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それは世界が色づく色彩のなかに

なにものとも対立しない
なにものにも逆わない

わたしたちは生を望み死を恐れる
ところがそれらは円環にある表裏
死なくして生を捉えることは決してできない

あらゆるものと対峙せず
あらゆるものに逆らわず

生だけを受け入れ
同時に死を拒もうとする
内面の自我にすらすがり
その消滅を恐れ抗おうとする

受け入れる一方で拒絶する
ちぐはぐな自我が不安に目覚めることで
偏った”生きる”の意味を表面的になぞる

・・・

それはちょうど真昼の木陰のよう
日差しが強ければ木陰の濃淡も濃くなり
夕暮れ時には薄く夜になれば消えてしまう

木陰はなくなったようにみえるけれど
陰はどこにもいっていない
木陰がなくなったと疑問に思う者もいない
それはただ全体性の中に溶けてしまうのだから

木陰の濃淡に個性を主張しようとすると
着飾って蓄え多くを所有しようとすると
それが消えてしまわないようにと不安になる
不安になることでしか陰の輪郭は保てないから

なにものとも対立しない
なにものにも逆らわない

光と陰、生と死、美と醜、わたしとあなた
それは瞬間に色づく色彩の濃淡のなかにある
その全体性をトータルに観るとき
世界は対立を超えた全体のなかにありのまま浮かびあがる

りなる



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