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能力主義は不平等を駆逐するか - マイケル・サンデル

ついこのあいだ能力主義から距離を置くにはどうしたらいいんだろうなんて話を友人としていました。先日書いた記事もこの能力主義を軸にした成果に対する責任転嫁や、その環境での生きづらさを書いたものでした。

そんな折に、マイケル・サンデル教授が11年ぶりに新しい書籍を発売したという話を耳にしました。(って、情報が古いですか?笑)『実力も運のうち 能力主義は正義か?』まさに、ピンポイントのタイトル!

実力主義ってざっくりいえば能力やその習得のための努力に応じで対価を享受する資格がある、という考え方です。だから人にはみな平等に挑戦する機会が与えられるべきなのです。そのチャンスをものにするかしないかは本人の努力しだいです。成功者は成功するのにふさわしい能力を掴んだのです。だからこそ成功に見合う高い給料や、特権、優遇が許されるのです。これは非常にシンプルで強力な考えです。これが浸透すれば、男女の差別や、階級や人種による差別もなくなるでしょう。差別以前に、その人の能力によって正当に評価されるようになるからです。これにより社会的な不平等は一見駆逐されるかに思えます。しかし、そもそも人は生まれながらにして異なる個体をもって生まれているし、昨今の研究ではその能力の習得に必要な努力ですら遺伝的な要素である、と言われていたりもしているようです。つまり、どのような実力を保有できるかは運なのです。もし、実力そのものが遺伝などの先天的な運に左右されるものであるなら、人間の尊厳とはなんだろう?実力があるからこそその努力に報いるために優遇されて当然だという考えこそが現代社会に残る最後の差別であり不条理な不平等を正当化する偏見なのだとサンデル教授は主張します。

さすが、教授。するどい切り口です。がぜん、本が読んでみたくなりました。(注:わたしはまだ読んでいません。)そこで、本の紹介動画がないかYouTubeを徘徊していたら、岡田斗司夫さんの動画で紹介しているものが面白かったので、こちらも紹介。ちょっと長いですが、、、本の中身を熱く!そして優しく解説してくれます。



サンデル教授と言えば...

ハーバード大学の公開授業で話題になったのを覚えていますか。日本ではNHKの「ハーバード白熱教室」という番組で放送されて話題になりました。毎週白熱教室を楽しみにして見ていたのを覚えています。ハーバード大学の公式YouTubeで今でも無料公開されています。生徒から様々な道徳的意見を巧みに引き出し、大きく話題を広げに広げておきながら、最後は見事にまとめあげる授業は圧巻です。

この授業は書籍化もされ、世界各国でベストセラーになりました。がやっぱりサンデル教授のライブの授業はまた別の楽しさがあります。ちょっと古いですが、こちらの授業動画や書籍も気になった方はぜひ。


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