見出し画像

目指したのは「必達、仕事人」

転職が転機になり、多くの機会を呼び込んだ。

7年半ほど働いた東証一部上場企業を辞め、ドイツ系企業へと転職したのは2012年。残業漬け・飲み会漬け・朝礼での社是唱和といった典型的なメンバーシップ型の日本企業から、明確な役割と達成目標を個が担うジョブ型ドイツ系企業への転職だった。
最初の日本企業では、7年半に渡って社長や部門長から突如集合や呼び出しが掛ると走って参じたり、彼らの話すポイントの無い話の中からポイントを探してメモしたり、何十年も腐れ縁でつながった取引先と飲みに出る上司に呼ばれ渋々ついていく、、、といった典型的なメンバーシップ型の働き方を続けていたが、転職と同時に思いのほかあっさりと決別できた。
転職先のドイツ系企業では肩書をファンクションと呼び、業務目的が明記され、それが細分化されたタスクをこなしながら進捗管理するという、まさにプロジェクトマネージメントそのものだった。組織のコワークライン(協働連携・チーム)もレポートライン(報告・相談系統)も明確で、関わる皆がそれぞれの技量に応じた生産性に満ちていて、いわゆる「働かないオッサン」の居場所はなく、みな定時できっちり切り上げて帰る。日々7.5時間の労働時間が濃厚で濃密なのだ。
一方で、社員の誕生日や創業記念日・〇〇の日といった特別デーを設けて、その日の衣装や合言葉を決めたり、ありきたりの日常を特別にしてくれるアイディアで満たすことも定期的に行っている。仕事の中身も、ライフ・ワークの切替えにもメリハリがあるのだ。

「はたらく」とは『ゴールを言明し達成する』こと。

かつて日本男児たるものは「無言実行」を良しとする価値観があったそうだが、いま私が持つ価値観は、大切なのは無言ではなく有言だと確信している。そして実行するだけでも十分ではない。実行はプロセスであり、その先のゴールが達成されて初めて仕事として完結した価値が得られる。「ゴールを言明し、達成すること」つまり「有言達成」こそが、はたらくということだと考えている。逆に言えば、アルバイトだろうがフリーランスだろうが、はたらく以上はどんなに小さくても「明確なゴール」を雇用者と共有し、「達成」したという報告をし、雇用者も明確なゴールを用意するか、協議してゴールを見出し、達成を確認し対価を支払うこと。それが労使のあるべき健全な関係だろう。部下を持った今、私個人はもちろんチームとしてもゴール達成を積み重ねていく「必達、仕事人」でありたい。

メンバーシップ型の居場所は、コミュニティで見出す。

ドイツ系企業での勤務が5年を過ぎたころ、日本企業で働いていた頃の同期と会う機会があり、彼が未だ当時の会社に勤めていて「あいかわらず」な社風と経営についてあれこれ話すのを聞きながら、哀愁を感じつつも懐かしく聞き入った。当時、残業や夜の付き合いに全く意味を感じていなかったが、今振り返るとそこは「自分自身の居場所の一つ」だったことは間違いない。仕事自体も好きで、会社の仲間と過ごす時間も楽しかったのだ。日本型の雇用は、「仕事」と同時にそこに「居場所」も提供する。本来分かれている2つの役割を会社(職場)が担っていたのだと気づいた。
だから今は、会社で「仕事」をし、早く切り上げて帰宅し第一の居場所である家庭に戻り、家族との時間を充実させている。そして、仕事後のジムや週末の草野球チームが第三・第四の居場所となってきた。つまり、人生の居場所は職場以外で見つけていけるし、転職を考える際に「居場所を失う」ことを考える必要もなくなるのだ。転職先で求められる活躍を存分に果たせることは、「必達、仕事人」にとってのはたらく歓びなのだ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?