【詩】奇色

汽車は僕を置いていく
空は黒く染まっている
僕は消しゴムで消し忘れたみたいになって
呆然として

左耳に風が吹く
右耳に岩の独り言
また汽車が来る
僕を通り過ぎていく
誰も僕に気づかない
どんどん薄くなっていく

空に心臓が浮かんでいる
、らしい
血の流れる音がする
これは僕のじゃない
ほんと、どうでもいい
汽車はもう来ないらしい
僕はなんでここに立っているんだろう
下を向く
鳥が死んでいる
僕は笑う
消える

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