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新世界で現地集合する星のカービィWiiデラックス

あらすじ

約半年前から待ち続けていた「星のカービィWii デラックス」の発売日の2月24日(金)、それがちょうど家族旅行中であることに気付いたのは、発売日あるいは出立日の、数日前だった。
なんで?


旅行と帰郷

2011年10月27日発売のWii専用ソフト『星のカービィ Wii』を星のカービィ最高傑作として挙げる人は少なくない。私もそのうちの1人だ。
いや、何をもって最高傑作とするかはそれぞれの基準によるものだから「最高傑作」と呼ぶのは少し違う気がする。
けれど、わりと毎年このゲームの発売日に、このSwitch全盛期にわざわざWiiUを引っ張り出して一周するぐらいには果てしなく好きな作品なので、「最も心に残っている作品」と呼ぶには相応しいものだろう。

毎年起動して何をしているんだと言うと、それはもう「旅行」に他ならない。
美しい背景と、生音とポップな電子音源が絶妙な塩梅で混ざりあった最高のサウンド、体に染み付いた攻略ルート……。
その全てが私にとっては心のふるさとで、起動すること自体がもはや聖地巡礼に等しい行為になってしまっている。
Switchに来てしまった暁にはなんかもう毎日やりかねない気がして、望んでいた割には逆に恐ろしかった。懸念は時すでに遅く、手元にはもうWiiデラがあるのでさあ大変。

そもそもWiiUでのプレイ環境を維持していながらSwitchへの移植を熱烈に望んでいたのだって、本当はHD化によって美麗になった背景を見たかった、それだけだった。
蓋を開けてみれば演出やらボイスやらあれやらこれやら風雲城(*1)やら、全てが現代の技術、現代の解釈でのアップデート(発売前に判明している演出やスペシャルページの存在からして、小説版発刊にあたり生まれた設定を全部組み込んである感じがする…)がなされていて、もうほんとうに凄い。
ほぼ新作だよもう。ほぼ新作になるのはカービィのリメイクにはつきものだって? それはそうかもしれないがリアルタイムで浴びるのは初めてなんですよこちとら!

これは紹介映像だが、当時のCMでは紹介映像で最後に使われている「グリーングリーンズ」がBGMになっていた。(ゲームではローア船内・コピーおためし部屋で聞けます)
それが今、WiiデラのCMでは、

こうなっている。
生音寄りのマーチングでデラックスなグリーングリーンズがお茶の間に響き渡って、流れるたびに二度見してはちょっとドキドキしてた。
知らない過去にタイムスリップした気分で、未だに目を疑う。ゲーム本体も手元に収めるまで現実だと信じられなかったし……体験版遊んでも信じられなかった。
これもまた判断が遅い。観念しな。


トモダチ、あるいは

先程も述べたが、星のカービィWiiを星のカービィ最高傑作として挙げる人は少なくない。上記のデータからは、少なくとも今ネットの海に飛び込んでいる世代からのカーWiiの支持は熱いのだ、ということが分かるだろう。

そう。カーWiiが絶賛されているのは、絶賛する声が馬鹿でかくなるほどにこの作品を遊んだ人が多い、ということなんじゃないかとも思っている。
特に「4人プレイ」の存在は当時それだけで魅力的だったのではなかろうか。このゲームを購入した理由を、我が家に仕入れた張本人たる親に聞いたら「4人プレイ対応だったからじゃないか」と答えられた。マリオ(*2)と同じような感覚で買ったんじゃない、と。
家族と、友達と遊んだ、実販売本数には出てこない「思い出を抱いた人」の数を、想像しては胸を打つ。

カーWiiには、Switchカービィとしては先輩の「スターアライズ」にはない特徴がある。それはとにかく、不平等があることだ。
スターアライズの不平等は「1人のカービィ以外全員ヘルパー」ぐらいなもので(それもドリームフレンズの登場で特別性は平等になっていった感覚はある)4キャラで「せーの」で協力するアクションが肝だった。

Wiiは違う。スーパー能力を手にできるプレイヤーは常に1人だけ。エナジースフィア・パーツスフィアを取得した時に、どアップになるのも1人だけ。
そしてそういった不平等がありながら、全員がカービィを選べたり、誰でもスフィアを取れることから、1P(ピンクカービィ)以外を操作しているプレイヤーにも活躍のチャンスは、選択次第では平等に回ってくる
これが本当に、楽しいのだ。協力してステージを進めながらも、パーティゲームっぽい少しの競争が含まれたこのバランスが、みんなで遊ぶのにちょうどよかった。

そして逆に言うと、全員がそういった活躍を積極的に望まなくてもよい、事にもなる。
あくまで子供優先、自分のキャラの活躍にこだわりがない親御さんのような方々は、子供が使うカービィのサポートに専念できるのもまた、良い。

スーパー能力をステージごとに譲り合った記憶がある  (人によっては奪い合ったと思う)。
エナジースフィアを我先にと取り合った記憶がある  (人によっては譲り合ったと思う)。
そんなドタバタを起こしつつだからこそ、ボス戦に大興奮したとか、勝てなくて泣いたとか、協力したら勝てたとか、そういう一緒に頑張った思い出がひときわ印象深いものになるんだと思う。

いやさ、だからさ、正直このCM泣くんだ。
干支一周分の年月を経て、干支ひとまわり下の世代がまたカーWiiでドタバタやるんだと思うと、ちょっと感動と、老いたな……という気持ちが同時に押し寄せてくる。

リメイクが出て、また話題になって、遊ぶかあときょうだいではなしあったりして、そのたびに思う。
このゲームは私にとって人生であり、故郷であり……あるいはトモダチ、あるいは家族で、つまるところ一生かけて付き合う全部なんだと思っている。


現地集合するWiiデラックス

さて、旅行と発売が被ることに気付いた私は、熟慮の末に元々あった購入予約をキャンセルした。そして買ったばかりの自分用Switch liteとコントローラーを充電し、駅チカの家電量販店があったら寄りたいと予め身内に申告した。旅の後に買うという選択肢が、もうなんか初めから脳内に存在していなかった。なんでやねん。

この時点で首を傾げた方もいるかもしれない。ダウンロード版を買っておいて、あらかじめダウンロードしておけば余計な手間が省けるだろうと。
回答するとその選択肢も、初めから無かった。
他のゲームであればそうやって、色々手続きやらテザリングやらの準備(*3)をすれば良いのだろう。だが今回に限っては、絶対にパッケージ版を購入したかった。
元々カセット派というのもあるし……ダウンロード版では、Wii版のカーWiiのパッケージと並べる事も、出来ないからだ。

ここまで準備してなお、別に買えなくても良いかな、とは思っていた。
帰宅の翌日は仕事を入れていないし、その日の早朝に爆速でメインモードを一周して、新モードにして遂にヴェールを脱いだ(*4)アナザーエピソード「マホロアエピローグ」をその日中に遊べればいいや……などと思っていたのだ。

でもなあ……買えちゃったんだよなあ……。

売り場はカービィ特集が組まれていて、3Dのスタアラ、2D多人数プレイ新作のWiiデラという感じで紹介されていて、ああ、いいなあともう感動だった。
ディスカバが売れ、スタアラの発売はハルカ遠くというこのタイミングで、もう一度多人数プレイを押し出す……それで白羽の矢が立ったのが、Wiiだったのが、もう嬉しすぎる。ありがとう。

手に取ってもまだ現実味が無かった。ありがとう…

マホロアランド行きのワープスター乗り場(??)

そう、タイトルの“新世界”とは、決して新世界の大冒険こと「星のカービィ ディスカバリー」先輩がおわしますSwitchのことでは無い。初上陸の関西、すなわち新世界だ。このあとUSJに直行したせいで新世界は寄れていないけどな。タイトル詐欺である。

いざ買うと決めたあと手荷物の多さとかそもそも買うだけで触れないんじゃないかとか色々後悔しかけたが、そこそこスキマ時間に遊んでは感動してたので結果オーライだった。
ぬい撮りにあらず言うなれば「パケ撮り」してる変人が誕生していた。ゲームのパッケージ、ぬいぐるみよりは薄くてオススメです。アクスタでいいじゃんは禁句です。


目覚めの一服(実際効いた)
コースターにご乗車の際はカチューシャ、マフラー、スマートフォン、その他パッケージ等の貴重品をしまいましょう
ムシャア

いや本当に楽しかった。スーパーニンテンドーワールドに、マホロアランドが建設されたらまた来たいな(あるのか?)

一時はどうなる事かと思ったが、終わって見ればいい思い出になったどころか……家族旅行をカービィWiiと共に巡ったことに、なんだか運命を感じてしまう
重すぎる感情かもしれないが、そういう「故郷」的なゲームは人生に1本ぐらいあるといいと思っていて、私の場合はそれで、それが偶然、家族との思い出とも結びついているだけだ。
それが奇跡で幸運である事を私はもう知っているし、こうしてn年越しにまた「一緒に故郷で遊ぶ」ことが叶った事が、奇跡である事もわかっている。

そして。
そんな奇跡を叶えてくれたHAL研にも、HAL研が12年前このゲームを奇跡的に世に出せた事にも、それがカービィにとってのマスターピースとなっていて、私たちが偶然それに出逢っていたことにも。
今、全部に感謝している


勿論このゲームは、1人で遊んでもめちゃくちゃに楽しいゲームだ。発売からも旅行先からの帰還からも数日経って、Wiiデラの世界を駆けずり回ってほぼ全クリしたので、これからはひとりでデラックスな世界を改めて堪能したいと思う。クリア後の感想についてもここのnoteに書くかもしれないが、それはまた別のお話にしよう。

(*1)タイトル画面にしゃしゃりでて話題になったマホロアランドのこと。ファンからの登場当時の呼び名が風雲城マホロア、5GBの城などであった。参考:( https://togetter.com/li/2003494 )
(*2)「New スーパーマリオブラザーズ Wii」のこと これも念願かなっての4人プレイ実現だったらしい。他の4人プレイ可能なゲームだと、「Wii Sports Resort」とか思い出深いです なのでSwitch Sportsもちょっときになる。
(*3) 持っていくSwitch liteで使っているアカウントは家族用のSwitchに元々作ってあるアカウントの流用、つまり子機。その場合DL版を遊ぶには、インターネット接続による認証が無くても遊べる設定が必要。
(*4) もともと「マホロアはWiiの事件後、異空間ロードを通ってひょっこり戻ってきた」という発言が今はもうなき任天堂のチャットサービスでなされていた。実にn年ぶりのネタ回収にオタクは咽び泣いた


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