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予測できなかった害獣

今年の2月頃の話。

調査の依頼を頂いた私は大阪市内の某所へ向かってました。

内容はアライグマが室内にいる。との事。

確かにそのエリア、去年の秋頃から出没の情報があった役所からも注意勧告が出てました。

下手すりゃ出会っちまう可能性もあり、いつもより少し気を引き締めお宅に向かいました。

依頼された方は私より少し年上くらいの女性の方でした。

年季の入った商店がびっしりと犇めく中の1店舗、もうすでに店をたたまれた飲食店。入り口は店舗の入口とその横に2階へ直で上がれる玄関。裏には勝手口があり計3か所。

まず建物の前で状況を聞きます。

亡くなられたお母様の家で、部屋の片付けをしようとしたところ、2階の住居スペースに無数のアライグマの糞らしきものに遭遇し、怖くなって連絡をしたとの事。


まずは店舗スペースとキッチンのある1階を調査。

天井の抜け落ちた部分がありヤツの仕業かなと周りを見ると壁には3.40cmはあるであろう大きな穴、外は丸見え。これだけ大きな穴があるなら、やはりヤツはここに侵入してるだろうと確信。

この場所を塞ぐことの重要さを伝え、次の2階へ。


出くわすとすごく危険なので私一人で2階を上がってみることに。

緊張しながらも1段1段上がります。

電気もつかないので頭に付けたヘッドライトを頼りに。

2階に上がると縦に3部屋。カーテンもないので電気がなくても見渡すことはできました。多少乱雑に物が散乱してるも私の中では想定内。

大筋を見て、天井の天袋から屋根裏への点検口へ。

ヤツの形跡よりもネズミの糞の多さに一瞬ひるむ。ヤツだけじゃなくネズミもってことはもっと小さな侵入口も探さないと・・・。これは大掛かりになる可能性あるなぁなどと考えながら、周りを見渡しある事に気付く。

アライグマの糞・・・。

「ない」

どこをどう見ても

「ない」

頭の中で整理ができない。まさかネズミの糞を見てアライグマと思ったのか。1階にいる依頼者の方に階段の上から聞いてみる。

なんかプロとして恥ずかしい質問。そんなのすぐに見つけろよって思ってるかも。しかし、ないものはない。

私「アライグマの糞ってどこにありましたかぁ?」

依頼者「布団の周りとかすごい事になってません?」

私「いや、一つもないです。ネズミの糞ならチラホラありますけど」

依頼者「そんなはずないですって‼」

再度、周りを見渡す。

どう考えても理解ができない。

私「今、2階には害獣はいないので上がってきてください」

依頼者も恐る恐る2階へ私の後ろにつき二人で辺りを見回す。

依頼者も異変に気付く。

ヤツの糞はない。

「なんだ、ないんや」

その数秒後、二人で凍り付く。

依頼者はゆっくりと指をさす。

私には何を指したのかわからなかった。

依頼者はテレビを指していた。

主電源が緑に光っている。

それが問題だった。

依頼者は電気を止めるなどの手続きはしてなかった為、建物内のコンセントは全て外していたとの事。

部屋の糞はなくなっている、あるいは片付けられている。コンセントは刺さっている。

ってことは・・・・。

「害獣・・・。」

いやいや

「害人!!!!!!」

まさか相手は人間様とは思ってなかった・・・。

1階へ降り、二人で作戦会議。

依頼者からの話によると、この家の鍵が見つからないらしく施錠できてない状態だったとのこと。

まずは害人が入れないようにすることを第一にそれから交番に行く段取り。見回りの強化だけでもしてもらえれば気持ち安心だろうと。そこからは二人で宝探しかのように鍵を探し1時間ほどで鍵をみつけました。



後日

見積りの話はなくなり、家は建て壊すことが決まったとの連絡。

私は依頼者の要望で家の中の片付けを手伝うという契約が成立。違う方向で話がトントン拍子に進んでいったのでありましたw


皆さん戸締りには気を付けて。




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