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#未来の図書館2 まちのためにできること

前回は人口を増やす要素が子育て支援や福祉などの「ハード面」から、地域にある資源や人材といった「ソフト面」に移っていく可能性を書きました。
今回は、そんな地域づくりに図書館が果たす役割をさぐっていきます。

まちづくりといえば?

さて、「まちづくり」ときいて皆さんが思い浮かべるものって何でしょう?行政やデベロッパー、自治会などが挙がると思います。ではそんな皆さんに質問です。普段市役所にどのくらい行きますか?

・・・僕も仕事でなければ2年に1回行くか行かないかです。市役所って生活のハード面を支える仕事をしているけれど、意外と身近でないんですね。婚姻届けを出したり、引っ越しの手続きをしたり、困りごとの相談に行く。だいたいそんな方が市役所にはやってきます。

では、図書館はどうでしょう?普段どのくらい行きますか?

僕は先月3回足を運びました。単純計算で市役所の72倍ですね。市民会館や国際交流センターでも何かしら用事がないと行かないのに、自治体の施設のなかで特に用がなくても誰でも気軽に行ける場所。「住民に最も身近な場所」それが図書館なのです。

図書館って何するところ?

(みんなの森ぎふメディアコスモス)

では、次の質問です。図書館って何するところでしょう??

おじいちゃんが新聞を読みにくる、子ども連れが読み聞かせを聞きにくる、学生が自習したり、書店でいいなと思った本を無料で借りに来るところ…自分の体験も踏まえると、こんなとこでしょうか。

そのイメージから一歩踏み出したのが、岐阜市立図書館「みんなの森ぎふメディアコスモス」です。

昨年訪問したとき、吉成信夫館長が語ってくださったのが、「楽しさを媒介に、新たな顧客をつくる」こと。

メディアコスモスでは、伝統芸能の文楽などを題材に、地元のまちづくりNPOと協力したトークセッション・大人の夜学を開いています。岐阜の文化って?どんな人が活躍してて、どんな面白さを生み出してるんだろう?対話を通じてそれを知ることができるイベントです。

館内には市民活動センターやカフェも併設されており、図書館エリアでは広くとられたスペースで親子がのびのびくつろぐこともできます。

一般的な図書館のイメージから一歩踏み出して、地域の文化を発信する。それは過去の歴史でもいいし、今取り組んでいる話題でもかまいません。盆踊り効果という言葉があるように、「これって面白いよね」と一人が周りに語りだすと、自然と共鳴する人が集まってくる。もともと人が集いやすい図書館だからこそ、客層は無限に開拓できるのです。

図書館でまちの面白さを見つけよう

(前回紹介したあわくら温泉元湯のラウンジ。林業、本、オーガニック、美容…いろんな要素が共存している)

まちにはいろんな人がいます。僕自身もこの1か月の間、農村でゲストハウスをしている方、身近な花を衣食住に活用して地域おこしをしている方、テレビ局のADから美容師に転身された方、無農薬の野菜を仕入れて町角で八百屋を営んでいる方と、図らずも交流することができました。

それぞれの人に、それぞれの色があります。共通していえるのは、考え方が自由なこと。型にとらわれず、「そんな発想があったんだ!」とびっくりするほど。学べることも多いから面白いです。

そうした面白い人と人とが相互乗り入れする拠点の一つがゲストハウスや市民活動センターですが、お金を払わずまちづくりを意識しなくても集まれる場所は?そう、図書館です。

美容師をしたり、オーガニックの野菜を売る人は、自分のやりたいことをしながらその面白さを自然と発信しています。町をよくしたい!とか考えていなくても、町を元気にする一人になっていますよね。

そんな人がいるんだよ、ということをなかなか一歩が踏み出せない人にも知ってもらい、「ちょっと何かやってみようかな」という動機づけを与える。
面白い人が増えると、自然とまちそのものの魅力も高まっていきます。

・まちで働く人をゲストに迎え、環境や美容、健康をテーマに読書会をする
・司書がファシリテーターになって、ゲスト・参加者と一緒に本を読みながら語り合う
こんなイベントも面白いかもしれません。

書を捨てよ、まちへ出よう。

寺山修司の言葉です。いい意味で「書」のイメージから脱却し、まちの面白さやそこで活躍する人にスポットをあてる。本や資料を活用して一歩を踏み出そうとしている人と面白い人とをつなげ、ひらめきを与えて次のアクションにつなげる。上記の言葉をこう言いかえて、今回は締めくくります。

書を携えて、まちへ出よう。

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