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気圧と味覚

味の基本となるのが甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つで、これを「基本五味」と言います。それに伴い渋味、辛味を加えたものを「基本味」といいます。そしてこれらにコク、キレ、香り、色彩、硬度、形状を含めたものを「風味」といいます。
これらは環境によって左右されるものなのでしょうか?

食べ物を口に入れると、まず口腔内の味蕾(みらい)細胞が味の刺激を受容します。そして、鼻による嗅覚で香りを、口の粘膜による触覚で食感や温度を受容します。もちろん目による視覚で形や色合い、盛り付けなどを感じます。それらを統合したものが「食味」となります。
環境が変わることで味も変わるのであれば、「美味しい食空間」を演出するのもフードコーディネータの仕事と言えます。

素材の形、食器一つでも味覚は変わる

ドイツのFraunhofer研究所によると、気圧の変化により味覚並びに嗅覚も変化するという報告があります。具体的には地上気圧を1.0とすると、1万メートル上空を飛ぶ飛行機の内気圧は0.8になります。気圧変化により、塩味が20~30%、甘味が15~20%低下すると言われています。
つまり、機内食の調理は、飛行機の気圧に合わせた味覚を意識して作る必要があります。

こういう実験もあります。気圧を0.8にした場合、目隠しして「りんご」と「じゃがいも」を食べてもらったところ、どちらがどっちか区別がつかなかったそうです。
甘みと塩味との閾値が曖昧になり食感からは判断ができない状態になります。
しかし面白いことに旨味(グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸)は気圧の影響を受けなかったそうです。グルタミン酸といえばトマトや昆布です。トマトを多用するイタリアンですが、揺れを想定した機内食ではトマトソースは避けたほうがいいかもしれません。そう考えると、昆布だしを用いる日本食は意外にも機内食に向いているようですね。

まとめ

和食は機内食に向いている

参考
The real reason why airline food always tastes so bad

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