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(詩)恐れないひと

負けを案じ
素直に認められないとき
ひとは未来に怯え

勝つことに焦り
得たものを分かち合えないとき
ひとは過去に怯え

何も奪わず、誰も傷つけず
持てるものをすべて分け与えることができたなら

多くを受けとり、さらに多くを与え
いまここにある豊かさに目をむけられたなら

勝つこと、負けること、「生きる」ことは
いまほど辛くはなくなるだろうに

あなたとわたしの間にある階段に翻弄されるこころは
いまに生きていない恐怖からからうまれる

いまこの豊かさの中に、いまこの静けさの内に
あなたはただ生きていていい

風の中に立って
その心地を全身に浴びるとき
こころに不安がよぎろうものか

移りゆく世界にあって
はるかはるか遠くの山々を望むとき
目先の些事は意識の外へと消えてゆく

喧騒の中にあってなお
意識を限りない広がりの外に向けるとき
忙しない情景は一瞬の内に静止する

あなたとわたしの間にある階段に翻弄されるこころは
いまに生きていない恐怖からからうまれる

いまこの静けさの内に、いまこの豊かさの中に
あなたはただ生きていていい

りなる

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