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サンセバスチャン2023年4月ー(4)三つ星レストラン一挙公開!

スペインにはミシュランの三ツ星レストランが11あるのですが、その中の3つが、何とサンセバスチャンにあるのです。そんなわけで、今回は三ツ星レストラン巡りをしてみましょう。

その3つのレストランとは、「アルサック」、「アケラレ」、そして「ベラサテギ」です。前者の2軒は、2016年に行き、最後の一軒「ベラサテギ」は今年行きました。本邦初(かどうか知りませんが)三ツ星レストラン、一挙公開です。

サンセバスチャンのレストランは予約しようと思うと一番早い時間でもランチは13時から、ディナーは20時からになります。ディナーだと食べ終わるのが11時近くになるので、いつもランチで予約することにしています。

どこのレストランもそうですが、テイスティングコースで頼むと12〜16皿くらい出てきて、超お腹いっぱいになります。それらの写真はとても全部は載せられませんので、特徴的な何皿かを紹介します。

1.アルサック

まずはアルサックです。このレストランは1897年創業ですから120年以上の老舗です。
現在のオーナーは4代目、エレナ・アルサックさんという女性です。

彼女のお父さんのホワン・マリ・アルサック氏が1975年にフランスでポール・ボキューズらが起こした「ヌーベル・キュイジーヌ」に影響を受け、バスクの食材を使ってユニークな料理の数々を考えだしました。サンセバスチャンの街のはずれにあります。

お店の入り口です。

このレストランは大塚家具とは違って父娘の関係はとても良好なようです(笑)

我々が行った時、オーナーシェフのエレナさんが挨拶にテーブルまで来てくれました。着物を着て行ったのが大変喜ばれ、「キモノは日本の礼装。それを来て我々の店に来てくれるのは私達の店に対するリスペクトを感じる」ということで、ワインも一杯サービスしてくれました(さすがに一本はなかったですが(笑))

エレナさんと一緒に記念写真

ということで、お料理ですが、内容もさることながら、器や盛り付けが、かなりユニークです。
最初に出てきたピンチョスは潰した缶ビールの上に飾り付けています。これにはちょっと度肝を抜かれました。

とてもユニークなピンチョス

日本の出汁を使ったお料理もあり、メニューにも“dashi”と書いてありました。

ビスケー湾(多分)のサバ

店名:ARZAK
住所:Alcalde J. Elosegi Hiribidea, 273, 20015 Donostia, Gipuzkoa, Spain
HP:https://www.arzak.es/

2.アケラレ

アケラレは、サンセバスチャンの中心部から車で10~15分ほど、山の方に行ったところにあります。オーナーシェフはペドロ・スビハナというおじさん(私よりも4つ年上の75歳)で、1970年にオープンされ、2007年から三ツ星を獲得しています。

ここが入り口です
玄関を入ったところ

我々が行った後の2017年からは、レストランだけではなく、ホテルも併設で開業したようです。ビスケー湾を望む高台からの眺めはきっと素晴らしいことだと思います。次回行くなら、一泊しても良いかな。

ここでもオーナーシェフのスビハナ氏が挨拶に見えました。やはりキモノ最強のようです(笑)

スビハナ氏と記念撮影

料理の特徴はアルサックに比べると、ややオーソドックスですが、それでもユニークな盛り付けではありました。新バスク料理の特徴なのでしょうか。

印象としては魚料理に美味しいものが多かったように思います。あと、デザートもかなり充実していました。

こちらも一風変わったポテトのアミューズ
ロブスターのサラダ
謎のデザート「壊れかけのヨーグルト」ベリーに液体窒素で凍らせたヨーグルトアイスを    あしらったもの。ヨーグルトの容器が壊れて中身がこぼれているように見える

3つの三ツ星レストランの中では、ロケーションはここが最高でしょうね。高台にあって海が眺められる。だからおそらくホテルも作ったのでしょう。
店名:AKELARE
住所:Padre Orkolaga Ibilbidea, 56, 20008 Donostia, Gipuzkoa, Spain
HP:https://akelarre.net/

3.ベラサテギ

さて最後は今年行った三ツ星、マルティン・ベラサテギです。ここは市の中心から車で20分ぐらい行った郊外の住宅地の中にあります。

外観
ダイニングへ入ったところ

地元の人に聞くと、誰もが、ここがNo.1だと言いますので、期待は高まります。何せ2001年から連続して20年以上も三ツ星を獲得しているわけですから、まさに名店中の名店と言って良いでしょう。

ここでもオーナーシェフのマルティン・ベラサテギ氏が挨拶に見えましたが、今回は別にキモノを着ていたから、というわけではなく、来店されたお客さん全てに挨拶をされていたようです。

マルティン・ベラサテギ氏と

オーナーだけでなく、従業員の人誰もがホスピタリティに溢れていた素敵なレストランです。

オリーブの冷菜

お料理は3店の中では一番オーソドックスと言って良いでしょう。でも盛り付けの美しさとセンスの良さは素晴らしいと感じました。店内のインテリアも3店の中では一番豪華でした。


赤ムツのウロコ焼き 蛸とシトラスソース
デザートの後の小菓子

店名:Martin Berasategui
住所:Loidi Kalea, 4, 20160 Lasarte-Oria, Gipuzkoa, Spain
HP:https://www.martinberasategui.com/es/inicio

さて、ここからはちょっとまじめな話です。

三つ星レストランを3軒とも行ってみて思うことは、正直「まあ、もう行かなくても良いかな?」ということです。

これは決して三ツ星が美味しくないわけではありません。味は最高です。でも三ツ星は一度行けば十分で、それよりもっと安くて美味しい店がサンセバスチャンにはたくさんあるからです。

三ツ星なんてミシュランが勝手に付けたものをありがたがるのは馬鹿げている、と言う人も多いのですが、私は三ツ星には三ツ星の役割があると思っています。

それは世界中からサンセバスチャンの三ツ星レストランを求めてやってきた観光客がそれ以上に安くて美味しいお店が山のようにあるのを知ることです。まさに私がそうでした。

言わば三ツ星レストランはサンセバスチャンの広告塔の役割なんですね。

実は日本にも地方には安くて美味しいものが沢山あります。でも残念なことにその存在があまり知られていません。

東京ではなく、大分や秋田に三ツ星レストランがあったら、きっと中国やアメリカのお金持ちがやって来て、そのレストランだけじゃなく、鶏天や稲庭うどんの素晴らしさを知ることになるだろうと思います。

それともう一つ三ツ星レストランは地元の最高の食材を使っているので値段もかなり高い、ということは地域の農家や漁師から最高の物をかなり高い値段で仕入れているということです。

これは地元の生産者にとってはありがたい話で、三ツ星レストランが媒体となって世界中の金持ちと地元生産者を結びつけている、と言っても良いでしょう。

若い優秀なシェフにはぜひ東京を離れ、地方でもっと活躍してほしいと思います。

次回はサンセバスチャンでの朝ご飯とチーズケーキを紹介します。

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