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#未来の図書館6 図書館は「岡山駅」

前回は学生時代の思い出や図書館の歴史をたどりながら居心地について考えてきました。

今回は僕の趣味である鉄道とからめて、図書館空間を表現していきます。

日本一乗り換え路線の多い駅

岡山駅。実は新幹線の駅のうちJRの路線だけでみると、接続している路線が日本一多いって知ってましたか?

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・山陽新幹線(新神戸・広島方面)
・山陽本線(和気・笠岡・福山方面)
・赤穂線(長船・日生・播州赤穂方面)
・宇野線(茶屋町・宇野方面)
・瀬戸大橋線(児島・坂出・四国方面)
・津山線(福渡・津山方面)
・吉備線〈桃太郎線〉(備中高松・総社方面)
・伯備線(新見・米子・出雲市方面)
このほか、路面電車の岡山電気軌道(清輝橋線・東山本線)が南側に発着します。

ごらんのとおり、いろんな路線が出入りしてるので車内放送も乗り換え案内を合わせると5分を超えてしまいます。高松に行きたいのに間違えて吉備線で備中高松に行ったり、伯備線で備中高梁に行く人もいるそうで(笑)

それだけではありません。各路線からきた電車(列車)の半数は岡山を通り越していろんな路線に乗り入れています。たとえばこんな感じ。

・赤穂線(播州赤穂)▶伯備線(新見)
・吉備線(総社)▶津山線(法界院)
・山陽線(和気)▶宇野線(宇野)

寝過ごしたらどこに連れてかれるか分かりません。

いろんな分野の情報を相互乗り入れさせるターミナル

さて、図書館の話に戻りましょう。皆さんは「日本十進分類法」って知ってますか?

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(https://ururico.com/2019/04/20/ndc/より)

はい、図書館の本の並び順ですね。0類の総記から9類の文学まで、図書館では10の分類で本を排架しています。ちなみに総記は定義すると「1類から9類の箱に入らない本」。けっこう大雑把です。

皆さんも「あのへん狙って読みに行こうか」という感じで番号を目印に本を探すと思います。僕も人生訓、歴史、鉄道、地理など足を運ぶ分野がかなり偏ってました。

あるとき、たまには行ってない棚もみてみようかな~と入ってみたのが分類番号470の植物学の棚。花の本、草木の本が並ぶなかで手に取ったのが『雑草キャラクター図鑑』でした。

雑草を擬人化するとなかなか面白いもので、コニシキソウはひたすら地面をはいつくばって踏まれずに光を集めるからマイペースキャラ、ヒメジョオンは全国に線路が敷設されるとともに広がったので鉄道好き女子、ヒルガオは耕して根っこがちぎれると増殖してさらに増えるからゾンビなど、いろんな生き方があるんだな~、と感心します。

僕自身、生き方や人生について考えるときは、

・140心理学―人生訓
・230ヨーロッパ史―ローマ史
・280伝記
・290地理・地誌・紀行
・310社会科学―政治
・470植物学
・910日本文学

などなど、いろんな棚をあさります。最近はここに絵本が加わりましたが、1つのテーマでもいろんな角度から本をみると、お堅い心理読み物では得られない世界に出会うことができます。偶然の出会い、”encounter”ですね。

こんな感じで図書館には、岡山駅と同じく、大きく分けて10の知識が乗り入れています。その分類をうまく相互乗り入れさせることで、新たな発見に出会うこともできるんです。

生き方だけじゃなく、健康・出会い・農業・暮らしなどをテーマにみんなで本を持ち寄って読書会をやると、それぞれの好きな路線を通ってきた本が乗り入れる面白さを味わえます。そこから新しい化学反応が起こるかもしれませんね。

レファレンスカウンターは「みどりの窓口」

そんな図書館にはレファレンスカウンターというものがあります。ちょっと奥まった3階あたりに司書さんが座ってる場所です。

あの光景をみて「暇でいいな~」とイメージされがちなところもありますが(実際はそうでもないようです)、あそこに行くと読みたい本のありかや調べ方の道しるべを教えてもらえます。

駅にあるみどりの窓口に行って、

「神戸から出雲市まで行きたいんですけど、どのルートがいいですかね?」
「スーパーはくとで鳥取に出て山陰線で行くルートと、新幹線で岡山から伯備線経由で行くルートがありますよ」

と案内してもらうようなものです。マニアなら津山線、姫新線、芸備線、木次線などほかにも(使いやすいかは別として)いろんな選択肢が浮かびますね。

みどりの窓口と一緒で、司書さんも「こう調べなさい!」と指示するのではなく、こんな調べ方、あんな調べ方があるよ、という感じで教えてくれます。時には調査の代行もやってもらえます。(レポートをまとめる前提になる情報のありかの検索など。1~2週間以上かかる場合もあります。)

大まかな行き先はわかるけど、どの路線(本)にあたればいいかわからない場合は、遠慮せずにレファレンスカウンターに行ってみてください。思いがけない手がかりが見つかるかもしれません。

今回は岡山駅の乗り換え案内と同じく、少し長めの記事になってしまいました。次回はマイクロライブラリーを紹介します。

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