パキプス100粒実生チャレンジ vol.02
引き続きオペルクリカリア・パキプスの実生チャレンジです。前回の記事では100粒のうち60粒を撒いたのですが発芽せず、残り40粒となりました。
ババ抜きに参加すべきか
前回100粒のうち60粒を撒いたのですが全く反応無しで、ふと邪な考えがよぎります。
実際これをやっている人は多そうで、メルカリを見るといろんなタネを小分けにして出品している方がたくさんいらっしゃいます。そして包装とラベルを見るとケーレスから取り寄せたんだとよく分かりますね。
中には自分で撒いてみたところ発芽率が良く、必要な株数を確保できたから残りを出品するという良心的な方はいると思います。ただ、どの出品者も"自分が撒いてみて発芽率が○%でした"など記載していることはなく、発芽した写真がアップされていることもなく、○○年○月に到着したとか、検疫証明書のハンコの日付を見せて安心させようとしてくれています。なんの証明にもならないのに。一方、彼らは意外にも、ウソの写真をアップすることがないようで、多少なりとも良心の呵責があるのかもしれません。
という「発芽確率が低そうなタネは、こっそりオークションで売りさばいてしまえ」という塊根植物実生ババ抜きに参加すべきか非常に悩んだのですが、自分のようにワクワクしてメルカリで種を買ってみたけど1つも発芽しないや…とがっかりする人が1人でも増えないように、残り40粒は責任持って自分で撒くことにしました。前回より温室の温度管理もうまくなっているし、ひょっとして発芽するのでは!?と、やるからにはどうしても期待してしまいます。
準備
前回は削りすぎたところから白いモニュモニュが出てきてしまったので、今回はうっすら全体的に削るようにしてみました。表面にカビ菌が付いているとしたら、周りを全体的に薄くそぎ落とせばカビが生えなくなるのかなという淡い期待もあり。
たまたまマキタのマルチツールを購入したので、種をしっかり持って電動サンダー押し付けながら削っていきました。紙やすりで手動でやるより早いと思いますが、それでも40粒で2時間近くかかったかも。
全体的にタネ表面のデコボコが取れて、丸くツルッとしてきたら完了としました。無垢材の家具に目の細かいヤスリをかけたような気持ちよさがあります。
溶液はジベレリン+ベンレート水で統一です。
最初は浮いていたものもあったのですが、翌日にはいくつか沈んでいたので、あまり深く傷をつけなくても水分は浸透してそうな気がします。
播種
前回検証できなかった好光性 or 嫌光性を確かめるための覆土あり/なしの2パターン。
あと「腰水だとずっと下から水分を吸ってしまうのでカビやすくなるのでは?」というのが気になっていまして、腰水で放置するものと、表土が乾燥したら上から潅水するものの2パターンも用意してみました。
覆土あり+腰水
覆土なし+腰水
覆土あり+潅水
覆土なし+潅水
それぞれ10粒ずつで合計4パターンとなりました。覆土なしのほうは湿度維持のためにプラスチック板を上に置いています。
これを簡易温室に置いて、Swithbotの設定で30〜32℃をキープするように管理しています。温度判定タイミングのズレなどがあるようで、実際には+ー2℃くらい、28-34℃の間を行ったり来たりしているような状態でした。
経過
播種から3日目
なにやら白いものが!根が出たか!と思ったら違いました。いつもの白いモニュモニュとカビでした。
播種から13日目
引き続き少しカビが見えたらベンレート水を吹きかけていたのですが、全体的に殻の割れ目が目立ってきたように思えます。中からなにか出てこようとしているが出られないように見えます。タネが新鮮だとここからパツーンと根が出るような気がします。
覆土した方も表面に動きがないか確認をするのですがまったくなし。
播種から1ヶ月
徐々にカビも出なくなっていくのは前回と同じでした。覆土なしのほうは変化なし。覆土しているほうも動きはないのですが、中がどうなっているのかを見たくて掘り起こしてみました。思ったよりカビでおらず、持ち上げたときに周りの土がひと回り付いているくらい。
カビが土の中全体に回ったりするのか気になっていたのですが、土の中ではそれほど広がらないような印象です。カビというより、いつもの白いモニュモニュに赤玉細粒がひっついているような感触でした。
第2回戦の40粒もここで終了。用土を管理するのが面倒になったのでプラパックにキッチンペーパーを敷いて、以前の60粒と合わせて温度・湿度だけ維持して放置しておこうと思います。
というわけで淡い期待も予想通り裏切られてしまい、残り40粒も発芽ゼロという結果になりました。
まとめ
第2回戦の40粒で得られた経験は
確証はないのですが、パキプスに関しては殻を削る必要はなさそう
→中から白いモニュモニュが出てきたり、殻の割れ目がうっすら目立ってきたりするので、水分自体は殻の中に必要な分量だけ取り込まれていそう。拡大解釈かもしれませんが、他の種でも水につけすぎると中の胚珠部分が溶けてくることが多いので、もしかすると水分を与えすぎで溶けている可能性すらあります。腰水 or 潅水については、特にどちらが良いというものでもなさそう。
→どちらの鉢もカビたので、潅水だからカビにくいということもなさそうです。簡易温室の温度管理スキルが上がった
→どの棚のどこらへんに置くとだいたい何度になるとか、LEDライトを付けるとどの棚の温度が上がる、というのがわかるようになったので、これからの植物管理に役立ちそうです。今回の40粒に関しては、しっかり温度管理できたと思うので、やはり問題はタネ側にあるかと思います。
というわけで、引き続きパキプス実生のノウハウというよりは、環境や設備面でのスキルが得られた格好です。ムムム…
番外編:オークション出品のタネの見分け方
ニワカで実生を初めて3ヶ月、色々と知見を蓄えたのでメモしておきます。(失敗した実生レポートよりはこちらのほうがずっと有益かもしれない)
信頼できないオークション出品者
記載があると信用度がアップする情報
それでもウソを書けばいくらでも盛れてしまいますが、皆さん正直なのかあえて騙そうという情報は書かないようにされてるように思います。
お知り合いの自家採種されたものを分けていただくのがベストだと思いますが、私のように園芸クラスタつながりがゼロの方がオークションに手を出す際は、上記に気をつけて、あとあまり期待せずにダメ元で購入することをおすすめします。こういう詐欺めいたことに出会って、実生や園芸から離れてしまう方が少しでも減りますように。
→ 実生レベルもさらに上がったので、vol.3につづきます!