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私とお母さんクイズ

ふと目に入った、とある新聞の4コマ漫画。居酒屋で老いた父とその息子と思われる中年の男性が話している会話に耳を傾ける主人公家族のパパ。「ボクとお父さんクイズ! 初めて映画館で観た映画はなんでしょう」。老いた父はなかなか思い出せない。ヒントをくれと楽しそう。主人公パパが我が息子といつかやりたいとニンマリして終わる。

父と映画館で初めて観た映画は…。「インディ・ジョーンズ」。二本立てで「スタートレック」の終盤に映画館に入った記憶がある。なぜ二本とも観なかったのか不思議。

父はタダ券がないと映画館に行かない人だったので、これ以外の記憶はない。

母との映画館の記憶は結構ある。

東映まんがまつりというのが、35年ぐらい前は当たり前のようにあって「ゲゲゲの鬼太郎」を観た気がする。夢子ちゃんがいる時代。あとはドラえもん。青赤のセロハンが片方ずつに貼られた眼鏡で観るのだ。飛び出て見えるやつ。

「天空の城ラピュタ」も映画館で観た。南野陽子と阿部寛主演の「ハイカラさんが通る」も。あ、「スケバン刑事」も観てる。風間三姉妹のほう。

私が7歳ぐらいまでは、よく外へ連れて行ってくれていたようだ。最後のおでかけの記憶は9歳。どこぞの絵画コンクールで選ばれて、大型百貨店で展示されたのだ。その道すがら、変な人を見たことは以前書いたことがある。

その年の秋に母の父が亡くなったので、もしかしたらその出来事もメンタルを悪化させるきっかけになっていたのかもしれない。母も早くに母を亡くしていたので、義理の両親とうまくいかず、夫も完全な理解者と言えず、息子2人は成人したものの、遅くに産んだ小さな娘を抱えて、実の両親がこの世にいないというのは、想像以上に心細いものかもしれない。

それでも、頑張ってくれていたのだ。鬼太郎はいまでも好きだし、いまはそんなにジブリは観てないけど、国民的世界的人気アニメ作品を映画館で観られたのは貴重だったと思う。青赤のセロハン眼鏡の思い出も。

はいからさんはその後、原作も読んだし、南野陽子も阿部寛もなんだかいまでも好きだと思う。スケバン刑事の浅香唯もいまも変わらず美人でうはあと思う。

それなりにちゃんと語れる幼少期に触れたエンタメの話ができるのは、きっといいこと。映画館は映画で観たいのはいまも同じで、もしかしたら母と共有した時間も影響しているのかもしれない。

いま改めて考えると、ラピュタやはいからさんは、母が観たかったのではないか。昭和18年生まれにしてはなかなか「はいからさん」。いや、ジャニス・ジョプリンと同い年らしいので、ウーマン・リブに揉まれていたのかもしれない。

阿部寛を観てかっこいいとか思っていたのだろうか。なにを思って一緒にあの映画館にいたのか、私はもう知ることができない。

…と、締めようと思ったんだけど、Wikipediaを見ると「東映まんがまつり」は結構最近まで実施されていたようだ。侮れないぞ、東映まんがまつり。

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