見出し画像

憲法14回 受益権・参政権

オリジナル基本問題1と2は、憲法14回のYOUTUBE配信済みの内容です。
また、記述抜き180点目標の方向けの課題と解説は、一番下に掲載します。

問1 受益権に関わる次の記述について、空欄に適切な語句を入れなさい。
 日本国憲法16条請の請願権は、国や地方公共団体の機関に、その職務権限内の行為について要望を述べることができる権利である。請願を受けた国や地方公共団体の機関に対し、請願を(        )義務を課すが、請願どおりの内容を実現する義務までは課さないと解釈されている。
 日本国憲法17条の国家賠償請求権は、(   )の不法行為に対して、損害賠償を請求する権利であり、(   )法により具体化されている。国家賠償法は、外国人については、(    )がある場合に限り、損害賠償請求を認めている。
 日本国憲法40条の刑事補償請求権は、(  )又は(  )された後、(  )の裁判を受けたときは、国に(  )を求めることができる。同権利は、(   )法で具体化され、捜査機関の行為が違法であったり、故意・過失があるかは問わず、請求ができる
 日本国憲法32条の裁判を受ける権利の保障は、(  )事件と(  )事件については、裁判所に救済を求める権利が保障されることを意味し、裁判所は裁判の拒絶は許されないことになるが、(  )事件については、裁判所の裁判によらなければ(  )を科されないことが保障されており、(  )権の一種と評価することができる。


問1の答え  空欄補充後の文章 と 補足解説
 日本国憲法16条請の請願権は、国や地方公共団体の機関に、その職務権限内の行為について要望を述べることができる権利である。請願を受けた国や地方公共団体の機関に対し、請願を受理し誠実に処理する義務を課すが、請願どおりの内容を実現する義務までは課さないと解釈されている。
 日本国憲法17条の国家賠償請求権は、公務員の不法行為に対して、損害賠償を請求する権利であり、国家賠償法により具体化されている。国家賠償法は、外国人については、相互保証がある場合に限り、損害賠償請求を認めている。
 日本国憲法40条の刑事補償請求権は、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、国に補償を求めることができる。同権利は、刑事補償法で具体化され、捜査機関の行為が違法であったり、故意・過失があるかは問わず、請求ができる
 日本国憲法32条の裁判を受ける権利の保障は、民事事件と行政事件については、裁判所に救済を求める権利が保障されることを意味し、裁判所は裁判の拒絶は許されないことになるが、刑事事件については、裁判所の裁判によらなければ刑罰を科されないことが保障されており、自由権の一種と評価することができる。
(参考文献 「憲法」芦部信喜、「憲法Ⅰ」有斐閣野中ほか、「立憲主義と日本国憲法」高橋和之)
(補足解説)
➀国家賠償請求権で出てくる相互保証とは?
 ある外国人の属する国(例えば韓国)で、日本人が被害を受けたときに、その外国(例えば韓国)で国家賠償請求による救済を日本人に認めるなら、日本でもその外国人(例えば韓国人)に国家賠償による救済を認める。

➁なぜ刑事「補償」という用語を使い、「賠償」ではないのか?
 日本国憲法40条の刑事補償請求権は、刑事補償法で具体化され、捜査機関の行為が違法であったり故意・過失があるかは問わず請求ができ、この点が憲法17条の国家賠償請求権との違いとなるので、賠償ではなく、補償という用語を使っている。


問2 参政権に関わる次のアからオの記述のうち、明らかに誤っているものはどれか。
ア 参政権には、国民投票権も含まれる。
イ 日本国憲法は、国民が国会議員を罷免する明文の手続き規定を置いてい
  ない。
ウ 判例は、立候補の自由について、直接の規定はないが日本国憲法15条
  1項によって保障されると解釈している。
エ 日本国憲法上、普通選挙が明文で保障されている。
オ 日本国憲法上、誰に投票したかを秘密にすることは保障されていない。




問2の解答
明らかに誤っているのは、肢オ
ア 参政権には、国民投票権も含まれる(「憲法Ⅰ」
  有斐閣 野中ほか)。また、「憲法」芦部信喜によれば、
  国民投票権は広義の参政権に含めて考えることができると説明されて
  おり、明らかに誤っているとは言えない。
イ 日本国憲法は、国民が国会議員を直接罷免する規定を置いていない
 (憲法Ⅰ有斐閣野中ほか)。なお、憲法15条1項において,
 「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利であ
  る。」と定めているが、国会議員の罷免についての明文の手続き規定は
  ない。
ウ 判例は、立候補の自由について、直接の規定はないが日本国憲法15条
  1項によって保障されると解釈している
 (三井美唄炭鉱事件最判昭43・12・4)。
エ 日本国憲法15条3項で、普通選挙が明文で保障されている。
オ 日本国憲法15条4項で、誰に投票したかを秘密にすることは保障され
  ているため、問題文の肢オが明らかに誤っている。


【記述抜き180点目標の方向けの課題】 憲法14回 受益権と参政権
 違憲の判断が出た2つの重要判例について、以下に掲載の1⃣から3⃣ないし4⃣の情報を整理しておこう。
第1 郵便法違憲判決(最判平14・9・11)
 1⃣事案 2⃣憲法上の争点 3⃣憲法判断の結論と理由
第2 在外日本人選挙権剥奪事件(最判平17・9・14)
 1⃣事案 2⃣憲法上の争点 3⃣憲法判断の結論と理由 
 4⃣立法不作為について国家賠償請求が認められる場合
 各自の判例解説や判例検索などで調べておいていただくか、以下の私の記事をご活用ください。


【記述抜き180点目標の方向けの課題と解説】 憲法14回 受益権と参政権
第1 郵便法違憲判決(最判平14・9・11)】
 違憲判決であるにもかかわらず、行政書士受験向けの市販テキストでは判例の情報を大幅にカットしているケースが多く、テキストを読んでも「事案」も「争点」もわからず、理解の伴わない、つらい丸暗記になってしまいがちなので、ある程度の分量でもしっかり事案を読むことをお勧めします。
以下、1⃣事案 から説明します。(以下、有料記事)

ここから先は

15,753字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

サポートしていただきまことにありがとうございます。頂戴したサポートは、記事の執筆活動の費用にあてさせていただきます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。