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#未来の図書館3 子どもの声は未来の声

前回は、まちづくりの中で図書館が人と人とをつなぐ場所になることを書きました。今回のテーマは子どもです。

大人なんて大きな子どもだ

とあるCMできいたことば。子どもの頃は周りなんて気にしないで、好きなように、やりたいように自分自身を表現しています。でも大きくなると、周りの目を気にしたり、仕方ないかと気持ちを抑えたり、自分をとりつくろったり…僕もなかなか素直に表現するのに日々試行錯誤しています。

逆に言うと、何がしたいの?どんな気持ちなの?っていうのが一番わかりやすいのが子ども。そんな子どもが絵本に惹かれる理由ってなんなのか、今回は考えていきます。

絵本は正解のない芸術

先日近所の食堂で注文を待つ間ふと横をみると、いわむらかずお著『14ひきのこもりうた』が。絵本なんて久しぶり、と思いつつ読んでみました。

野ねずみの家族が小さい竹を組んだ家に暮らし、とってきた小枝でお風呂を沸かしたり、家族みんなで語らいながらご飯を食べる。寝る前には子どもたちに囲まれてお母さんが読み聞かせをします。

この絵本を読んで僕は「持続可能な地域ってこれだ!」「みんなをゆるやかにつなぐ空間を図書館でつくりたい!」と思いました。…え、いわむらさんはそんなこと想定してこの本書いてないって?

そうです。本、とくに絵本は読むというより感じるもの。物語もそうだし、何より絵から入ってくるイメージの迫力がすごい。

子どものころに絵本にふれると、そこから知識を求めていろんな世界に飛び出す下地ができるのかもしれません。「これを感じろ!」という答えがないだけに、いろんな感想をもっていいし、子どもそれぞれの見かたも全く違うと思います。

すべての原点は絵本だった

小さいころ、寝る前に祖母に毎日絵本を読んでもらっていました。家族と一緒にいる安心感や新しい世界にふれる楽しみ。毎晩その時間が来るのが待ち遠しかったことを思い起こします。

そこから一人で絵本を引っ張り出して読むようにもなりました。出会ったのは安野光雅さんの『旅の絵本』。ほんとに絵をみる本で、文字はありません。ボートでやってきた旅人が山から街をとおり、村を抜けて地平線に向かってすすんでいくところで物語は終わっています。

感じたのは「山って面白そう」「機関車が走ってる」「一人で知らない世界を旅してみたい」。そこからワンダーフォーゲルをはじめ、鉄道ファンからローカル線の活性化、さらに町おこしに興味が移っていくから分からないものです。今大切にしている人と人とのつながりも、この本が原点なんだな、と考えています。

ちょっとひねくれた見方かもしれないけれど、今の自分は絵本からできているんだな。「僕らは奇跡でできている」というドラマがありましたが、本との出会いでここまで世界が広がるのはなかなかの奇跡です。

子どもの声は未来の声

前回紹介した「みんなの森ぎふメディアコスモス」の吉成館長の言葉です。これからの社会を作っていくのは子どもたち。固定観念にとらわれないいろんな考え方がよしとされる時代がやってきたからこそ、さまざまな本にふれて、いろんな気持ちを感じて、自分の色をつくっていく過程はとても大切です。

図書館でも週末に読み聞かせをやっています。大人でも十分感じ取れるものは大きいし、子どもならなおさらです。とはいえ小さいころに読み聞かせをしてもらっても、小学校、中学校と成長するにつれて本離れが進んでしまうことも。学校に入ってからも趣味や楽しみの一つに読書を選んでもらう工夫は必要ですね。

次回は図書館と地域のトランジションをテーマに書いてみたいと思います。

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