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マリちゃんへの懺悔

マリちゃんは、同じ団地の可愛い3歳の女の子。
私は5歳だった。

マリちゃんは、童話の絵本にでてくる白雪姫みたいなおかっぱと、赤いほっぺにクリクリお目目。

なんて可愛らしいお人形さんみたい。
そう思っていた。
人に対して、愛しさを初めて感じた。

私の後ろをよくついて来た。
真似をしたがった。

私は階段を飛びおりた。
マリちゃんは真似をして転んだ。

大丈夫、痛くない。
これぐらい我慢しなくちゃ。
できるまで練習するんだよ。

私はマリちゃんを階段に立たせた。
マリちゃんから笑顔は消え、メソメソしだした。

メソメソしちゃだめだよ。
メソメソしたら叩かれるんだよ。
叩かれないように頑張らないと。

私は、マリちゃんに当たり前のことを教えようとした。

しばらくすると、突然後ろから殴られた。
びっくりしていると
「マリちゃんに、なんて酷いことをしてるの!小さい子は守ってあげないといけないのに、何でいじめるの!」

・・・え?何?いじめる?
私はマリちゃんが叩かれないように、マリちゃんのために頑張っていたのに。愛しいから。

その日から、マリちゃんは私を見ると怯えて逃げるようになった。
マリちゃんの笑顔は、私を見ると消えるようになった。

私は、マリちゃんに気がつくと、身を隠すことにした。楽しそうなマリちゃんを見ていたかったから。

そのうち、マリちゃんは引っ越していって会えなくなった。

マリちゃん、傷つけてごめんね。
あなたが可愛くて仕方がなくて、私は愛してたよ。

私は人を傷つける。
その日から、人に近寄るのが、好きな人に近寄るのが怖くなった。

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