龍戦記 ドラグーンソール 戦乙女編 「友達だから、助けるんだよ!」

 友達だから! だから、助けるんだよ!

 龍戦記ドラグーンソール 戦乙女編 ファイナル1

 人は、絶望する出来事に直面した時。
 心が弱ってしまう。

 だけど、ゆずれないものがあるから。
 それが「在るかぎり」勇気は、失われない。
 
 対峙して、打ちのめされようとも。
 それでも顔をあげる強さを持っている。

 だから、幸せになることをあきらめてはいけない。

「頭(こうべ)を垂れるな。震える膝をに手を添えて、顔をあげよ。
 その足は、意思を大地に伝え。心に響かせる。小さな巨人」

 これは、ささやかな幸せを望む。ささやかな人たちの物語である。
 
 その意思は、苦境に立たされてもなお。
 「魂の輝きは、失われはしないのだから」

 
 いつまでも続くと思っていた。
 友達との日々。

 神様という名の戦乙女が、連れて行った。
 その日々は、遠い。遠い。過去に変わってしまう。

 桂亜衣は、部屋にふさぎ込んでいた。

 キューちゃんを助けられなかったこと。
 どこにいるのかも。わからない。

 「キューちゃん・・・」
  出会って、一か月。家族当然のように過ごして、泣いたり。笑ったり。
 冒険をしたりと、とても、とても濃い日々だった。
 だけど、キューちゃんの声がおぼろげになってしまう。
 「どこにいるの? 助けたいよ」
  亜衣は、変身する能力を失い。無力な少女に戻ってしまった。
 「ふれー! ふれー! かーつら。あい! とぅ!」
 「え?」
 ノートパソコンが勝手に起動して、そこから、黒髪のポニーテールの少女が飛び出してきた。
 「ふぅ。やっと、たどり着いた。初めまして、だね? 私の名前はルティア。
 あなたのお姉さんが生まれる前の姿。そして、お姉ちゃんは、どこでも駆けつけます」
 魔眼を持った。黒い皇帝竜ールティアが、時空を超えて、妹である亜衣を助けに来たのだ。
 「さて、端的にいいますと。キューちゃんから、SOSを頂きまして。私があなたの力になるために来ました。大まかな事情は、私自身も知っています。とそのまえに、よく、がんばりましたね」
 ルティアは亜衣の頭を優しくなでた。
 「亜衣。あなたは、人にとって、難しいこと。「異なる命を持った人を偏見も泣く。受け容れること。認めること」をやりました。その心は、失くさないでください。その心は、形のない宝物なのですから」
 「ルティア、さん・・・」
 「私も色々と経験しました。そして、あなた達に救われました。だから、今度は私があなた達の力になる番です。亜衣。キューちゃんがあなたを守りたいと自分の運命と戦っている。そのために、私の力を使う覚悟はありますか?」
 亜衣に問いかける。
 明日を照らすのは、太陽だけでなく。
 その世界に生きる。魂ある生命の意志。
 だから、亜衣に問いかける。

  『宿命を書き換える強さを持つー皇帝竜の力を使う意志を』

 「キューちゃんだけに戦わせない。だって、私はキューちゃんの友達だから!」
 「次のステージにいけますね。 亜衣。キューちゃんは、ソール達が戦っているカオスの一部でした。しかし、過去の戦いで、戦乙女に心と体を分離させられ。
現代に蘇りました。心は、キューちゃん。体はカオス。しかし、心は力を持たない。カオスは、体の一部が生きていれば蘇られると考えました。
 人の魂には三つの概念があると沖縄地方にはあります。その概念を利用し彼は悪用したのです。
 しかし、大きな誤算があった。それは、桂亜衣。あなたの存在です」
「わたしが?」
「ええ。正体を知らず。急速に成長するキューちゃんに怯えず。ありのままに接し。人としての心と感情を体験した。
 そのことが、大きな誤算だった。それは、カオスという同一の存在ではなく。「新たな生命としての心を持った生命体」へと進化した。
 だから、カオスは急いで、キューちゃんを見つけ出して、同一の存在へ戻ろうとした。
 今のカオスにとって、キューちゃんは「異物」そのもの。瞬間接着剤のようになんでもくっつけようとするものを使い。融合しようとする」
「キューちゃん・・・・・・・。ルティアさん! 今すぐ、キューちゃんの所に連れて行って!」
「待ちなさい。その前に、キューちゃんからのメールを読みましょう」
亜衣はキューちゃんからの手紙を読んで、残されている変身の回数はあと一回しかできないと知った。

「あと、一回しかできないんだ。だけど、私自身を護るためじゃない。キューちゃんを助けるために使いたい」
「亜衣。強いですね。良い子です。お姉ちゃんが頭をなでなでします」
 ルティアが亜衣の頭を撫でる。
「ルティアさん。ありがとうございます」
「では、事情を知っている人達の元に行きましょう。道場に集まっているはずです」
 亜衣とルティアは、自宅から道場へと走っていく。

 同じころ。
 ビルの一室で、カオスはキューを実体化させて、拘束していた。
 「やっと、会えたな。オレの一部よ」
 「ボクは、おまえじゃない。「桂亜衣から、名前を貰ったキューちゃん」だ。カオス、お前は、何を企んでいるんだ!?」
 「決まっている。人の弱点を突き、すべてを傾国させ。滅びさせることよ」
 「なに? 人の弱点。そして、滅ぼすだって」
 「そうだ。人類は新しい変革を迎える。だが、最大の弱点がある。それは「多様性」だ。
 異なる意見。価値。思考。それは、いい方向に向かえば利益となる。
 しかし、その多様性が人の心を縛り。押し付け合い。破滅へと誘導していく。
 現に、この世界は、龍介達がやればいいと見ているだけだ。
 いや、彼らを生贄という名の救世主にすればいいと思いっているだろう」
  多様性―そう。言葉にすれば、良いことのように思える。しかし、強きものだけが生き残るというシステムに歪が生じ。
  弱きものと一緒に滅びてしまうという世界線が迫っている。
 「この世界で、1つの試みがあった。ボーダーブレイク。この世界と別世界の境界線を破壊するために、その手段として、テレビやネット動画で大衆の無意識に意識の改造を施そうとした。
 だが、ドラグーンソール達の活躍により、その野望は破壊された。―しかし、その原理は簡単にできる。「ミーム感染」だ。昔の神話によれば、人の言語は一つだった。その時の名残が人の無意識にある」
 キューちゃんは、カオスの行動手段がわかった。そう、これは、許されないことだ。
 「お前は、それを利用して、多様性を統合させ。人の魂を縛るというのか?!」
 「その通りだ。システムを統一し、幸福の在り方も1つのみにする。1つの思い出だけ、記憶だけ持てば。争いはないだろう」
 「それは、命への驕りだ。ボクは、僕は。何が何でも亜衣を守る! 亜衣に関わる人たちも。泣いたり、笑ったり、怒ったり。時の流れの中で、命を重ねて、成長していく。僕らは、長く生きてきた。その反面。観ているものが哀しみだけか。人の哀しみと笑顔と希望を見るかで別れてしまった。
 カオス! 原始根源破滅生命体! 人の概念を超えた負の面である僕らが、【この世界を意図的に自由を奪うようなことはしてはならない】
 そうしてしまえば、この星の全てのエネルギーの生態系が崩壊してしまう」
 「滅びへの進化だ。それが、慈愛だ。シグルーンアンプルを」
シグルーンがキメラ細胞のアンプルをカオスに差し出した。

 カオスは、アンプルを飲み干し。キューを吸収する。
 その一瞬のスキをついて、シグルーンは剣で竜也とカオスを分離させた。
「! 貴様!」
「この時を待っていた! 私は、あなたから彼を取り戻す為だけに手を汚してきた。返してもらう!」
「おのれ、シグルーン!」
 シグルーンに刃が向かう。そのとき、デスクトップパソコンが光だした。
 
「3万年早いぜ! カオス! 俺が相手だ!」
 ドラグーンシルフが、デスクトップパソコンから飛び出し、壁の柱を飛び前転で蹴り。カオスの顔面に殴りかかる。
「エアーナックル改!」
「貴様!? なぜこの場所がわかった?!」
「甘いな。アクセスポイントを遡らせてもらったぜ。今の時代。アクセス端末さえ分かれば、だいたいの居場所は割り出せる。というわけで、一旦逃げる。一緒に来い! シグルーン!」
「! わかった!」
シルフは、カマイタチのカードを挿入して、米粒ほどの鎌を複数カオスに投げた。
 カオスは、ハエを叩くように腕を振るい。体のいくつかに乱雑に侵入した。
(よし! 嫌がらせ成功!)
「あばよ!」
 シルフは、シグルーンが竜也を抱えたままパソコンに駆け込んだことを確認すると。一時的に回線を切断した。
「まあいい。多少の誤差はあった。なら、後は恐怖で人を縛り付ければいい。後は任せたぞ。三剣士神」
 黒・赤・青・黄色の4騎士が飛び出していった。
 カオスは、己の細胞とキューを結び付けようとしていた。
 しかし、キューには、強い信念があった。

 【桂 亜衣を守る】という。たった一つの思いという刃を握り締めていた。
 
 9割と1割。小さいリソースしかないキューは、たった独りの最終決戦をする。すべては、魂の半分を預けた。愛する人の為に。

 豪は、ネット回線を通じて、田中スグル師匠の元へと急いだ。
 「なあ。こいつは大丈夫なのか?」
 シグルーンに豪は尋ねた。彼女は、頑として、竜也を放そうとしなかった。
 「大丈夫なはず。今まで、カオスに生命エネルギーを取られていて、記憶の欠落もあった。だけど、私の3つの命の内1つは使った。残りの2つを使って、
 この人を助ける。それが、私なりの愛。そして、この人だけでも助けたいから。最初人間に暴行され、その中で助けてくれたのが彼だったから」
その話を聞いて豪はニッと笑った。
 「そうか。なら、急がねぇとな」
「許さないとか思わないのか? 私はこの人を救うために戦ったんだ」
 「俺は難しいことわからねえという前提で言うぞ? 「知らん」 どう償ったらいいのか?とかもよくわからん。
 けどよ。俺たち生まれて17年くらいの高校生だぜ? 龍介だって、怒る時もあるし、泣くときだってある。
 それが人間だよ。あいつは、頭が悪い人間じゃない。というよりも、この時代の価値観では「合わない」性質なんだよ。
 アンタなら、わかると思うが。好きな人を護るために、バケモノになる覚悟を持って、変身するか?
 一般的な奴はできない。何故なら、本能が止めてしまう。生存の為にな。だが、変身するのは「本能を超えた魂としての意志が突き動かすんだ」理屈でもない。無意識の覚醒。それがヒーローってやつじゃねえのかな?」
 そして、もう一つと。人差し指を立てて言葉をつなげた。
「そいつも、武術やっていたんだよな? だからかもしれねぇよ。武は弱い人が強い人に勝つために生み出されたもの。
  その時の心がどうであれ、魂の在り方は変わりはしねぇよ。俺も龍介も基本的に武は弱い人を護るためのモノと決めて、拳を握る。
 本当の過ちは、過ちに気づいて撤退する勇気を出さないことなんだよ」
「変わっているな、お前たちは」
「変わるさ。人間、変わろうとしたときに進化するモノだしな。さあ。もうすぐ師匠の所に着く。朱美さんには俺からも頼むから、ダメだったら俺の家で養生すればいい」

 巽川龍介は、恋人の桂優香とともに、田中スグル家に来訪した。
「そうですか。亜衣が、変身して戦ったんですね」
「ええ。すみません、俺の方でも気づいてやれなくて」
 スグルは、妻の朱美と台風の日に起きた出来事を包み隠さず話した。
「たぶん、キューちゃんが亜衣ちゃんの危険が周囲に及ぶと思って、秘密していたと思います。そのこともうちの娘ーひなからも聞いております」
「家族ではない部外者の俺が言うのも変ですが優香さん、亜衣ちゃんのことは怒らないでください。亜衣ちゃんにって、自分の親友を話せない
 つらさはありますから」
 桂優香は背筋を伸ばしたまま正座で小さく息を吐いた。
「龍介さん。わかりました。ですが、私にとっては、あなたは部外者ではありません。私達は大人になったら、家族になる前提で私は付き合っています。だから、家族ではない。と寂しい事は言わないでください」
 優香はフッとやさしい笑顔で、龍介に伝えた。
 腰まである黒髪のストレートロングヘア。それは、彼女の意志の強さや彼への一筋な思いを顕しているかのようだった。
「は、はい!」
 スグルは目を細めて、「あ。将来的に戦う時の外の戦闘力は龍介くんが握って、家庭内の強さは優香さんが握ってということになるだろうな」
 という未来が見えた気がした。
「あらあら、本当にお似合いのお二人ね。それなら、神龍帝の力を授けるに値するとソールとるーちゃんが決めたのもわかるわね」
「あ、あけみさん!」
 龍介と優香は顔を真っ赤にして、抗議する。
「それで、どうするつもりだい? 亜衣君は、絶対にキューちゃんを助ける為に動くぞ?」
 スグルは2人に問いかける。亜衣の選択肢をどうするのか?と。
「決まっています。亜衣ちゃんの親友なら、僕達でもできることを全力でします」
「そのために、亜衣の選択肢が間違っていないというために、私達の龍戦士の力を行使します」
「そして、あいつを力の使い方を間違ってしまった。竜也も助けます。頭のいいアイツが、やり直すことなく死ぬのは、間違っているから」
 龍介と優香の決意をスグルは聞き入れ。頷いた。
「わかった。方向性はわかった。では、エッダの巫女の話は知っているな?」
「エッダの巫女って・・・北欧神話のモノですよね? そうか。だからソールとノルン」
「さすがだな。龍介君。では、簡単に言えば、北欧神話にでてくる巫女の予言だ。北欧神話は大ざっぱに言えば滅ぶまでの神話だ。
 そして、ドラグーンソール達の世界。元々ドラグーンソールのソールは太陽の事を指していた。いわば人工的に創られたもの。
 太陽の龍戦士が命の審判者になったのは、善の存在悪の存在の中立をするため。簡単に言えば神龍帝は「あの世界におけるバランサー」
 としての役割。だが、カオスとの戦いの際に進化を果たした。それが並行する世界や虚数空間にも戦えるだけの力を「カードにする」
 ことで力のサブシステムを生み出した。パソコンで言えば外部記憶に保存し、持ちだしやすくするためだ」
「なるほど、だから。ドラグーンソールの力がこの正解でも。過去の世界でも使えたのですね。「時間軸は下から上へと積み上げるモノ」しかし、
 虚数空間となると「時間の概念がない」一種の浦島太郎における竜宮城のようなモノ。別世界からの侵略者や支配者を目論む者から
 護るために、この力を与えてくれたんだ。僕らの、ヒーローは」
 龍介は、ポケットからドラグーンソールのカードを取り出して握りしめる。
 この力の意味とその重さと時を超えてまでも力を貸してくれる尊敬する友に思いを馳せた。

 そのとき、居間に置いてあったスグルのノートパソコンが起動した。
ウインドウが光だし、そこから豪とシグルーンと竜也が現れた。
「到着!・・・あ」
 田中ひながパソコンから出てきた豪と敵であるシグルーンとエンカウントしてしまい。あわあわわ。と涙目で驚いていた。
「ぴ、ぴ」
「ちょっ、ひなちゃ」
「ぴぇえええええん」
 ひなの鳴き声を聞いて、父親であるスグルがすっ飛んできた。
「どうした?! ひなちゃん!」
 豪は、師匠が目に入ったとき。「あ。これは社会的に死んだ」と悟ったという。

 スグルと朱美は竜也とシグルーンを客間に移動させて、布団に寝かせた。
「どうでしたか?! 竜也は、無事なんですか!?」
 龍介は、かつての親友の事を真っ先に尋ねた。
「大丈夫ですよ。今はシグルーンの魂に同調している最中ですので。ただ。生命エネルギーの9割をカオスに持っていかれた影響もアリ。
記憶の欠落もみられます。」
「そうですか。ありがとうございます。朱美さん」
「北欧神話で、シグルーンは三回転生すると言われている悲劇のワルキューレだ。3つあるうちの一つの命を世界でただ一人。
愛する人の為に使う。だが、カオスから彼を救うために、キューちゃんというピースが必要だったんだろう」
 スグルが、すべての事情を知った上で、龍介と正座の刑に処せられている豪に向かっていった。
「あのー、師匠? 俺、いつまで正座すればいいんでしょうか? 愛娘のひなちゃんを泣かせてしまったのは謝りましたよね?」
「好かれた女2人に心配かけたばかりか、混浴したという罰も含めてあと25分」
「後半、私情じゃねえか! 師匠!」
 ピンポーンとチャイムが鳴った。その後に、大きな地震が彼らを襲った。

 玄関のチャイムを押した桂亜衣が、その場に倒れる。
「わわっ!」
「亜衣ちゃん!」
 ルティアは、ポニーテールを揺らして、亜衣を抱きかかえて、門の内側に飛び込んだ。
「ルティアさん!」
「大丈夫です! 私が絶対に守りますから、皇帝竜の名に懸けて」
 門の上にある瓦が何枚か地面に叩き落とされ。壁にひびが入る。
(できる限り、障壁から離れるのが大事。もし、数秒遅かったら、亜衣の命が消えていたかもしれない)
 ルティアは亜衣を強く抱きしめて、護った。
 体感として5分くらい揺れただろうか。地鳴りも消え。大地の揺れがおさまった。
「どうやら、ここに逃げ込んだみたいだな」
 黒の剣士が現れ。ルティアに刃を向けて、襲い掛かる。
 玄関を開けた龍介は、襲撃の瞬間を見た。
「! そうは、させない! 変身! ドラグーンソール! バーニングバースト!」
 ドラグーンソールの多段変身の中で、瞬時の早さを誇る。ドラグーンソールバーニングバーストモード。
 赤い鎧。背中に二枚の炎の翼が舞い上がり。駆ける。
 駆け抜けた後に、足跡の火が燃えていた。
「お兄ちゃん!」
「俺が、相手だ! お前は、だれだ!」
「我が名は、三剣士神の1人。ダーク。そして、貴様らは既に包囲されている」
 視線を移すと、残りの二つの方向に赤と青の剣士がいつでも襲えるように、電柱の上にそびえたっていた。
 赤の弓矢を携えた「ㇾッド」
 青の槍を構えた「ブルー」
「俺たちの目的はカオスの本体と仲良くしていた娘と裏切り者の人間の殺害だ。そこをどけ」
「-それはできない。なぜなら。お前たちに、ささやかな願いを持った者の生殺する権利を奪わせない。
 それが、命の審判者ー太陽の龍。ドラグーンソールだ。例え、世界が違おうと。俺たちが護る」
「異世界の神が、人に味方するのか。くだらんな 統一させ、1つのモノだけに
縛られれば。管理しやすい。あの生物だって、吸収されたのだ」
「・・・きゅーちゃん? キューちゃんのことなの!?」
「亜衣。落ち着いてください」
 ルティアが、変身能力が制限されている亜衣を抱きしめる。
「どういうことですか? 統一させるというのは」
「いいだろう。簡単に言えば、多様性を潰し。この世界の魂を縛り付けることだ。ミーム感染を利用してな。道具は「この世界が作り上げたモノを使えばいい」
道具そのものに、その世界の記憶が宿る。なら、同化しやすいのどうりだ。
さあ、どうする? 桂亜衣。キューちゃんを倒し、世界を救うか。
キューちゃんを救って、世界を滅ぼすか」
 ブラックが選択肢を示す。
「その選択肢は、受け入れられない。だって、どちらかしか選べない選択肢は。キューちゃんに誇れるわたしじゃない! 世界も友達も助けるんだよ!
 友達だから、助けるんだ!」
 亜衣は、両足で立ち上がった。
 ドラグーンソールは仮面の下で笑みを浮かべた。
(僕が、知らない間に。亜衣ちゃんは強くなったんだ。だから、少しずつ、護ることから戦える支援に行く)
「亜衣ちゃん。君の勇気を受け取った」
 ドラグーンソールは超越形態のカードを切って、進化する。
「ドラグーンソール。超越進化!」
 ドラグーンソールの基本形態に戻り。頭部を覆っていたマスクが砕け。
 金色の髪が首から背中まで伸び。
 丸みのある肩当てをつけ。
 紅のマントが腰に巻かれた。
 

「力を追い求めることから慈愛を持った超越形態に進化する」

 そう、退化から新たな進化ルートを構築するという。
 既存の進化を打ち壊した。
「ソール・エクシード」
 携えている武器はなく。あるのは己の肉体。
 それが、異世界の神龍帝ドラグーンソールが導き出した答えでもある。
 4騎士は、ゾクリと死期を感じた。
 なぜなら、音速を超えた神速。やろうと思えば、次元も空間も関係なく。
 攻撃することが可能だからだ。
「ソルジュエル」
 良腕を十字に切り。スグルの家にバリアを展開した。
「亜衣!」
「お姉ちゃん!」
 優香は、ルティアの存在に気づき。彼女が亜衣の力になるために次元を超えてやってきたのだと知った。
「龍介! ここは、俺に任せろ。お前は、カオスの所に、亜衣ちゃんを連れて、先にいけ。それと!彩香と美奈子に、ポイント座標を転送しておいた。リーシとセリアもいるから、合流しておけばいい!」
 豪は、フラッシュメモリを取り出して、ソールエクシードに投げ渡した。
「豪。わかった。なら、後はまかせた。行こう。亜衣ちゃん。ルティア。優香さん」
 フラッシュメモリを受け取り。行動の指針が決まった。
 4人は、走り出して、カオスを探しに向かった。
「さて、俺の出番だな」
犬飼豪が、玄関から飛び出した。
「変身! ドラグーンシルフ! ハリケーン!」
 シルフは、自分が標的にすることで、時間を稼ぐことにした。
「ひな。お前は、亜衣ちゃんたちのあとを追うんだ。ひな。君は戦乙女と同時に私達の娘だ」
「あなたが進むのは、使命のためだけではありません。「桂亜衣」ー親友の為にその力を奮う時が来たのです」
「・・・はいっ」
 ひなは頷いて、走っていく。
 敵のうち一人がひなに狙いを定める。
ボールペンが、投げナイフのように飛んでいき。狙いがぶれた。
「くそ・・・、安心して、寝ぼけている時間さえももらえないようだな」
 竜也が、廊下の縁側に飛び出した。
「竜也。お前、起きてていいのか?」
「フン。「先を行く友達を守るのも友達だろう」なら、一度は堕ちた俺でもあいつに胸を張って生きねばな。禊は、この闘いが終わってからつける」
 不死鳥のカード取り出して、変身する。
「それに、子供が頑張っている時に。俺ら大人が、腐っていたんじゃ。未来の光を照らしだすことさえ、できなくなってしまう。
 だからこそ。絶望を希望に! 希望を未来に! 勇気を奇跡にするために、もう一度俺は闘う!」
 
「変身! フェニックス・ホープ!」
 絶望し、足を止めてしまったことがある。
 それでも、信じてくれる彼女がいた。
 全力な愛を注いでくれた。
 だから、もう一度戦おう。
「さあ。覚悟はいいか?」
 自分にも問いかけるように。

 白金の不死鳥の鎧をまとった。勇者が舞い戻る。

 未来ーそれは、哀しみが終わる場所。

 黄色に輝く、羽を広げ。緋色に輝く鎧をまとい。
 絶望から希望へと。その先に繋げる未来のために。
 今一度、不死鳥は灰色の悪夢から翼を広げる。

「竜也君。きみは、守護者の力を元の状態に戻したのか」
「そうだ。勇気・友情・知識・やさしさ・純真・誠実・希望・光・闇・寛容ーそれらが人の持つ可能性を引き出す到達点。
そして、空らの可能性を封じてきたのが混沌―カオスだ。戦乙女はその力をもたらす要石のようなもの。そして、俺の不死鳥は。
もしもすべてのドラグーンが敵に回ってしまった場合のカウンター装置。裏の守護者としての役割があったんだ」
 竜也は、まだ眠っているシグルーンのいる部屋を見て、拳を握る。
「信じてくれた俺の為に。そして、愛する人の為に最後まで戦い抜こう。バンカーランス!」
 不死鳥の頭が右腕に装備される。
「緋色に燃え上がれ! 希望の炎! 絶望を焼き尽くせ! フレアスパルタン」
 リボルバーが装填され、槍から薬きょうが12発も吐きだされる。
「ほう、やるな。だが。時間は稼げた」
「そうか。じゃあ、断言しよう。アイツなら絶対にこの闇を払う」
 竜也は目を豪に向けて、言った。
「行け! お前たちの力を1つにしろ。ここは俺が引き受ける」
 地震がまた、彼らを襲う。
「始まったか。カオスの胎動。奴め。海から攻める気か」
「なっ!?それじゃ、この町の機能は停止するぞ?!」
「ああ。だが、問題はそれだけじゃない。時期の境目ほど、隙間が生まれやすい。
なぜなら、年号が変わる時代の前後に災害が多いことがある。
言霊の認知というのは知っているか? 簡単に言えば、この国は言葉に魂が宿る。
だから、口にする言葉に注意しなさい。常日頃から言う言葉に「世界の認知ができあがる」というものだ」
「! つまり、年号の改元は、ある意味においては「その国の認知はそう受け取ってくれ」ということでもあるのか」
 豪が竜也に聞いた。
「ああ。田中さん、あなたなら、この事の意味はわかるはずだ」
「カオスは、認知のゆらぎを利用して、自身の力を確立させると同時に、書き替えるのか」
「そうだ。あとは、お前たちがやれ。俺はシグルーンを護るためだけに闘う。はっきり言えば、今の俺は足手まといだ。」
「わかった。師匠。こいつを頼みます」
「待て! 豪。お前に俺の奥義を授ける。「大和突き」だ。大地の奥底にあるマグマの噴火をイメージしろ。
ただし、一撃必殺ゆえに、お前の身体に大きな負荷がかかる」
 獅子の指輪を豪に渡し。スグルは、力を豪に受け継がせた。
「師匠。ありがとうございます」

 豪は、走り出した。

 そのころ海面から巨人が現れた。
 巨大な鎧に覆われた。50メートルほどの巨人。
 それは、海を荒し。大地を揺るがす存在。
「おおおおおおおああああああ」
 その咆哮は、街にある高層建築を揺らし。窓ガラスがひび割れ、散乱する。
 龍戦士たちは、己の倍以上ある巨人と戦うのだ。

 龍介達は、美奈子。彩香、リーシ。セリアと合流する。
「来たわね! 豪からメールを貰っているから、事情はわかった。
 あとは、アイツを倒して、キューちゃんを救えばいいのね?
 亜衣ちゃん、だっけ? 大丈夫! お姉さんたちに任せて
 亜衣ちゃんの友達は、異世界の存在だろうと、絶対に助けるから」
 美奈子は、膝をついて、亜衣の目線に合わせて、両肩に手を置いて、
 力強く断言した。
「あとは、任せな。あたしらは、全力でやる。そのために、この力はあるんだから」
「お姉ちゃんの、友達のみなさん・・・。ありがとうござい、ます」
「亜衣。お姉ちゃんたちが、あなたの道を切り開く。だから、キューちゃんを助けよう!」
「いい?今回の敵は、統合を悪用している。それを破壊するのが私達の役目! セリア!あんた、戦乙女の死の原形なんだから、そこのところサクッとできない?」
「無茶言うな?! ハイエルフのリーシ。ルーガル―と思っていたら、本当は戦乙女だったなんで、知らなかった。
 まあ、いい。死という概念が与えられるには「生」の概念が必要になる。つまり、新たな誕生と言える」
「なるほど、一種の救済。リバースか。なら、この超越形態でできる。・・・が。どうやら、そう簡単に行かないみたいだな」
 四騎士が龍介達を囲い込む。
「ここからは、邪魔はさせん」
「どうかな? こっちには、最強の相棒がいる。彩香! ジョグレスエヴォルドよ!」
「わかった! 美奈子!」
「ドラグーンアクア」
「ドラグーンジュピター」

 青色と黄色の気が交じりあい、光のリングを作る。

「ジョグレスエヴォルド!」

 大人の女性らしい体つきに、右側が青色。左側が黄色のストレートロングの髪。

 両目は、黄色く。口元を隠す藍色のマスクに、青を下地にした黄色い稲妻のようなラインが走る。背中には、天使のような翼が生える。

「ドラグーンファイレス!」

 両手の中指に金色の指輪が輝く。
「優香さん!」
「ええ! 龍介君!」
「ドラグーンカイゼル!」
「ドラグーンノルン!」

「融合進化!」

 月と太陽が1つとなり。白い聖騎士を思わせる。龍戦士が誕生する。
「すべての戦いに、終止符を討つ者! ドラグーンオメガ!」
 白いマントを靡かせて、剣を構える。
 最強の二つの力が、顕在化する。
「亜衣、あなたは、ルティアと一緒に、先に行きなさい」
「お姉ちゃん!」
「大丈夫、お姉ちゃんは絶対無敵だから」
 空から、ドラグーンディオテンペスタに連れられたひなが落ちてきた。
「亜衣ちゃん!」
「ひなちゃん?!どうして?!」
「私が決めたの。亜衣ちゃんを、友達を助ける為に!」
 亜衣は胸の奥が熱くなった。
「うん。ありがとう! ひなちゃん! ルティアさん!
変身する力を!」
「わかりました。ただし、一回だけですよ? キューちゃんを助ける為に」
「させん」
 赤騎士が弓矢を放つ。
「平伏せ」
 ルティアの目が青から赤色に変わり、龍眼で弓矢を空中で制止させた。
「は?」
「私は、皇帝竜です。つまり、神龍帝の中央に位置する存在。こちらで言えば四聖獣の中央―麒麟にいる存在です
ですので、あなた方の攻撃を無効化することも可能です」
「貴様は、異世界の神か」
「口を閉じろ」
 ルティアの言葉により、赤い騎士の口が閉じる。
「お兄ちゃん、後は、私に任せてください。絶対に、届かせて見せます」
「わかった。るーちゃん、頼んだよ。他の騎士の露払いを受け持つ」
 ルティアと亜衣とひなは変身する。
「黒き皇帝竜の力を我が身に宿せ。クイーン!」
 亜衣の衣服が光になり、黒いドレスを纏い。金色の髪飾りに赤い宝石が撃ち込まれた。ティアラを被る。
「友を助ける為に、力を奮う。クイーン・アイ! 誕生!」
 ひなは、業火に身を沈み、戦乙女の力を纏う。
 黒く、肘まである手袋を纏い。硬い石を顕す黒いドレスに身とまとい。ポニーテールを揺らす。
「セイントプリンセス・ヒナ。ここに推参!」
「友達を助ける為に!」
「聖なる命は、祈りを世界に轟かせる!」
「セイントプリンセス! ここにあり!」
 セイントプリンセスの2人が、啖呵を切る。
「亜衣ちゃん!行こう!」
「うん!」
 2人は空を飛んで、海の方へと行く。
「おっと、そうはいかねぇ。槍よ、かの敵を防げ」
 二つの槍を操る青の騎士が、2人の行く手を阻む。
「妹の邪魔をするな!」
 ドラグーンオメガが二つの剣で叩き落とす。
「太陽の剣よ。コロナブラスト」
太陽の剣でやりの1つを破壊する。
「すべての戦いに終止符を討つ。オメガ。相手が悪いなぁ。俺あいち抜けるわ。
つーわけで、ブルー・ランサーは、抜けるわ。ブラック。レッド・イエロー」

「ソール! 絶対に、絶対に勝ってね! 私は信じているから! ドラグーンソールは絶対最強のヒーローなんだから!」
 亜衣の真っすぐな想いが「力を与える」
 それは、勇気を受け継いだものの言葉だから。
 彼方から、邪悪な光が襲い掛かる。
『亜衣! 私の力を使うのです。インペリアル・スターブレイカーを』
「わかった。星の力よ! 皇帝の力を持って、邪悪な力を討ち払う!
 インペリアル・スターブレイカー」
 右手と左手を組み合わせて、左にくいっと捻りつつ、突きだした。
 両腕から極大な光の柱を放ち。海から来る邪悪な光を打ち破る。
『技の成功です。マトリクスコアの拡張版になります』
「うん! この最後の一回は。キューちゃんを助ける為に!」
 亜衣とヒナは突き進む。
「究極天技・プラズマダイナマイト!」
 プラズマの球を蹴りだし。イエローに直線コース。しかし、イエローは不敵に笑う。
「ふふっ、筋肉は、すべて解決しまーす!」
「のうきん?!」
「いや、あながち間違いじゃねえかも?」
 豪は、美奈子を想像していう。
「よーし。よーし。あとて、絞ってあげるからね!?」
「ジョークジョーク! つーてもよ。あと三人を相手するの骨が折れるぜ?
だから、さ。俺らの方でも全員で合体しね?」
「はあ?! アンタ、この姿が、神龍帝に近い状態なのに。さらに合体するって、どんだけよ?!」
「理由はある。竜也からの伝言だ。「俺らの力を一つにしろ」とよ。なら、ドラグーンオメガと対になるもう一つの存在がいる」
「そういうことね。ドラグーンバスターというイフを再現するには、もう1つの力がいる。なら、あたしは覚悟決めたわ」
 彩香が答える。
「はー。もう。で? 策ぐらいはあるんでしょうね?」
「ああ。融合進化。-銃火器専門の奴をな。俺の命。美奈子。お前に預けた」
「やってやろうじゃん!」
「ドラグーンテンペスタ」
「ドラグーンファインレス」
「融合進化!」
 雷が轟き。風が荒れ。海が泣き叫ぶ。
 群青色の細身。それに似合わない強大な銃身が右腕に。左腕にはレールガン。
 両足のすねにはミサイルポッド。背中には、二丁のキャノン砲。
 腰にはガトリング砲。とビームサーベル。
「吹き荒れる。大地の轟。ドラグーンマグナ!」
「また、進化しただと?!」
「どれだけ進化していくんだ」
「決まっている。どこまでもだ! 人が己を信じることがあるかぎり。
迷いも不安も。乗り越えられる。異世界の友がいるからな」
 ドラグーンマグナがイエローとレッドに啖呵を切る。
「速射!」
「グランドマギア」
 レッドは、弓矢を早く射貫き。イエローは、大地を叩きつけ、溶岩を噴出させる。
「レッグミサイル!」
「プラズマレールガン!」
 スネからミサイルを連射し。レッドの弓矢を破壊。左腕のレールガンを一発放つことで、イエローの溶岩を撃破する。
「しゃらくせぇ! 一気に叩きこむ。マグナス! リミデッドブレイク!」
 両足のすねからのミサイルを全弾発射し。その次に、プラズマレールガンを放ち。レールガンを殴り捨てる。
 腰につけたガトリング砲に持ち替えて、全弾打ち尽くし。薬きょうの雨を散らす。
 煙で相手の視界を奪い。レッドとイエローが背中合わせになった瞬間に。相手の間合いに滑り込んだ。
「これで最後だ」
 ゴリッと右腕の銃身をあて、リボルバーを装填する。
「グリッタースパイク!!」
 光の銃弾を空になるまで打ち付け。武装を解除する。
「がはっ! ばかな。武装を全て使い捨てで」
「撃ち尽くすというのか・・・戦略なんてない」
「ああ。そうだ。残弾を意識して、やるなんてものは、俺にはできない。なぜかって?
 本気で勝ちたいなら、恥も何もかも捨てるくらいぶつかるからさ。あばよ」
 レッドとイエローが消滅し。残るはブラック独りとなった。
「残るは、俺だけか。終止符の騎士よ。勝負を申し出る」
「わかった。黒き騎士。あなたの敬意に称し。全力で相手しよう」
 空中で白と黒の線が何度も交わる。
「幻影の太刀!」
「蜃気楼の剣!」
 互いに幻惑系の技を使い。
二振りめで、撃ち合う。
 しかし、ドラグーンオメガは、剣を滑らせて、背中を見せてしまう。
「ふっ、甘いな。このまま切り込む」
 マントが翻り。そのまま差し込めば。ドラグーンオメガは、絶命する。
 月を繰り出した。しかしー。
 下から剣の攻撃が襲い掛かり。ブラックの手がしびれた。
「まさかー!」
「甘いな。この俺が「マントで視界を奪い。フェイントをかけてこないと思ったか?」
騎士ならば、マントを囮にする戦いもあることを心得るんだな」
「赤き太陽。白銀の月。二天の舞!」
 左右の剣で、ブラックを切り裂いた。
「お前は、先手を読む能力を超えてきた。だが、俺はさらに進化する。その差だ」
「命あるものは、前に進む、か。…なら、俺は、倒れることであろうと・・・まえ、のめりに・・・」
 ブラックは、ふらつきながら、前に二歩進むと。消えていった。

「さて、残るはランサー。おまえだけだがどうするんだ?」
「あほう。最強の奴があんたらにやられたんだ。今さどうこうねえさ。
はっきり言えば、俺らはあんたらの足止めの為に作られたんの。
時間が来たら消えるさ。今からでもいいから、追い付きな。
カオスは、一種のガンだ。切除しないと他の星にも影響が出る」
「俺たちは、倒すために、この力があるんじゃない。亜衣ちゃんの親友を助ける為に力を奮う」
「そうだ。それが異世界で神龍帝。神の力を持っていた。その友達を救うために奮って、何が悪い?」
 ランサーは、頭を抱えて、大声で笑った。
「そりゃいいー。そりゃいい。ハッピーエンドを目指すか。
いいだろう。このランサー。1つだけ良い事教えてやるわ。
情報の書き換えを魂レベルでやれば、奇跡は起きる。
記憶は一種のエネルギーだからな。最大のヒントはウルトラマンだ。
なぜ、60年近くも愛される?それは、祖父母・父母・こどもと共通に話せるからさ。
ある意味じゃあ、想い出のアルバムみたいなもんだ。
行け。光の戦士たち! ハッピーエンドで救うんだ!」
 ランサーの手が光の粒子となっていく。
「へへっ。これまでか。あんたらとは、喫茶店とかでコーヒーを売りながら。会話してみたかったぜ。闘う時は闘う。守る時は守る。
居場所ってのは、複数あれば、生きる勇気がうまれるもんだし、な。
あばよ。龍戦士達」
「ああ。あなたの思いは、俺たちが確かに受け継いだ」
 ランサーは、へへっと笑って、光になって消えていく。
「行こう。俺たちが、最後の最後の切り札だ」



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