【詩】孤独ドラッグ

バスの窓から見える景色を ただ眺めていた
カラスたちが飛んでゆく 阿呆な声を響かせながら
夜になると醜い僕と目が合う 
美しい景色が遠のいていく
僕は不機嫌になって 孤独ドラッグを摂取する
気持ちよくなってくる 脳内アニメが始まる
自分が美しくなっていく
僕には鷹のような大きな羽があって
蒼穹のその先まで飛んでいく


誰も声をかけないで 目を醒させないで
支配しようとしないで 不安な僕はナイフを握る
その目で僕を見ないで 
どう思ってるのかわからないのが一番怖い
いっそのこと貶して蔑んで僕を被害者にして

人になんか興味ない 
人と遊んでいても楽しくない
人と関わらなくたって生きていける
賢いと思っていたその選択は
あまりに普遍的で愚かなだけだった
答えを探すフリをして 
ただ最初の一歩を踏み出すのが怖いだけだった



羽は小さいまま 頭だけ大きくなっていく
まるで羽がないかのように 地面すれすれに浮く
笑われないように 気づかれないように

僕は寂しがりやの君の首を絞める
「うるさい」
僕は口を噤む 二つに引き裂かれるみたいだ
弱さを見せられない僕より
君の方がずっと正しくて大人だった



僕は泣く 叫ぶ 壊す 逃げる
僕は僕のことばかり考えて
君のことなんか見向きもしなかった
ごめんなさい ごめんなさい
申し訳ない顔して僕は 
また孤独ドラッグに手を伸ばす
何度間違ってもわからない 
どんどん醜くなっていく......

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