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減税政策は政府の節約を促す ー フリードマン「政府からの自由」より

割引あり

私は常日頃より権威主義を好ましく思わないが、時に大きな説得力を持つことを十分理解している。「減税派」の主張がノーベル経済学賞を受賞したミルトン・フリードマン氏の見解と合致しているという証拠は、”全ての増税に反対” の主張に疑いの目をもつ人たちの印象を変えるだろう。

ハイエクやブキャナンといった自由主義者の訳本を目にする機会は少ない。「資本主義と自由」や「隷従への道」といった有名どころはともかく、その他の著作の多くは書店はともかく、図書館ですら書庫の奥底にしまい込まれているという具合だ。

今回標題の記載が「政府からの自由」にあると情報を得た私は、市内の別の図書館の書庫に蔵されている本書をわざわざ取り寄せる必要があった。インターネット検索により多くの人に見つけられる機会をつくるため、そして私自身の備忘録のため、該当する記述を検索エンジンの目に届くところに書き記しておきたい。

【以下引用】 政府からの自由(中央公論社)P.298-299(太字筆者)
ーーしかし、結局、減税そのものの景気刺激効果はたいしたことがないのではないか。私自身は減税に賛成だが、それは景気対策としてではなく、ほかの理由からである。われわれは、政府支出の爆発的増大を食い止めなければならず、それには減税以外に効果的な方法がないように思う。個人のレベルで考えれば、節約のための最も効果的な方法は収入を減らすことである。政府は税収を超えて多額の支出を行うことができるといっても、無限に多くではない。個人ほど収入に制約されるわけではないが、それでも制約は存在する。そして制約が存在する以上、税収を減らすことが政府に節約を促す効果的な(私が思うには唯一の)手段となる。われわれはあらゆる機会をとらえ、あらゆる口実を見つけ、あらゆる方法で減税を行わなければならない。減税万歳! だが、できれば正しい理由で減税をしたいものである。(1975年5月12日)

あまり欲張って引用すると著作権に抵触するため、どういった文脈で記されたかは是非「政府からの自由」を実際に手に取って確認していただきたい。

以降、直前の文章の簡単な要約と、現在の日本の国家財政に照らし合わせた解説を、黒田バズーカや増税メガネ等の舞台装置とともに加えてみたいと思う。

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