令和5年 行政書士記述民法分析
令和5年民法45問の分析です(令和5年11月15日時点)。
令和5年民法45問の分析動画をYOUTUBEでご覧になりたい方は、
以下のURLからどうぞ。
https://youtu.be/BRxRtgCD054
問題文を簡潔にまとめると、
抵当権者Aが、焼失した建物の火災保険金に対し優先弁済権を行使するため、「どのような法的手段によって、何をしなければならないか。」
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抵当権者が優先弁済権を行使する方法は、
❶競売
❷物上代位
❸不動産収益執行
ですが、
抵当権の対象となった建物が消滅したときに使える手段は、物上代位だけですので、本問では、❷の物上代位を選ぶということになります。
条文は、(物上代位)
304条 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。
ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
➡304条は、372条で抵当権に準用
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字数を考慮することなく、解答を作成すると、次のようになります。
Aは抵当権に基づく物上代位権を行使して、 (20字)
CがBに保険金を払う前に (12字)
保険金債権を差押えなければならない。(18字)
(合計50字)
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このように丁寧に書くと、かなり字数制限をオーバーするため、何を削ればよいのかを検討したいと思います。
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「どのような法的手段」の問いかけについては、
問に答えるためのキーワードを入れたいので、
「Aは抵当権に基づく物上代位権を行使して」と太字は書きたい。
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次に、Aが「何をしなければならない」の問いかけは、
CがBに保険金を払う前に (12字)
保険金債権を差押えなければならない。(20字)
というふうに、できれば条文のあてはめができていることを丁寧に表現したいので、太字部分は書きたい。
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しかし、
50字となって、かなりの字数オーバー。5字以上文字を削る必要があるが、削減しても「どのような法的手段」「何をしなければならない」に答えたと言える内容にする必要。
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「キーワード」と「条文のあてはめ」は削りたくないが、文末「なければならない」だけ調整する方法もある!
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「保険金債権を差し押さえる」なら、6文字削減できるが・・・
ここで少しだけひっかかるのは、平成29年の過去問。
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平成29年、「請求に応じなければならないかについて、~記述しなさい」
試験センターの正解例は、「請求に応じなければならない」となっていたことから、令和5年度も「何をしなければならないか」と問われているので、理想は「しなければならない」と書きたいところ。ただ、行政法の記述では、問いかけの文末と一致しない正解例が公表されているし、文末の結びはキーワードが含まれていないのであれば、条文の意味している内容が通じれば、あまりこだわる必要はないと個人的には思うので、やはりキーワードと条文のあてはめを盛り込むことを重視すべきなのかなと思います。
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そこで、
Aは抵当権に基づく物上代位権を行使して、 (20字)
CがBに保険金を払う前に(12字)
保険金債権を差し押さえる。(13字)
(45字) Aパターン ☚私は、この答えを書きます。
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問いかけの文末と解答の文末の一致にこだわりたい人は、
文脈や問いかけから、カットしても伝わる言葉はカットして、
例えば、Bパターンとして、
抵当権に基づく物上代位権を行使して、(18字)➡「Aは」カット
CがBに払う前に(8字) ➡「保険金を」カット
保険金債権を差押えなければならない。(18字)
(44字)
と書くのもありかもしれませんが・・・。
解答すべき知識がわかっても、字数制限に悩むパターンでした。
試験委員だって、字数制限に悩んだはずですが、試験センターは、はたしてどんな正解例を公表してくるのでしょうか。
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