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数多くの既存薬が新型コロナにも有効

一般臨床医が新型コロナウイルス感染症関連で気になるニュースをpick upしております。今回は、すでにある薬を組み合わせるとコロナに有効かもしれない。という内容です。ケアネットから引用しております。

これまで、新型コロナウイルスが免疫系の過剰反応を惹起する前に、このウイルスを打ちのめすことのできる治療薬を見つけるのは難しいと考えられてきた。こうした中、米スクリプス研究所免疫・微生物学部門のThomas Rogers氏らの研究から、開発中の薬剤だけでなく、既に他の疾患の治療で使われているものを含む数多くの薬剤が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して有効である可能性が示された。この研究結果は、「Nature Communications」6月3日号に発表された。

すでに世界に存在する薬がコロナに効果があるかもしれない。なんとも嬉しいニュースですね。

 Rogers氏らは今回、新型コロナウイルスに感染させた2種類のヒト細胞株(新型コロナウイルス受容体ACE2を発現するHeLa-ACE2細胞と肺上皮細胞由来のCalu-3細胞)を用いて、1万2,000種類以上の薬剤の効果を検証した。薬剤は、米食品医薬品局(FDA)が承認済みの薬剤またはヒトにおける安全性の評価が行われたことのある薬剤のコレクションである「ReFRAMEライブラリー」に含まれるものである。2種類の新型コロナウイルス感染ヒト細胞株を個々の薬剤で処理してから24時間または48時間後に、ウイルスの複製がどの程度抑えられているのかを確認した。なかには、2種類の薬剤を組み合わせて効果を検証したケースもあった。

実際にコロナウイルスに感染したヒトの細胞に1万2000種類以上の薬をひっつけて、効果を判定しました。

 その結果、少なくとも1種類のヒト細胞株で新型コロナウイルスの複製を抑制した90種類の薬剤が同定された(HeLa-ACE2細胞で49種類、Calu-3細胞で41種類)。また、このうちの13種類については、有効性や考えられる作用機序、安全性などに基づき、COVID-19に対する経口治療薬として使用できる可能性が高いことが示された。なお、これら13種類のうちハロファントリン(halofantrine、日本国内未承認)、ネルフィナビル(日本では現在、販売中止)、シメプレビル、マニジピンの4種類は、既にFDAから承認されている。残る9種類は、現在さまざまな開発段階にある薬剤である。

マニジピン以外の薬は私は知らない!けれど、マニジピンはただの降圧薬。コロナウイルスのレセプターはACEⅡという血圧に関係するレセプターということはわかっているので、降圧薬がコロナに効く!って言われても実はかなり納得できる内容です。

 さらに、これら90種類の薬剤のうち19種類は、既にCOVID-19の治療薬として承認されている抗ウイルス薬のレムデシビルとの併用で、相加効果(薬物併用の効果が個々の薬物の効果の和になる)を示すことが明らかになった。このほか、吐き気や手術部位感染の予防効果が検証されている化合物のリボプリンと、葉酸誘導体である10-デアザアミノプテリンの2種類は、レムデシビルによる新型コロナウイルスの抑制効果を増強することも分かった。

私は実際の臨床現場(自分が働いている病院)を見ていてレムデシビルは効果がある薬だと思っています。レムデシビル単剤よりはステロイドと組み合わせると効果があるので、さらに併用で効果を示す薬があることにも納得します。

 Rogers氏は、「最も有効性の高い抗ウイルス療法の戦略の一つは、HIV感染に対する治療で行われているような“カクテル療法”で、感染と戦う複数の種類の薬剤を投与することだ」と話す。一方、研究論文の筆頭著者である同研究所のMalina Bakowski氏は、「多剤併用療法を用いる潜在的な利点は、いずれかの薬剤の投与量を減らすことで、その薬剤による副作用のリスクを低減させることができることだ」と説明している。
 同研究所のCEOであるPeter Schultz氏は、「現在COVID-19に対しては有効なワクチンがあるが、感染予防や重症化予防で高い効果を期待できる抗ウイルス薬はいまだ欠如したままだ」と指摘。その上で、「われわれの研究から、新型コロナウイルスに対しても効果のある複数の既存の経口薬を、COVID-19治療薬として転用するという道が見えてきた。今後、どの薬剤が安全で有効なのかを見極めるために、最大限の厳密さをもって研究を進めていくことが重要だ。継続的な努力こそが、患者に変化をもたらす新たな治療法を見出す近道になるからだ」と述べている。

全体をまとめると、新型コロナ対策はワクチンが唯一の解決策ではなく、治療薬も期待できるレベルまで来ているということ。そしてそれは全く新しい新薬ではなく、今まで普通に使っていた薬を組み合わせて使えるかもしれないということ。ワクチンではなく、実際にコロナにかかってからの治療薬なので、リスクをとってでも治療したい人は多いはず。私もその一人です。今回は以上になります。

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