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バサバサバサっ

高校生の時、THE YELLOW MONKEYが大好きで、部屋の壁四面全てにポスターや雑誌の切り抜きを画鋲で貼っていた。何故そうしたかは忘れたけど上の左右2箇所だけを止めていた。

オカルト好きな人なら、この危険性はよくご存知だと思う。

壁四面全てにポスター類を貼ると、そこから人ならざるものが入ってきて、出られなくなってしまうというのだ。とはいうものの、私の部屋は中学生のときに長兄から譲り受けたもので、その長兄は四面どころか天井にまで映画のポスターを貼っていた。

この状態で何も出なければ、出るわけがない。部屋をもらったときに兄が貼ったポスター類をザクザク剥いだ。剥いでも別のポスターが出てくる。

「あしたのジョー」のポスターが現れた。「TOMORROW'S Joe」という文字を背負った矢吹ジョー。もちろんファイティングポーズを取っている。「ともろーずじょー…ああ、あしたのジョーか」。

ジョーはなぜか天井に近い壁にベッタリくっついていて剥げなかった。日に日にイエモンに彩られていく壁の中でも異彩を放つジョー。

そんなある日。電気を付けっぱなしで寝てしまったと思う。金縛り状態になったと思ったら、壁という壁から「バサバサバサ!」と無数の紙がめくれる音が聞こえてきた。何度も言う。私は金縛り中に目を開けられない。

何が起きているかは想像がつく。ポスターや雑誌の切り抜きがめくれてはためいているのだろう。でも、窓は開けていないし、四方から音がするのはどういうことだ?

飛び起きると、部屋は明るく、さっきまでうるさかった子供が罰の悪そうにしているような空気が部屋中に漂っていた。切り抜き類を剥いだことは言うまでもない。

ちなみにジョーのポスターは今もまだ健在だ。ジョーが剥げないために、四面にポスターを貼らないルールに制約が出来て面倒だった。

長兄よ、どうやってこのポスターを貼ったのよ?

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