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ヤナの森の生活 ハワイ島の大地に生きる ヤナ著 ケイコ・フォレスト訳

まずは、女の人たちがパワーを取り戻す時が来ています。
私たち女性には母性があり(マザリング)、母として生きとし生けるものをはぐくみ育てる大地と同じ役割をもっています(マザーアース)。母なる大地が病んでいたら、その子どもである私たちが健康で生きられないように、女たちがその力を取り戻さないと、子どもたちと男たちを健康にはぐくみ育てる愛が欠けてしまいます。(P128)


装丁の美しい本は手元にあるだけで幸せな気持ちになる

ケイコちゃんと出会ったのは、1996年2月。マウイ島の空港だったかな。

その前の年の1995年の秋のことだった。コロラド州ボルダーから1枚のクジラのカードが届いた。差出人は星川淳さん。落日が大海原に最後の光を投げ落とし、月が昇り始めた水平線に姿を見せたザトウクジラ。あまりの美しさにただただ見惚れていた。

「普段はほとんど屋久島を離れないのですが、現在は家族ぐるみでボールダーに来ています。」
そのカードには、私が当時連載していた雑誌に星川淳さんの初の小説「精霊の橋」を紹介したお礼が書かれていた。

その本は夫が先に読み、「映像にしたいくらい面白かった。読んでご覧」と私に貸してくれた本だった。
一枚の絵に惹かれ、会社を辞めてアラスカに渡った由季という女性がスウェットロッジの中で記憶の糸を手繰ってゆくと、一気に時空を超え、古代に生きる少女になってベーリング海を旅する物語。ああ、この本に10代で出会っていたら、私の人生ももっといのちが豊かに膨らんでいたかもしれない、とドキドキしながら一気に読み、感動とともに連載のなかで紹介したものだった。

カードが届いたその日、電話がかかってきた。親友のマナちゃんだった。
「ゆかりちゃん、元気?私いま、ボルダーにいるの。で、サンフランシスコのふみさんに紹介されて、ボルダーのパンタさんという方に会いにきたら、そのお友達の星川さんとクリスにあったの。星川さんとのところでも、クリスのところでもゆかりちゃんの名前が出たから、電話した。ボルダーに来ない?」というのです。
クリスは、マイケル・ジャクソンのツアーメンバーで、マイケル・ジャクソンの来日コンサートのとき、私が当時関わっていたシンクラヴィアをマイケル・ジャクソンがコンサートで使うということがきっかけで、友達になったのだけど、(クリスとの出会いもシンクロばかりなので、いつか別の機会に書くことにする)、とにかく、ボルダーに行くことにした。そして、ボルダーではまた、シャーリー・マクレーンのアウトオンアリムに出てくるリア・バイアースと再会するなど、いろいろ起き、そのあと、私はスーザン・オズボーンに会いに、オルカス島に行くため、一旦まなちゃんと別れ、マウイ島でまなちゃんとケイコちゃんと待ち合わせをして、マウイ島をめぐり、私はハワイ島のオニズカ・スペースセンターに行きたかったのと、ケイコちゃんたちもハワイ島を旅したい、ということでさらに2週間くらい、レンタカーでゆっくりとハワイ島をぐるりと廻ることになった。

ケイコちゃんは、その時初めて出会ったのだが、エルクヴァレーの山のなかでシカなどを捕まえては、自給自足の生活をしていると聞き、びっくりしたことを覚えている。そして、ハワイ島の旅は最初から何も計画されておらず、毎日、「明日どこに行く?」みたいにリトリートセンターに電話して、「部屋ありますか?」みたいな旅だった。
私は1歳の息子連れだったので、野宿するわけにはいかず、彼女たちの身軽さを羨ましく思いながらも、クジラと泳いだり、イルカに囲まれたり、海亀と戯れたり、その他いろいろな経験をした。

「ヤナの森の生活」は、パリで生まれ育ったヤナが、世界のあちこちを旅しながら、最終地としてハワイ島のジャングルのなかで大地の一部として生きる彼女の実生活が描かれている。ハワイ島を巡った時の聖地の名前がちりばめられ、懐かしく、そしてこんな暮らしに飛び込めるヤナやケイコちゃんが眩しかった。



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