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父とセミ

本当に身近な人が亡くなると、偶然といえばその通りなんだけど、不思議だなあと感じることが多々起きる。母の時もそうで、あちこちのSNSで書き散らかしてきた。父もやっぱりそうだ。

★バスケが妙に気になる
父が倒れて病院に運ばれた日。私は職場にいた。テレビに映る新潟出身の富樫勇樹選手がやたらと気になる。父はバスケットマンだった…というのは少し前のnoteに残した。

その後。父のお骨の前で、富樫くんが出演していた「アナザースカイ」をTVerで観ていた。スマホ画面で観る富樫くんの故郷、新発田市の風景。美しい。

窓の外がうるさい。セミがチチチ…と鳴きながら、窓に体当たりしてくる。結構大きな音。随分大きなセミが体当たりしてくるなあと思っていた。夜なので、光に集まる習性があるんだから仕方なしと気にせず視聴を続けたのだけど、うるさい。窓壊れるっていうか、これセミ死なない?っていうぐらいぶつかってくる。何度も何度も。

どんなセミだろうと、障子を開けた。そこには窓ガラスに映った太った中年女性しか見えなかった。怖すぎる。夜は窓が鏡みたいになりますよね。怖いわ…。

…そういう話でなくて、自分の姿も邪魔だったんだけど、目を凝らしてもセミらしきものは見えなかった。

障子を閉めたら、もう衝撃音は聞こえなくなった。あれはなんだったんだろう。私の姿にセミもビックリしたんだろうか。

それからまた、日が移り。バスケW杯で日本が初勝利を収めた。歴史的快挙。やっぱり職場のテレビで観ていた。ちょっと泣いた。

父に見せたかったなあと思うが、多分父はいま沖縄にいるのだろう。もう自由なんだし。四十九日はもう少し先だし。なんなら相手チームの邪魔をしていたかもしれない。

人の魂が虫に乗ってやってくるという話を聞いたことがある。いま、父の乗り物はセミなのだろう。セミに乗って沖縄に旅していたら面白い。怒りん坊の父がセミなの面白い。イチイチうるさいの。死んでる?と思わせといてうるさいの。乗せてくれているセミにいらないこと言って、落とされたり拾われたりしながら見たいものを見てきてほしい。

何故、父とセミを紐付けるかと言うと、忌引き休みが明けて、東京の自宅の玄関を開けた瞬間、セミが入ってきたから。一晩放置したら、玄関から移動してキッチンで絶命していた。今年はいつになく、玄関前に転がっているセミが多い気がする。

つづく!

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