の終盤では、変身できなくなった戦士たちが素手で戦うというアクションも魅力的だ。また、ライダーの中ではアクションといえば仮面ライダーBLACKとその続編のRXがいいと言える。工夫を凝らしたアクションシーンにカメラワークは見事といわざるを得ない。

「んー、まぁ今日はこれくらいにして、帰るか」

 彼の視界の端に、閃光が煌いた。

「なんだ? 花火にしてはおかしいな…あっちのほうか」

 豪は光った方向に向かって走っていた。

 女子高生と少女が対峙していた。

「観念しなさい。これ以上抵抗しても無駄よ! ハイエルフ!」

「いやよ。あなたなんかに、渡すわけないでしょ」

「そう。なら仕方ないわね」

 女子高生―荒川美奈子は、右手に電気を発生させて、ハイエルフの少女に目掛けて電撃を放つ。その攻撃を読んだハイエルフの少女は、光魔法でリフレクトを唱えて攻撃を反射させる。

「ほらほら~、あなたの攻撃なんて効かないんだからあきらめて帰りなさいな」

「きー、むっかつく! 大体、何で小学生みたいな体型しているアンタに負けるのよ!」

「いやよね~、こういうお・ば・さん」

 美奈子の堪忍袋の緒が切れた。

「これでも! 私は、まだ16よ!」

 怒りのあまり、体から電気を放電させる。

 茂みの影から、2人の戦いを観察している豪。

「な、なんだ。電気娘にハイエルフ? いや、ドラグーンソールが実在するから驚きはしないけど、こいつは厄介だぞ。あの電気を極めたら…」

「もう許さない。食らえ!」

 電撃の乱れ撃ちで、ハイエルフはリフレクトで最小限の防御から、最大限の防御へと変更した。

「そんなのあり!? 乱れ撃ちって!」

(まずい。防御範囲も広げないと、魔力の消費も半端ないわ)

 状況は一変して、ハイエルフの少女から余裕が消えて、劣勢へと立たされる。

(こりゃ危ないぞ! 明らかにハイエルフの子が不利じゃないか! どうする? 俺には変身する力もなければ、腕力で電気娘に挑んでも感電されるのがオチだし…そうだ!)

 豪は携帯電話の音量を最大限にしてからインターネット検索である着信音を落とすことにした。

(たぶん、これなら引いてくれるかもしれない)

 ダウンロードに数分かかる。あとは、ハイエルフの少女の戦いに賭けるしかない。

「ファイア!」

 ハイエルフの少女の左手から火がでて、美奈子に襲い掛かる。

「いい! 危ないじゃないの! 卸したての制服がこげちゃうじゃない!」

「そんなの知ったことじゃないわ! だいたい、あなたは誰? 何の目的で私を襲うの?」

 ハイエルフの少女は時間稼ぎに質問を投げつける。

「私は、ユニオンの荒川美奈子。狙いはあなたが持っているカードよ!」

「! カードを奪ってどうするつもりなの?」

「さあ? ドラグーンソールの敵役にしようかしら、ね!」

 美奈子は、高圧電流を凝縮させて球を作る。

 危険を察知したハイエルフの少女は、残りの魔力を使って防御体勢を整える。

「これで最後になるけど、あんたの名前は?」

「…リーシよ。覚えておきなさい」

 プロテクトを唱えて、防御体勢に入る。

「これでも―!」

 美奈子が高圧電流を凝縮させた球を投げようとした時、サイレン音が聞こえた。

「警察だ! おとなしくしろ!」

「ちっ! 邪魔が入ったか! 覚えておきなさい!」

 美奈子は攻撃を中止して、踵を返して走り去っていった。

「…助かったのか?」

 魔法を解いて、その場に佇むリーシ。

「ふぅ、何とか間に合ったみたいだな。常識が通じない相手じゃなかったら危なかった」

 茂みから隠れていた豪が出てきた。

「あなたは誰! ユニオンの手下!?」

 再度。警戒するハイエルフのリーシ。

「まぁ、まて。俺は敵じゃない。その証拠にほれ」

 豪は、携帯電話を操作して着信音を再生させた。

 サイレンの音と共に警察官の野太い声が響いた。

「な…? それじゃ、さっきの騒ぎはあなたが…」

「そういうこった。俺は犬飼豪。ただの高校生さ」

「そう、か…」

 そう言って、リーシはその場に倒れこんだ。

「って、おい! しっかりしろ!?」

 慌てて、リーシを抱き起こした。

「気絶しただけか。……とはいえ、どうしたものか。見た目はかわいいし、年を抜きに考えると、小学生か中学生くらいの体型……」

 しばし沈黙して考える豪だが、このまま放っておいたら職務質問されて、下手したら修繕高校の監禁王子と揶揄されてしまうと妄想が暴走してしまった。

「即刻、家に帰る!」

(ロリコンと逮捕されるのは嫌だ!)

 自宅に彼女を抱きかかえたまま連れて行くことにした。

 別の意味で「お持ち帰り」をしたわけではないことを犬飼豪の名誉にかけて代弁させてもらう。

公園から自宅まで徒歩20分の所を全力疾走で約8分という記録的大挙を成し遂げた。玄関の鍵を開けて、自分の部屋に直行して彼女を自分のベッドに寝かせた。

「とりあえず。明日学校を休んだほうがいいだろう。ちょうど水曜日だし、一日くらい休んでも問題ないだろう」

 とりあえず、クラスメイトと親友の龍介に明日は風邪で休むことをメールで伝えた。

「しかし、いったい何が起きるっていうんだ? ハイエルフに電気娘といい。ああ、もうわからん! 戸締りしてから風呂に入って寝よう!」

 豪は、玄関の鍵を掛けて風呂に入って自分の寝る場所を考えた。

「どう考えても、床で雑魚寝しかないだろう。あ、今日のドラソはどうしよう」

 特撮ファンとしては放送と録画をこなしているのが当たり前だが、今日は翼竜との戦いが放送される予定なのだが、録画で我慢することにした。

「それにしても、ユニオンっていっていたな。荒川美奈子っていっていたか。あの電気娘」

 豪は子どもの頃に読んだことのある地獄先生ぬ~べ~の話を思い出した。

「確か、ぬ~べ~で人体発火現象を起こしたことのあるいずなの話があったな。確かアレは霊能力の高いいずなの思春期が原因で人体発火を起こしたものだ。スティーブン=キングの小説で「ファイヤースターター」日本題名に直すと「炎の少女、チャーリー」という超能力で炎を操る少女の話のモデルにもなったことのある人体発火現象。となると、あの荒川美奈子って子も人体発火現象ならぬ、電気体質を持った少女ということか」

 電気を自在に操る能力のある少女。この能力を利用する人間は少なくともいるだろうし、何らかの裏があると見てもいい。ドラグーンソールという番組自体謎が多い。いつ出現するのかわからないモンスター。そして、いつから戦っていたのかわからないドラグーンソール。

「なんつーか、謎ばかりが増えていく一方で…情報が少なすぎる」

 豪は、ドラグーンソールの謎を追いかけるがその情報が少なすぎる上に、謎だけが増えていくだけなのだ。

「せめて、ドラグーンソールの正体がわかればなんと力になることはできるかもしれないが……」

豪はしばし思考を働かせて考えるが、このまま考えるのは埒が明かないと判断して風呂から上がり、ジャージ姿で自分の部屋で雑魚寝することにした。

「さて、録画設定もオーケー。んじゃおやすみ」

 録画設定を再確認して、夢の中へと落ちていく。

 翌朝、犬飼豪の一日の始まりはハイエルフリーシからの罵詈雑言からだった。

「きゃーーーーーー! 何よ。この変態、変態! ロリコン、痴漢男!」

「や、やめてくれー! アーそれは初回版の限定ライジンオーDVDボックス! これは、限定ゴッドライジンオー合体セット! これは、ウルトラマンティガメモリアルDVDボックス! BDもでるよ!というか出てる!」

 ベッドの上から次から次へと豪目掛けて、宝物の品が投げられて攻撃されていく。しかし、豪は、華麗にキャッチしては、床に置くという作業を繰り返していた。

そして、時間は30分経過した。

「はぁ、はぁ、はぁ」

「ぜー、ぜー、ぜー」

 両者は息切れ寸前だった。傍から見れば、溜めに溜めていたグッツをごみと判断されて捨てようとする妻とグッツを死守する夫という想像と考えれば理解できる、はずだろう。この不毛な争いは30分も続ければ疲れるのは当然である。

「ご、ごめんなさい。人間に助けられたのに、混乱してしまって……何されるかわかったものじゃなかったので、すみません」

 リースが、頭を下げて謝った。

「いや、当然の反応だろう。ハイエルフという存在が珍しいからどうなるかわからないのが普通だろうな。さて、落ち着いたか?」

 コクリと。彼女は、頷いて答えた。

「俺は人間の犬飼豪だ。よろしくな」

「私はハイエルフのリーシ。こちらこそよろしく頼む」

「話に入る前に、少しいいか」

「なんだ?」

「朝食を食べないか」

 ぐぅ~と2人のおなかの音が鳴った。

 食卓にて、豪が作った朝ごはんが並べられる。

「ほうほう。こちらの世界ではこのようにして、作るのか?」

「ん? まぁ、手抜きのベーコンエッグだけどな。レシピさえあれば誰でもできる。料理とは、勇気を材料にしたレシピなり」

 昨日の余りであった味噌汁に具を足して、ゆっくりとかきまわして温めなおす。

「とまぁ、ご飯にするか? パンにするか?」

「何だ、パンとかご飯とか? 普通に狩で野生動物を打ち落とせばいいのではないのか?」

(あれ~? 文化が違いすぎる。いや、世界観自体が違いすぎるのか?)

 心の中で頭を抱える豪。そもそも、ハイエルフの食卓など、どこのファンタジー小説でもでてこないだろう。豪は、外国人がホームステイしにやってきたと考えて彼女のことを受け入れることにした。

「この世界じゃあ、働いて金を稼いで食品や物を買ったりするんだよ。「働く」事で生活が成り立っている」

「必要な時に狩に行けばいいのではないのか?」

「ん~必要な時にというのは同じだな。しかし、リーシ。おまえは何でこう背が小さいんだ?」

「ああ、これか? こっちの世界に来た時にエネルギーをだいぶ使ってしまってな。エネルギーの消費を抑えるためにこの姿になっているんだ。ちなみに私の年齢はいくつに見える?」

「12歳」

「これでも190歳。人間換算にすれば、19か20というところね」

(思いっきり、詐欺じゃねぇか!?)

 心のうちでつっこむ豪。

「ギネス記録を超えているな。オイ……」

 朝食を食べ終えて、豪の部屋に戻る2人。

「よし、まぁこれでいいだろう」

 掃除をして、いつもの部屋に戻った。協力してやったため10分くらいで終わることができた。

「さて、色々と知りたいことがあるんだが……その前にこの番組を見てからにしてくれないか?」

「番組?」

 豪は、録画しておいたドラグーンソールをリーシと一緒に見ていた。

「これは、どういうこと!? なんで、太陽の龍が戦っているの!? しかも、能力を完全に引き出していないし、誰が変身しているの?」

 リーシは番組を見終えてから、疑問の声を上げていく。

「ちょっと待ってくれ! その言い方だと、ドラグーンソールのことを知っているようだな? どこまで知っている? そして、リーシ。おまえは昨日の電気娘から何を守っていたんだ?」

 豪が質問を投げ返した。

「……わかった。答えられる範囲で答えよう。ドラグーンソールやあのワイバーンは、私たちが住んでいる世界。ユグドラシルの1つだった。でも……ある日、世界を破滅させる竜が出現した。その竜の力は私たちの住む世界全てが破滅へと向かっていった。しかし、ドラグーンソールを始めとする4人の戦士が破滅の竜と戦いに挑み、何とか瀕死の状態まで追いやることができた。

でもそれは、ドラグーンソール達の力を使い切ったことを意味していた」

 リーシは話を一旦切って目を閉じた。

「それから、ここ数年の間に何者かが世界を破滅させる竜を復活させようと活動を開始していることがわかった。私は、正体を突き止めるために風の龍「ドラグーンシルフ」が力を封印したノヴァシステムを使える人間を探しにこの世界にやってきた」

「要するに、ドラグーンシルフに変身できる奴を探して、リーシの世界を破滅させる奴らを突き止めるというわけか」

「そう。でも、この番組。「ドラグーンソール」は、完全な状態に目覚めていない。撮影もあなたたち人間が撮ったものとは思えない」

「…確かにな。あの現場にいたが、人影らしき人はいなかった。どうやって、撮影したのかというのが謎になる。リーシの話を元に考えると、「ドラグーンソール」はノヴァシステムを使える人間が変身しているといっていいだろう」

 豪はリーシの情報を元にドラグーンソールについて考察をまとめた。

 彼にはもう1つ気になることがあった。「荒川美奈子」と「ユニオン」の存在だ。

「リーシ。話は変わるが、「ユニオン」について知っているか?」

「知るわけないじゃない。昨日来たばかりで、何もわからない。わかっているのは、シルフの力を狙っていたというだけね」

「フム…話が終わってしまったな」

「そうだな」

 しばらくの間。沈黙が続く。

「なぁ、ワイバーン見たいのがまた現れるかもしれないのか?」

「そうだな、その可能性は高い。だが、適合者も見つけていないのが痛いな」

「うーん、なぁ。ノヴァシステムってのは何だ?」

「そうだな。これだ」

 リーシは、カードを見せた。

(あれ? こんなカードどっかで見たことあるような。まぁ、思い出せないのはきっとどうでもいいことだらかだろうな)

「このカードには、ドラグーンシルフそして、技カードが付属されている。この2つでもって、カードに書いてある名前を叫べば変身できるというシステムだ」

「マジで? てか、何というシステムだ」

「とはいえ、これは、こちらの世界で存在するための条件だ」

「存在する条件?」

「そうだな。簡単に言えば、存在しないものを存在させるためのものだ」

「なるほど」

「まぁ、シルフの魂は元の世界に置いてあるままだ。「力」だけといって甘く見るな。このような家など簡単に壊してしまうことはできる」

「それは痛感しているから大丈夫だ」

 ワイバーンやら九尾の狐やらでそのことを痛感している豪。

「ならいい。とはいえ、この周辺のことを知りたいんだが、いいか?」

「まぁ、何事も調査は必要だしな。外では俺のことを「お兄ちゃん」と呼んでくれ」

「何故だ」

「児童ポルノ法が厳しいんだよ」

「???」

 ともかく、近所を回ることになった豪とリーシ。

「ほう、色々と家が立ち並んでいるな? アレは何だ?」

「アレは車だ。乗り物だ。アレに乗るとどこまでも遠くにいけるんだ」

「馬みたいなものか」

「いや、その、な。馬とは全然違うぞ。全然」

 ちぐはぐな会話をしながら歩き出す。

「この柱のようなものは?」

 リーシが手の甲でコンコンと電信柱を叩いて、疑問を投げかける。

「電信柱。電気を各家庭にまわしてくれるものだ」

「ふむ、色々と文明が進んでいるんだな。ん…ここは?」

「ああ、ここは昨日の公園だ。夜だったから、印象が違うだろう?」

 平日とあってか、公園にはひとりもいない。

「そうだな。子どもが集まる場所か?」

「まぁ、それもある。子どもが集まっていろんな遊びをするんだ。ブランコで遊んだり、すべり台で遊んだりしてな」

 2人は会話しながら公園に入っていくと、電灯や周囲の木がスパッと切られた。

「へ…?」

「これは……!」

 その残骸を見て、豪は固まった。一方、リーシは身構えた。

「ケケケケ!」

 2人の前に180センチの妖怪かまいたちが現れた。鋭い鎌の刃を持った両腕、俊敏性のある胴体。大型のかまいたちが構えていた。

「おまえは、かまいたち! どうしてこの世界に?」

「ってちょっとまて! かまいたちって、空想上の動物じゃないのか!?」

「バカモノ、私の存在をみて、実在しているだろう?」

(しかし、厄介だ。奴の鎌から放れる風は、見えない!)

「ケケケケ…!」

 かまいたちは、両腕を振るってつむじ風を発生させる。

「危ない!」

 豪は、リーシを庇って、地面を転がる。近くにあった林木が倒れる。

「くそっ、見えない刃か! うあ、まだくるのか!」

 かまいたちは、連続して攻撃を仕掛けてくる。豪は、リーシを抱きしめて、彼女の身を守った。背中から血が流れて、地面が赤く染まる。

「ちょっ、ばか! なんで、私を庇う?」

「いてぇ…やっぱ痛いな」

 顔を苦痛ににじませながらも、豪はリーシの顔を見て答える。

「この世界じゃ、たとえ、強くなくても、守りたいものがあるなら、守るってルールがあるんだ。大丈夫、守ってみせる」

 豪は、命を賭けて昨日今日と会ったばかりのリーシを守ろうとしている。

「……!」

(馬鹿だ。この人間は本当に馬鹿だ。昨日今日と会ったばかりのハイエルフの為に、敵わないとわかっている相手から助けるために、命を賭けるなんてオオバカすぎる)

 豪のように、見知った人間を守るために命を張ることは普通の人間にはできない。むしろ、逃げていく人のほうが多いだろう。

(この人なら、豪なら、預けられる。ドラグーンシルフの力を…!)

 弱いものを守る心を持っている豪になら、風の龍「ドラグーンシルフ」の力を託すことができると彼女は確信した。

「豪! これを!」

 リーシはドラグーンシルフのカードと技カード…そして、白いカードを豪に渡した。

「これは……俺でいいのか!?」

「あなた以外に、適任者はいない」

 豪は、カードを手にして立ち上がった。

「俺は神様を気取るつもりはないが……守ってやる! こい! ドラグーンシルフ!」

 風が巻き起こって、豪の腰にベルトが現れて、手にしたカードが全て挿入される。

風が彼の全身を包み込んで、鎧を作り上げていく。緑の龍戦士、ドラグーンシルフに変身する。

 風が収まると、疾風の戦士が立ち上がっていた。

「俺は、疾風の龍! ドラグーンシルフ!」

 ドラグーンシルフはゆっくりと振り返って、対峙する。

「力ノ気配ハ、ソレカ」

「残念だったな。反撃開始といかせてもらうぜ」

 強く地面を蹴って、かまいたちを飛び越えていく。

「来い。かまいたち!」

「人間ガ舐メルナ!」

 風の刃をドラグーンシルフに目掛けて、放つ。だが、ドラグーンシルフの体には、傷1つなかった。

「ナッ!」

「どうやら、おまえの攻撃は効かないみたいだな」

 ドラグーンシルフは、風の龍。風属性には強い耐性があるみたいだ。

「いくぞ!」

 跳躍して、体をひねって飛び蹴りを浴びせる。

「グ…!」

「まだだ!」

 近接戦に持ち込んで、肘で胸を突いた。両脇に相手の腕を抱えて、膝頭で腹部を蹴る。

 そのままジャイアントスイングに持ち込んで、空へと放り投げる。

「人間が、調子に乗るな!」

 かまいたちは、ドラグーンシルフの攻撃を受けつつも着地した。

 鎌を振り上げて、ドラグーンシルフに切りつける。

「とぉ!」

 ドラグーンシルフは、両手で鎌を払って、顎に蹴りを加える。

 顎の蹴りによって、かまいたちの脳が揺さぶられた。

「グ・・・・・・ぅ」

 かまいたちは後ろに数歩よろめいた。

「く…!」

 ドラグーンシルフは膝を地面に着く。

(変身する前の傷口が、広がって痛い…! 早く決着をつけないといけない)

「これならどうだ…二枚重ね!」

 風の刃を二枚重ねして、膝を着いているドラグーンシルフに襲い掛かる。

「プロテクト!」

 リーシは魔法で光の防壁を作って、ドラグーンシルフを守った。

「しっかりしなさい! 私を守るっていったでしょ!?」

「……そうだな。その通りだ!」

 痛みと戦い、傷つきながらも勝利を掴もうとするドラグーンシルフ。

「くっ、二枚重ね!」

「くらうか! そんなもの!」

 かまいたちの攻撃を両手で叩き落して、ゆっくりと両足に力を加える。

「てぇやあ!」

 立ち上がって、拳を連続で叩き込む。

「ぐうううぅ!」

「いくぞ!」

「地球の平和を脅かす化け物め! 怒りの旋風が、薙ぎ払う!」

 右足に風の力を集約して、頭部を目標にして飛びまわし蹴りを浴びせた。

「サイクロン!」

 一陣の風とともに、かまいたちを撃破したドラグーンシルフ。

 かまいたちが倒されると1枚のカードになった。

「カード? これはいったいどういうことなんだ?」

 カードは、ドラグーンシルフのベルトに挿入された。

「ドラグーンシルフ。初めての戦いにしては、よくがんばった」

「リーシ」

 豪は変身を解いて、カードを彼女に返した。

「今回のはたまたまだ。しかし、今日はこの辺で家に戻るぞ。近所に通報されたら厄介だからな」

「そうだな」

 2人は自宅に戻っていった。

 豪の部屋で治療をする。

「これでよし」

「つーか、便利だな。魔法っておい」

 背中の傷を治してもらった豪。

「そうだな。だが、魔力の回復には日を費やすのが欠点だ…。豪、あなたにはドラグーンシルフの力を与えます」

「え? あの場限りのものかと思ったけど、俺でいいのか?」

 変身する許可が下りたことに驚く豪。

「構いません。何より、現地での協力者としてあなたを選びました」

(それに、命を賭して守るなんて、かっこいいことをいう人間は嫌いじゃない)

「顔が赤いが、熱でもあるのか?」

「な、なんでもない! そ、それより、その四角いものはなんだ?」

 照れ隠しに話題を逸らすリーシ。

「ああ、これか。これはパソコンだよ。そうだな。インターネットでいろんなことを調べることができるんだ。ちょっと、遊び半分に「ドラグーンシルフ 動画」と検索してみるか」

 デスクトップパソコンを起動させて、グーグルで検索してみる。すると1件だけ表示された。

「あれ?」

「な…? まだ数分しか経っていないんだぞ? そんなにすぐにできるはずがない!?」

 豪は絶句して、マウスでカーソルを動かしてヒットした検索結果の動画を見る。そこには、CG加工されたリーシと豪。そして、かまいたちとの戦いが映し出されていた。

「いったい、何の目的でこの動画を世界に流しているんだ?」

「……もしかして、ううん。そうじゃないと説明がつかない」

「どういうことだ?」

「あの場には私たちしかいなかった。でも、誰かが精霊を操って撮影させていた」

「じゃあ、今までのドラグーンソールとシルフも精霊が撮影していたのか!?」

「…精霊は私でも意識しないと感知することができない存在だから、可能よ。どんな場所からでも撮影はできる。でも、誰が何の目的で放送しているかまではわからないわ」

 2人は、パソコンの動画をただ見ているだけしかなかった。

あとがき

 いい具合に面白くなってきた。ドラグーンソール。豪も変身する権利を手に入れてようやく?春?小春が来たようです。敵の選択も大変です。

太陽と風…次は何が出てくるんでしょうか? 

しかし、作中では豪が主役回でしたが、今頃龍介と優香は2人で弁当………(書いていて、うらやましくなりましたorz)

さて、別方向で主人公も話を進めないといけませんね。

 アクションシーンは書くのが難しい。このまま別ストーリーで「30歳になった男が過去に戻って、人生をやり直す」というときめもや恋愛物を取り入れた話を書くべきか。

(需要がないだろう。需要)

追記:これ描いたの2010年代なので、まさか異世界転生ものが流行るとは思わなかったんだ;

投げ銭していただけると、喜びます(´っ・ω・)っ「創作関係に投資」(´っ・ω・)っ今さら編集できることを知る人・・・(天然すぎぃ)