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サイズミック・エモーション

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日向みつきは18歳の予備校生。大きなお節介と小さな迷惑、そして世界規模の陰謀を抱えて、彼女は今夜も東京の空を飛ぶ!
本作は2003年に企画・発案、2004年に小説誌で発表、2006年にノベルスとして商業出版されたも…
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#超能力

みんなが、幸せでありますように。

 震度7を超える大地震と大規模火災により、2万を超える人命を奪っていった《首都圏大震災》。それから丸2年が経ち、東京は世界に誇る最先端のメトロポリスへと生まれ変わりつつあった。  落ち着きを取り戻した郊外で暮らす18歳の日向みつきは、一浪中の予備校生。5歳年上で親友の昭月綾や、中学生で妹分の大地瑤子らと共に、都市に潜む数々の事件をひそかに解決(?)していた。  そんな彼女らと、左遷されて退職することばかり考えていたキャリア官僚・久瀬隆平が出会ったとき、運命の歯車が大きく回り

かくて救世への道を往く(4)

迷える子羊、考える  大騒ぎになり始めたコーヒーショップを後にした四人は、立ち並ぶビルの屋上や住宅群の屋根を誰にも気付かれることなく飛び渡っていく。絶妙のバランス感覚と凄まじい跳躍力を持つ瑤子は基本的に身一つで、綾と久瀬はみつきの手を借りて。  その最中、綾は昨夜の事件について一通り久瀬に説明しつつ補足をする形で、 「超能力研究の歴史は、二十世紀初頭、二度にわたる世界大戦の頃に始まったの」  超能力に関する裏の歴史を語り始めた。  しばらくは荒事が続くと予想できるし、一